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ヴィッセル神戸MF扇原貴宏が回想するロンドン五輪のスペイン撃破。W杯で同居も日本代表に「可能性はある」/インタビュー

 2022シーズンより横浜F・マリノスからヴィッセル神戸に活躍の場を移したMF扇原貴宏。2012年ロンドンオリンピックのU-23日本代表など、世代別代表としても多くの経験を誇る30歳MFに話を聞いた。【インタビュー日:4月8日 聞き手:上村迪助(GOAL編集部)】

■「日本が敵わない相手ではない」

――今のサッカー界では日本代表のカタール・ワールドカップ(W杯)グループ抽選結果が話題となっています。スペイン、ドイツと同組になりましたが、率直にどのような感想を持ちましたか?

 僕自身、(今回の予選を)日本代表で戦っていたわけではないですが、逆にこういう組のほうが日本代表にとってはすごくモチベーションになっていると思いますし、突破するチャンスも十分にあると思います。サッカーは何が起こるか分からないスポーツなので、強豪はいますけど日本代表も十分に突破する可能性があるのではないかと率直に思いました。

――扇原選手は2012年のロンドン五輪・初戦でスペインと激突しています。その試合はどのように記憶に残っていますか?

 あの時も前評判ではスペインが絶対に勝つと言われていましたし、自分たちのチームはそこまで期待もされていなかったと思いますが、自分たち自身は勝てると信じてやっていました。世間の評判をひっくり返すように初戦を勝ったことによって、その後の勢いにもつながりましたし、すごく自信を深められた初戦でした、スペイン戦は。あの試合を見ても分かるようにサッカーは何が起こるか分からないスポーツなので、W杯でもそういう結果はすごく期待しています。

――スペイン戦の決勝点は扇原選手が左CKを蹴り、大津祐樹選手が合わせた得点です。その瞬間の気持ちや感触は覚えていますか?

 僕はただただCKを蹴っただけで、中の大津選手がうまく合わせてくれました。それ以外でも日本代表はすごくチャンスを作り、追加点を取れるチャンスもありました。あの時も(ダヴィド)デ・ヘア選手が出ていて、違うGKなら入っていただろうなという点が何点も止められたので、すごくレベルが高いなと感じた印象はあります。点を取って勝ったこともそうですけど、デ・ヘア選手の好セーブもすごく印象に残っています。

――スペインはロンドン五輪のU-23代表もですが、A代表でも一貫してポゼッションスタイルで戦っています。五輪当時、チームとしての戦術や狙いどころなど、今だから明かせることはありますか?

 あまり覚えていませんが、本当にああやって一貫したサッカー、ポゼッションしてくるのは、どの年代でも分かっていました。全部が全部ボールをつないでシュートまで行けるかといったら、そうではなかったので、しっかりと守備でボールの取りどころをハッキリすれば、自ずとショートカウンターなどチャンスも多く作れた試合ではありました。去年の東京オリンピックのスペイン戦を見ても、日本が敵わない相手ではないなというのは思っています。もちろん強豪で、10回やったら何回勝てるか分からないですが、相性的にも勝てるチャンスは絶対にあると思います。

■神戸の現状に感じる責任

――クラブのお話をうかがわせていただきます。今年から神戸に籍を移し、加入時には成長への意欲をコメントしていました。実際にチームに入り、個人として刺激を受ける部分はありますか?

 僕が求めていた成長というのは、個のレベルを上げたいという思いがあり、そういう選手、中盤にも(山口)蛍選手だったり、アンドレス(イニエスタ)選手だったり、DFにも(酒井)高徳選手だったり、FWにも大迫(勇也)選手がいたり、各ポジションにレベルの高い選手が揃っています。そういう選手たちと毎日練習できて、その中で自分の色を出さないといけないというこのチームに入ったことで、自分自身もっともっとプラスアルファを出していかないといけないという思いになっていますし、これが自分が求めていたことだと思います。それが毎日刺激になっています。

――扇原選手も左足のキックなど既にスペシャリティがありますが、イニエスタ選手など多くのタレントとポジション争いをすることとなりますが、どのような心境でチーム内競争に臨みますか?

 もちろんチームで自分が出るためには争いもありますし、刺激にもなっていますが、アンドレス選手に関しては正直すごいなと思うことが多々あります。ずっとテレビで小さい頃から見ていた選手でもありますし、一ファン目線で見てしまいます。練習などですごいプレーをした時は、シンプルに本当にすごいなと思うことも多々あります。

――刺激を受けながら神戸でプレーする中で、ご自身が課題に感じていることはありますか?

