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課題山積のC大阪でひとり気を吐く男。山口蛍が語る主将としての強烈な気概

7月18日に再開した明治安田生命J1リーグだが、セレッソ大阪が1分2敗の未勝利で苦しんでいる。

昨季はJリーグYBCルヴァンカップと天皇杯の二冠を達成。今季こそは長年の悲願だったリーグ初制覇を照準にしていたものの、ここへきて柿谷曜一朗と清武弘嗣の主力が揃って負傷離脱。昨季22ゴールを挙げ、J1得点ランク2位に入ったエースの杉本健勇もここまで3点にとどまるなど、チーム全体に停滞感が拭えない。17試合を終えて順位も5位に後退と、尹晶煥監督にとって悩ましい状況に違いない。

■不完全燃焼で幕を閉じたW杯

そんな中、一人気を吐いているのが、キャプテンマークを巻く山口蛍だ。

以下に続く

今季も開幕からリーグ戦フル出場を続けているが、ロシア・ワールドカップから戻ってきた後も休むことなくピッチに立ち続けている。C大阪はJ1、スルガ銀行チャンピオンシップ2018・インデペンディエンテ戦(8月8日)、天皇杯4回戦・ヴァンフォーレ甲府戦(8月22日)を含む公式戦12連戦の真っ只中。指揮官はこの連戦を考慮して7月25日のJ1第14節・鹿島アントラーズ戦で前節から7人のスタメン入れ替えを実施するなど、積極的にターンオーバー制を採用。しかし、その中でも山口はターンオーバーを適用されることなく出場し続けている。それは昨季も同様だった。W杯で味わった悔しさがあろうとも、今はクラブでの戦いに気持ちを切り替え、目の前の戦いに集中しているという。

「今はホントにセレッソでちゃんとやることが自分にとってのすべて。ここからの連戦でどれだけタフに戦えるかだと思う」

2018-07-27-hotaru05.jpg©Getty Images

自身2度目となったW杯の舞台は悔しいことに不完全燃焼のまま幕を閉じた。『デュエル』の強さをヴァイッド・ハリルホジッチ前日本代表監督に買われ、ロシアW杯アジア最終予選からコンスタントにピッチに立ち続けてきた山口。イラク戦では終了間際に日本を救う決勝ゴールもマークし、代表にとって欠かせない存在になりつつあったが、W杯直前の監督交代によって位置づけが大きく変わってしまう。

司令塔タイプと守備タイプを並べるダブルボランチを好む西野朗監督は、新体制初陣だった5月30日のガーナ戦で山口と大島僚太(川崎フロンターレ)をテスト。だが、チーム全体が機能不全に陥り、山口もこれといった存在感を放つことができず、レギュラーの座が一気に遠のいてしまった。

結果的に本番では長谷部誠(フランクフルト)と、柴崎岳(ヘタフェ)が定位置を勝ち取り、ベスト16の原動力となった。とりわけ、柴崎は好守に眩いばかりの輝きを放ち、国際的な評価を一気に上げた。その傍らで、山口は初戦・コロンビア戦、第3戦・ポーランド戦、ラウンド16・ベルギー戦の合計3試合に送り出され、主にクローザーとしての役割を課せられたが、消化不良に終わった感は否めない。

「予選からやってきたのに試合に出れなかった悔しさはやっぱりある」と本人もストレートに吐露。その一方で「それ以上にハセさんや岳とか、出た選手が本当によかった。チームとして結果が出なくて、出た選手も良くなくて、自分も出れないなら絶対に悔しかったと思う。でも、出た選手が自分よりも良いプレーをして、結果もついてきたから、悔しいけど仕方ないかなと。そこは単に自分の力が足りなかっただけだから」と潔く現実を受け入れている。

