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山根視来×杉岡大暉…湘南ベルマーレ若手DF対談「当たり前のことを徹底してやる」

大卒2年目の山根視来と高卒ルーキーの杉岡大暉。これまでの歩みはそれぞれ違えど、今季ともに3バックの一角を担い、瑞々しいその機動力で湘南ベルマーレの攻撃的なサッカーを後ろから喚起する。攻守に躍動する両名に、自身とチームのいまとこれからを聞いた。

●杉岡「逆に欠点がないことが悩み」

――そもそもふたりの仲は?

山根 どうですか?

以下に続く

杉岡 どうですか?(笑)

山根 この前、大暉から「ごはん行きませんか?」って来たんですけど。

杉岡 断られました(笑)。

山根 ごめんって(笑)。たまたま予定があったからね。

杉岡 でも昼ごはんとかたまに連れて行ってもらってますよね。

――ふたりとも積極的に声をかけるタイプでもないような気がしますが。

山根 大暉はけっこう行くよな。

杉岡 けっこう行きますね。みんな優しくて、「どんどん来い」って感じなので(笑)。よく声をかけてます。視来さんは話しやすいですね。いい意味で、いろいろ言える人です。

山根 うまいこと言ったな(笑)。

――同じポジション同士、プレーについて話す機会は?

山根 はい。逆サイドですけど、センターバック同士、「ああいうときはこうだよね」とか、「もうちょっと来てほしい」とか、話すと案外お互い同じことを思ってる。でも大暉は人にあまり要求しないよね。ひとりでやって、言われたら、「あ、はい」みたいな感じ。たぶんおまえから言ったことないよね?

杉岡 そうですね。どちらかというと全部自分が悪いと思ってしまうので。あんまり自信を持てないというのもありますけど、まだプレーの要求はできてないですかね。それは自分でも良くないところだと思ってます。

――お互いのプレーについては?

杉岡 視来さんがドリブルで持ち運ぶところは、「なんであんなに抜けるの?」って思ってます。

山根 そう言うけど、大暉も運べるよね。

杉岡 いやいや(笑)。でもドリブルに目が行きがちですけど、僕は視来さんの守備面の貢献も大きいと思う。もともと攻撃の選手だけど、最初から対人は強かったですし、守備のときに抜かれることなくシュートブロックもしっかりできる。セットプレーの練習も含めて、いつも声を出して率先してやっていますし、そういうところもすごいなと思ってます。

山根 うれしいね(笑)。ありがとうございます。

杉岡 やめてください(笑)。

山根 大暉は全部できる気がするんだよね。ドリブルができてクロスも上げられる。ヘディングも強い。もともとセンターバックをやっていたからもちろん守備にも長けている。あとメンタルがブレない。高卒選手とは思えないぐらい欠点がなくて、ほんとにうらやましい。

杉岡 逆にそれが悩みと言えば悩みなんですよね。欠点がないというのは、逆に言えば武器がないということだから。たとえば視来さんだったら運ぶのがいちばんの特徴だから、そこで自分の調子も分かるじゃないですか。でも僕は武器がない分、どこを見ればいいのかという感じがするんですよね。

山根 最近この話ちょこちょこしてるよな。「自分には立ち返る場所がない」みたいに大暉は言うけど、でも相手からしたら全部を持っているのは嫌なことだよ。

――右の山根選手と左の杉岡選手の間には、アンドレ・バイア選手と秋元陽太選手という経験豊かな選手の存在があります。

杉岡 はい。まだ試合経験の浅い僕らを開幕戦から3バックに置くことができたのは、やっぱりあの2人がいるからこそだと思う。2人の存在はほんとに大きいですね。

山根 バイアはひとりで守れるだけの力があるもんね。後ろには陽太さんもいるし。たまに怖いけどね(笑)。

杉岡 怖いですけどね(笑)。

――今季印象に残っている試合を挙げるとしたら?

山根 俺は岡山戦(第10節○2-0)かな。すごくコンパクトで、いちばんライン上がったよな、あの試合。

杉岡 ああ、たしかに。あの試合はすごかったですね。

山根 大分に負けたあとで、90分間全員で声を出してた。大暉はどう?