 もうちょっとコンディションを上げて、ボールを奪い切るところだったり、球際の部分だったりで、もっともっと戦わないといけないですし、そういうところでしっかりと、まずはやること。あとは自身の特長でもあるキックだったり、縦パスの回数だったり、もっと攻撃がスムーズにいくようなサイドチェンジだったり、そういった細かい、何気ないパスをもっともっとこだわってやっていきたいです。どれだけ相手が嫌がるところにパスが出せるかということに、もっともっとこだわってやっていかないといけないなと思っています。

――精度の向上への意欲を示されていることだと思いますが、1ミリを争うプロの世界でスパイク選びは非常に重要かと思います。扇原選手が『PREDATOR EDGE(プレデター・エッジ)』を着用していて良さを実感している部分をお教えください。

 90分間、感覚が変わらずにプレーできることはすごく良いところです。僕自身、アディダスではプレデターをずっと履かせてもらっているので、プレデターはキックがしやすいというのは自分の中ですごくあります。そういう蹴った時の感触はプレデターの強みだと思いますし、そこは試合をやりながら感じるところではあります。

――学生など、スパイク選びで迷っているプレーヤーもいると思います。扇原選手が思う『PREDATOR EDGE(プレデター・エッジ)』のおすすめポイントや合うスタイルをお教えください。

 僕自身プレデターを昔から履いていましたが、(デイヴィッド)ベッカム氏が履いていたり、自分が好きな選手が履いていたら履きたくなるというのが中学生だったり、小学生だったりはあると思います。そういう意味で僕自身活躍し、1人でも多くの方に『プレデターを履いてみたいな』と思わせるような活躍ができればいいと思います。一つ一つのパスだったり、キックだったり、トラップだったりにこだわっている選手にすごく履いてほしいです。そういうプレースタイルの選手に、悩んでいるなら試してほしいと思います。

――もう一度、クラブの話題に戻らせていただきます。神戸はリーグ戦において苦境が続いていますが、ご自身の経験からここを乗り切るためのポイントはどこにあると考えていますか?

ネガティブになりやすい、プレーしているほうも消極的になりやすい状況ではありますが、こういう時こそ自分たちが自信を持ってしっかりとしたプレーモデルをしっかりとピッチで表現することが大事だと思います。ピッチに立つ、立たない関係なく、チームのために、ヴィッセル神戸というクラブのために毎日できることをやっていくことがすごく大切だと思います。ネガティブに捉えすぎず、自分たちがやるべきことに集中して毎日過ごしていければいいと思いますし、そういう毎日の準備が結果につながってくると思うので、そういうところを大事にやっていきたいです。

――最後に、サポーターの方々へメッセージをお願いします。

 今、ヴィッセル神戸のサポーターの方たちに本当に歯がゆい時期を過ごさせてしまっていることはすごく申し訳なく思っています。でも、この状況を自分たちと一緒に乗り越えてもらえたらすごく嬉しいですし、その時の喜びもみんなで喜び合えたら、すごく嬉しい瞬間を迎えられると思います。本当にこの状況には選手自身、すごく責任を感じています。この状況を自分たちは絶対に好転させられると、絶対に良くなると信じて毎日練習をしているので、それに期待してもらい、これからも一緒に戦ってもらえたらなと思います。

――ありがとうございました。

 ありがとうございました。

■PREDATOR EDGE(プレデター・エッジ)
『PREDATOR EDGE(プレデター・エッジ)』はボールコントロール精度の向上を徹底的に追求したプレデターシリーズの新モデル。新たに開発したラバーリブが搭載され、ピッチ上で高いパフォーマンスを発揮する。アッパーをドリブル、パワー、スワーブ、コントロールの4つのゾーンに分類することで、それぞれの特徴に沿ったプレーをサポートすることを実現した。また、伸縮性に優れる素材で出来た2ピース構造により、スムースな足入れが可能となり、ホールド性にも優れ、決定的な違いを生むコントロールを支える。

■プロフィール
MF 33 扇原 貴宏 Takahiro OHGIHARA
1991年10月5日生まれ。185cm/74kg、大阪府出身。セレッソ大阪-名古屋グランパス-横浜F・マリノスを経て2022年に神戸加入。J1通算256試合11得点、J2通算37試合2得点(4月11日時点)。ボランチを主戦場としてビルドアップに技術力を発揮するレフティーMF。