2018-01-02-maya-yoshida(C)Getty Images

吉田麻也、レギュラーとして稼働もチームは…後半戦へ注目すべき2つのポイント【海外日本人前半戦総括】

吉田麻也(サウサンプトン)

前半戦結果: 19節まで14試合に先発。そのうち、クリーンシートは4試合
チーム内序列: レギュラーCB。副主将として4試合でゲームキャプテンを務める
前半戦採点: 65点
後半戦の目標: 不振のチームを堅守で支える

文=田嶋コウスケ

プレミア在籍6シーズン目を迎えた吉田麻也は、サウサンプトンの守備のリーダーとして最終ラインを束ね続けた。

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プレミアリーグ前半戦19試合のうち、吉田の先発数は14試合。CB陣ではチーム最多の数字を誇り、マウリシオ・ペジェグリーノ監督が採用する4バック・5バックの両システムで重宝された。

また、副主将として主将スティーブン・デイビスの欠場時はゲームキャプテンを務めた。その数は19節までに4回で、精神的支柱として大きな役割を果たした。しかも、14節以降はデイビスがベンチスタートにまわる試合が増え、吉田がアームバンドを巻く回数は増加傾向にある。ペジェグリーノ監督に信頼されている証拠であり、在籍6季目のサウサンプトンで確固たる地位を築いている。

■チーム不調で責任の所在は?

しかし、手放しで喜べないシーズン前半戦であったことも事実だ。理由はチームの不振。14節から8試合連続で勝利がなく、順位をズルズルと落としていき、降格圏の18位まで2ポイント差の危険水域に突入した。17節のレスター戦(1−4で敗戦)や20節のトッテナム戦(2−5で敗戦)と大量失点を喫した試合もあり、その責任の一端はCBの吉田も背負わなければならない。

だが、失点増の原因を吉田ひとりになすりつけることはできない。最大の問題点は、絶望的なまでのFWの得点力不足にある。得点源として期待されたFWマノロ・ガッビアディーニは絶不調でベンチ組に降格。ポゼッションをゴールへ効率的に結び付けることができず、前がかりになったところをカウンターで突かれ、失点を重ねるという悪循環に陥った。しかも、ゴールマウスを守るGKフレイザー・フォースターが絶不調。簡単なシュートを取り損ねたり、直接FK時における壁の作り方を誤ったりするなど、初歩的なミスで足を引っ張った。結果として、攻守のバランスを欠くシーズン前半戦になった。

吉田個人のパフォーマンスに目を向けると、一瞬のスキを突かれてゴールを許す試合もあった。16節のアーセナル戦では、試合終了間際の88分にマークしていたFWオリビエ・ジルーに同点ゴールを決められた(試合は1−1のドロー)。クロスボールが上がる直前、フランス代表FWが吉田の背後にスッと抜けてヘディングシュート。この場面について吉田は、「もうワンステップ後ろにいけばよかった。あと1〜2歩の差。僕個人としても、チームとしても乗り越えなければならない」と反省の言葉を口にした。

■ハイレベルで見えた成長も

同時に、堅守が光った試合もあった。守備戦術を採用した14節のマンチェスター・C戦では、5バックの右CBとして好調シティ攻撃陣を苦しめた。また、4-2-3-1のCBとして先発した5節のクリスタル・パレス戦や9節のWBA戦でも、手堅い守備でクリーンシートでの勝利に貢献(いずれも1−0)。ワールドクラスの猛者が集うプレミアリーグで、世界との差を縮めようと切磋琢磨した。

「ブラジルやベルギーもそうでしたけど、レベルが高ければ本当に些細なところが勝敗の境目になってくる。レベルの高いチームとやることができて、いろんなものを吸収できているんじゃないかと思います」

「とにかく勝ち点を積み重ねて、自分が出場した試合で勝つ。そして、クリーンシートを出す。いつも言っているように、目に見える数字を出すことが大事です。結果を残すことに集中したい。パフォーマンスは(試合に)出れば出るだけついてくると思っている」

■大きな穴を埋められるか

サウサンプトンでは、最終ラインのリーダーを務めてきたオランダ代表CBのビルヒル・ファン・ダイクのリバプール移籍が決まった。吉田にかかる期待はこれまで以上に高まるだろう。当然、責務も重くなる。

不振に喘ぐチームを堅守で支えられるか。細部にこだわって失点を未然に防げるか。吉田が成長曲線を描けていけば、サウサンプトンはもちろん、6月にロシアW杯が控える日本代表にとっても大きな力になる。

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