杉岡 うーん、1試合1試合一生懸命やってるから、これっていう試合は正直ないですね。

山根 たしかにそうだよな。全部接戦だしな。

杉岡 そうですね、全部大変な試合なので。

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●山根「当たり前のことを徹底してやる」

――曺貴裁監督はどんな監督か教えてください。

杉岡 0-3で負けた山形戦(第24節)のあとに2人で呼ばれて一緒に叱られました(笑)。

山根 ほぼ俺だったけどな。俺が言われて、「大暉おまえもだぞ」っていう(笑)。

杉岡 そうですけど(笑)、僕も叱られました。

山根 でも去年ほとんど試合に出ていない自分にしてみれば、そうやって叱られること自体なかったので、うれしいというのは変だけど、また違う感覚というかね。それに、チャレンジしたミスについては叱られないよね。運んで取られまくってもあんまり言われないし、逆に自分らしさを出せてないと、「なんのために出てるんだ」って言われる。

杉岡 そうですね。曺さんはチャレンジしないことを怒る人だから、選手は伸び伸びやれますよね。

――お互いに今後どういうところを伸ばしたらいいと思いますか?

山根 これは自分にも当てはまるんだけど、大暉はけっこうドリブルで突っ込むじゃない? そこの判断は大事かなと、自分自身も含めて思うかな。ただ、抜けるかどうかは実際行ってみないと分からないものだよね。

杉岡 ああ、分からないですね。なんか行けそうな気がして。でも判断は大事ですね。視来さんのドリブルはパスがあるとより活きると思います。もちろんいまもパスがないわけではないですけど……。

山根 いや、ないです(笑)。

杉岡 (笑)。でもほんとに、ビルドアップを高めたら、さらにドリブルで抜けるようになると思う。武器がハッキリしている分ビルドアップを伸ばしたらもっとすごい選手になると思います。

――選手として今後どうなっていきたいか教えてください。杉岡選手にとって2020年の東京五輪はつねに意識のなかにありますか?

杉岡 ありますけど、試合で結果を出すことが大事だと思っているので、そんなに意識せずに、目の前の試合に向かっていくようにしていますね。チームで結果を残すことが代表に最も繋がると思っているので、変わらずにやっていきたいと思います。

山根 いままで先を見過ぎてもよかったことがないので、大暉と同じように自分も一戦一戦やっていきたいです。公式戦に出ることで成長の幅がどんどん増していくと感じているので、まずは毎試合出ることを念頭に一つひとつ成長していきたい。湘南の先輩たちは、みんな戦ったり走ったりするところに長けているので、自分もそれをベースに、プラス特徴のドリブルを活かして、いずれ代表に呼ばれるような選手になっていきたいと思います。

――今季も残り10試合余りとなりました。今後に向けて最後に想いを聞かせてください。

山根 ここまで全部接戦だからね。

杉岡 そうですね。いままでやってきたことは間違いないと思うので、それをどれだけ徹底できるか。より徹底できたらもっと強くなれると思う。たとえばラインコントロールとか、練習でやっていることをしっかり出すことが大事だと僕は思います。

山根 ボケたらやられるからね。あと流れの中からの得点も増やしたいよね。セットプレーも自分たちの武器だけど、このまえの熊本戦(第29節△0-0)のように、セットプレーで取れなかったときでも勝点3を奪えるようにしたい。点を取れなければ勝てないからね。

杉岡 たしかに僕も思います。守備ではある程度ブロックをつくってしっかり跳ね返せていますし、それが結果にも繋がって失点も少なくなっている。あとはやはり攻撃面でもっとチャレンジして、もっともっと人数をかけて波状攻撃ができるようにしたい。僕がベルマーレに入った理由もそういう攻撃があったからなので、それを体現していきたいと思います。

山根 チーム状況や昇格争いなど、終盤になってくるにつれて相手の温度も上がってくると思う。そのなかで、戦う部分は自分たちの強みなので絶対に負けてはいけないと思うし、相手より走ることや競り勝つこと、球際で負けないといったところが技術うんぬんよりも大事だと思う。曺さんが以前「凡事徹底」と言いましたけど、当たり前のことを徹底してやることが大事かなと思います。

●インタビュー・文=隈元大吾

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