2018-07-27-hotaru02.jpg©Getty Images

その中でも最も悔やまれるのは、やはりベルギー戦だろう。日本は後半に原口元気(ハノーファー)と、乾貴士(ベティス)の連続ゴールで2点を先行。クローザーとしての役割を求められていた山口は「自分が出るかもしれない」と準備していたという。「勝っている状況を守り、試合をしっかり締めるための選手」という自負があったからそう考えたのだろう。しかし、その時点で投入されることはなく、日本は立て続けに2失点。同点とされた後に「もうここからはないな」と感じた直後に、西野監督に呼ばれて本田圭佑(パチューカ)とともにピッチに送り出された。しかし、同点となった状況での山口の投入は、役割的に考えると、最後まで中途半端な印象が否めなかったことは事実だろう。

そして、ラストプレーとなったベルギーの高速カウンターの場面。本田が延長突入を選ばずに左CKで勝負に行ったこと、ティボー・クルトワがケヴィン・デ・ブライネにボールをスローした時に誰もチェックに行かなかったことなど、様々なプレーに議論の余地はある。にもかかわらず、山口がデ・ブライネを止められなかったシーンばかりがフォーカスされ、批判が集中している。なぜ、デ・ブライネを止められなかったのか?その批判に対しては、本人も複雑な心境を抱くしかない。しかしながら、ワンプレーの重みを今もひしひしと痛感しているという。

「GKが(ボールを)投げてデ・ブライネがドリブルをした時、タッチがすごく大きかった。次のタッチも絶対に大きくなると思った。だから、大きくなったところを取りに行こうと思っていた。そしたら、めっちゃ細かい(ボール)タッチで来て、本当に相手がすごくうまかった。俺の出てくるタイミングも含め、すべてを測っていたのかなと思うくらいのプレーだった。ただ結局、正解がどれかは分からないし、後から何を言っても意味がない。自分は人からいろいろ言われる立場だと思うし、本当に難しいですよね」

■W杯での悔しさはJリーグで晴らす

2018-07-27-hotaru03.jpg©J.LEAGUE

自身2度目のW杯を完全燃焼できなかったうえに、最後に傷つく出来事にも見舞われた。1人のサッカー選手として大きな挫折を味わったのは確かだが、そこにとどまっていられないのもフットボーラーの現実。W杯は終わったが、C大阪での戦いはこれからも続いていくわけで、彼自身はキャプテンマークを巻いてチームを力強くけん引しなければいけない立場だ。そこに立ち返り、まずはC大阪の勝利のために持てる力のすべてを注ぐ。それが今の自分にできることだと割り切っている。

「向こう(ロシア)での戦いが終わった時点で代表の活動は終わったわけだし、今はチームのことしか考えられない。チームもいろいろ抱える問題が多いし、チームのことで手いっぱいなところがある。気持ちの整理はついています。セレッソを去年みたいに毎年何かしらのタイトルを取れるチームにしたいという気持ちはホントに強いので。ここから取りこぼしのできない試合も続くし、一つひとつ結果を出していくことに集中してやっていきたい」

C大阪は、負傷した清武の復帰へのメドはまだ立っていないが、柿谷はすでにトレーニングに復帰しており、8月の早い段階に戻ってこられそうな雰囲気だ。今は攻守両面で不安定な部分の多いが、前線を柿谷と杉本がけん引し、山口が好守全体において中心にまとめていけば、逆転でのリーグタイトル奪取への道筋が見えてくるはずだ。

「他のチームも連戦は一緒だと思うし、僕たちがどれだけタフにやっていけるかだと思う。今のセレッソは負けてる試合のほとんどがもったいないというか、自分で自分の首を絞めてるような試合ばっかり。それを無くさないとここから這い上がっていけない。もっとブレないものを作らないといけない」

そう言って夏場における地獄の連戦に向けて気合を入れた山口。W杯というサッカー人生の大きな節目を経て、再びスタートを切った27歳の“ダイナモ”が、ここからどんな軌跡を辿っていくのか。苦境からの脱却を誓う“大阪の雄”の逆襲がここから始まる。

文=元川悦子

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