20211119_Zaccheroni2(C)Getty images

ザック氏、イタリアで波紋の0-40での敗北に持論「屈辱的なことはない。これがスポーツ」

元日本代表監督のアルベルト・ザッケローニ氏が、18日付の地方紙『コリエレ・ロマーニャ』のインタビューに応じ、育成年代の若者への指導について、持論を展開した。

イタリアでは、ジョヴァニッシミ(U-15)のリーグ戦のとある試合に波紋が広がった。サルデーニャ州ヌオロのリーグ首位ファーヌム・オロゼイが最下位のラ・カレッタと対戦。ケガ人が続出して年下ばかりの10人を相手に、40-0とテニスのスコアのような勝利を収めたのだった。

ファーヌムが手を緩めずに猛攻を仕掛けたのは、優勝争いのライバル、ルーピ・ゴチェアノがラ・カレッタに22-0と大勝を収めていたため、得失点差を考慮して大量得点を狙っていたという背景があった。これほどの実力差を見せつけられたラ・カレッタの少年たちのメンタルへの悪影響が懸念する声も上がった。

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だが育成年代への指導の経験もあるザッケローニ氏は、「40-0だったって? それがどうした? 異議を唱えることなど何もない」などと反応する。

「屈辱的なことなど何もない。これはスポーツであり、競技なんだ。結果はピッチでのプレーを反映したものでなければならない。仮に強豪が途中で手加減したとしよう。ボール回しを始めたとしても、それがより侮辱ではないと言えるかな? この場合、何をしてもリスクを負うことになる。したがってそのままプレーを続けてベストを尽くすべきだろう」

「負けた少年たちの反応は、大人の問題でもある。若者に対して過保護になり過ぎている部分があるからね。基本的なルールからおさらいしよう。たとえつらくても、“敗北から学ぶ”べきなんだ。私もチェゼナーティコの下部組織でひどい負け方をしたことがある。だが努力しない選手たちを嘆いたことはあっても、敗北自体を嘆いたことはない。全力を尽くしたのなら義務を果たしたと言える。あとは時間をかけて取り組んでいくべきことだ」

ザック氏なら40失点後にどんな指導を?

もしザッケローニ氏がラ・カレッタの指揮官であったら、チームが40失点した後にどんな指示を出したのだろうか。

「私なら自分がよく使っていたお気に入りの言葉を3つ唱えるだろう。最初に『ビルドアップ』、次に『ビルドアップ』、そして3度目も『ビルドアップ』とね。ビルドアップは経験を通じて敗北から学ぶものだ。鼻をへし折られなければ、成長はない。自分たちのミスや限界に対して、誤った向き合い方をしてしまうことが多いが、自分自身の成長はその先にあるものなんだ。育成年代の指揮官にとって、負けた後のステップが重要になる。ここから本物のスポーツ教育へとつながる。毎試合が次の試合で良いパフォーマンスを見せるための土台になるんだ」

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