Carlos Alberto Parreira BrazilGettyimages

ブラジルを24年ぶりW杯制覇に導いた稀代の名将がキャリア、現在のセレソンを語る/独占インタビュー

4年に一度の祭典が、間もなくやってくる。

『Goal』はFIFAワールドカップの開幕を前に、アメリカW杯でブラジル代表を優勝に導いた名将・カルロス・アルベルト・パレイラにインタビューを実施した。

プロ選手としての経験がないながらも多くの成功を収めた指導者として知られるパレイラは、母国ブラジルのクラブや代表指揮官として偉大な成果を残した。1982年にはクウェート代表、1990年にはUAE代表、1998年にはサウジアラビア代表、そして2010年には南アフリカ代表の監督として、W杯という大舞台で指揮。そして忘れてはならないのが、1994年のアメリカW杯。パレイラは母国ブラジルを24年ぶりとなる世界王者に輝かせ、母国の英雄となった。

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そんな輝かしいキャリアを残してきたパレイラが今回、『Goal』の独占インタビューに応じた。稀代の名将が監督という職業やブラジル代表でのW杯制覇、ロシアW杯でのセレソンへの期待などを存分に語ってくれている。

■長い指導者生活、そして引退

Parreira Seleção 14  12 2016Buda Mendes/Getty Images

――まずは現在のことをうかがわせてください。今は何をされているのでしょうか?

コーチとしてはフットボールから引退しているよ。でも完全に去ったわけではなく、つながりは維持しているね。今はリオデジャネイロ大学で週2回指導をしている。私にとっては重要な仕事だね。学生とはフットボールについて話をしているよ。それにFIFAのテクニカルスタディグループの一員でもあるし、今年は試合観戦と分析のためにロシアにも行く予定さ。でもフットボールのコーチや監督としてはもう働くことはないよ。過去の話だ。今は別の人たちのために働くときだね。

――あなたは約50年に渡って指導者を務めました。この生活に別れを告げるのは難しかったですか?

いや、難しくはなかったよ。さよならを告げる心の準備はしていたからね。私が監督として働き始めたのは1967年のガーナ代表からだから、かれこれ約50年も仕事をしていたことになるね。いい記憶がいくつもある。でもこの仕事を恋しいということはないよ。今、私は家族や子どもと一緒にいて、趣味の写真や絵を楽しんでいる。どれも以前はできなかったことさ。フットボールは多くを与えてくれるけど、同時に奪われることもあるのさ。今は家族や友人、旅行やそれ以外の経験に時間をつかっている。だから後悔はない。まったくないよ。

■キャリア最高潮だった1994年大会

Romário, Dunga, Brazil, World Cup 1994Getty

――ブラジル代表を率いて優勝した1994年大会はキャリアの頂点に違いありません。最も誇らしいことではないでしょうか?

選手にもスタッフにも非常に大きなプレッシャーがあった。メディアの要求は非常に高かったし、メンタルを非常に強く保たなくてはならなかった。勝ち続け、ワールドカップを制するためにね。ブラジルにとって24年間無冠というのはあってはならないことだし、決勝に進出することさえ、それでは不十分だった。我々はそれを成し遂げたわけだから、もちろん非常に特別だ。

――ワールドカップ優勝は最も偉大な業績です。しかし、あなたが率いた1994年の代表チームはテレ・サンターナが率いた1982年大会(ブラジルは2次リーグで敗退)ほどのチームではなかったと述べる評論家もいます。このような評価についてどうお考えですか?

いや、気にしたことはないよ。私は偉大なチームだったと確信しているからね。代表チームは比較すべきではないよ。良いフットボールに拘る試合もあれば、勝利に拘る試合もある。確かに、1982年大会のブラジル代表にはジーコ、ファルカン、ソクラテス、トニーニョ・セレーゾ、エデルといった4、5人の素晴らしい選手がいた。でも彼らは良い選手だったが、良いチームではなかった。コンパクトなチームは守備も攻撃もできる。試合をするには攻撃だけをしていればいいわけではないし、ボールを触っているだけでもだめだ。バランスがなくてはいけない。守備と攻撃のそれぞれの方法を知らなければいけないのさ。

■監督という仕事

――様々な国でワールドカップに参加しましたが、苦い経験や落胆に終わった大会はありますか?

ないよ。中東のチームの監督だったときもメディアや新聞を観ていたけど、彼らは自分たちが他の出場国と差があるとは思っていなかったね。大会に出場し、勝てると考えていた。結局は11人対11人の試合だとね。でもフットボールはそう単純ではない。これまで一体いくつのチームがワールドカップで優勝した? 200カ国のうちほんの一握りに過ぎない。だからリアリスティックにならなくてはならないのさ。

――長くとどまりたいと思う国や職はありましたか?

ないね。ひとつの国に5年や7年もいれば十分だよ。フットボールの世界では、同じ監督が10年以上指揮を執ることはほとんど無い。アーセン・ヴェンゲルやアレックス・ファーガソンは稀なケースで、他にはないのさ。代表監督を務めるのはW杯を1度、もしくは最大でも2大会連続が限度だと思っている。ブラジルでは非常に難しいよ。プレッシャーは過大だし、仕事はハードで非常にストレスフルだ。リラックスなんてできない。私が3、4年しか各ポストに就かなかった理由はそれだよ。そして最後に言うのさ、「本当にありがとう、幸せだった」と。毎試合勝利しなくてはならないし、あらゆる大会の予選を突破しなくてはいけない。休息はないし、止まることは許されない。

■ロシアW杯でのセレソンへの期待

Tite Brasil treino 14 06 18edro Martins / MoWA Press

――まもなく開催されるワールドカップについて話しましょう。ご自身の経験から、チッチ率いるブラジルはワールドカップ優勝に手が届くと思いますか?

その準備はできていると思うよ。チームは良い状態にあるし、よくやっている。経験も豊富だね。フィルミーノ、ガブリエウ・ジェズス、ネイマール、コウチーニョのような選手が揃う前線は恐らく世界一だよ。違いを生み出せるこのような選手を擁するチームが他にあるとは思わない。でもそれだけではワールドカップを優勝するには不十分だね。バランスをもたらす必要がある。そしてチッチはその術を知っている。自信や信頼は取り戻しているし、ブラジルは優勝候補の一つだね。他に、スペイン、ドイツ、フランスも肩を並べていると思う。いい選手がたくさんいるし、有力な候補だね。

――ネイマールには多くの期待が寄せられているわけではありません。負傷した状態で合流しましたし、代表チームをけん引できるのかが問われています。

彼は準備ができていると思うよ。キャリアを通じていつも期待に応えてきたし、決して人々を落胆させない。若い年齢の頃からいつも高みにいた選手だ。非常に若くしてサントスでチャンピオンとなり、コパ・リベルタドーレスも制した。バルセロナに移籍してからも、スアレスやメッシといった選手と共に、多くのタイトルを勝ち取っている。PSGでもいいプレーを見せているし、ブラジル代表で彼がしてきたことについてはすべてを語るつもりもないよ。ペレに非常に近いところにいるだろう。傑出した存在だし、今回のワールドカップにも準備ができているさ。

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