8日のチャンピオンズリーグ（CL）準決勝2ndレグ、レアル・マドリー対バイエルン・ミュンヘン2-1でマドリーの勝利に終わった。2戦合計でも4-3と上回ったマドリーが、2021-22シーズン以来となるCL決勝進出を決めている。
これまで68回開催されたチャンピオンズカップ/リーグで2クラブ合わせて20回の優勝（マドリー14回、バイエルン6回）を誇り、そのタイトル独占率はなんと30％……。スペインの盟主とドイツの盟主による欧州クラシックマッチの今季第2戦目（通算28回目）であり、ボルシア・ドルトムントが待ち受ける決勝の切符をかけた決戦が、いよいよ幕を開けた。
1stレグを2-2ドローで終えていたマドリー＆バイエルンはこの2ndレグの前半、とにかく勝つことにこだわり、消極的な戦い方に終始した。トランジションからの攻撃を最大の武器とする両チームは、とにかく相手がそうした攻撃を仕掛けぬように最大限警戒。ボールを保持したマドリーは前のめりに攻めることを絶対にせず、堅守速攻狙いのバイエルンもそうしたマドリーの姿勢を受けて、なかなか縦に走ることができなかった。
あまりにも手堅い展開の中でも、ベルナベウの観客が突発的に叫び声を上げる瞬間は存在した。マドリーは13分、カルバハルの折り返しからペナルティーエリア内のヴィニシウスが右足でシュート。ボールは左ポストに直撃して跳ね返り、詰めていたロドリゴが押し込もうとしたが、GKノイアーにキャッチされた。対するバイエルンは28分、速攻からハリー・ケインがボレーシュートでゴールをうかがうも、こちらはGKルニンのセーブに遭っている。
マドリーはさらに40分、ペナルティーエリア手前左のヴィニシウスがシュート性のあるクロスを蹴り、これがそのまま枠内へ向かったが、ノイアーが横っ飛びでセーブ。試合はスコアレスのまま折り返しを迎えている（なおバイエルンは27分にニャブリ負傷交代でデイヴィスを入れている）。
迎えた後半はバイエルンがボールを保持し、マドリーがピッチ中盤で守備ブロック形成して速攻を狙う展開に。マドリーは前半に続いて、ヴィニシウスが躍動する。ブラジル代表FWはまず55分、得意のドリブルでキミッヒを破ってロドリゴの決定機をお膳立てすると（横パスに合わせたシュートはわずかに枠の右へ）、61分にも再びドリブル突破を見せて今度は自らシュートを放った。が、これはノイアーの好守に遭っている
そして69分、スコアが動いた。動かしたのは、ヴィニシウス中心のマドリーの攻勢に押されていたバイエルンだった。ピッチ中央でロドリゴからボールを奪いカウンターを発動させると、ハリー・ケインのサイドチェンジを受けたデイヴィスが強烈な右足のシュートを突き刺している。
ビハインドを負ったマドリーのアンチェロッティ監督は70分に選手交代に動き、クロース＆チュアメニとの交代でモドリッチ＆カマヴィンガを投入。その1分後にはモドリッチのCKからバイエルンのオウンゴールが決まったものの、VAR介入の結果、ナチョのキミッヒに対するファウルが取られてスコアに反映されなかった。
終盤はマドリーが前のめりになって攻めるも、バイエルンが堅い守りで同点ゴールを許さない。アンチェロッティ監督は81分にバルベルデとロドリゴをブラヒムとホセルに代える。
そうして始まったのだ。マドリーのいつもの逆転劇が。彼らはいつも、なぜか最後には勝ってしまう。最後に優勝した2シーズン前のCLでもベスト16のPSG戦、準々決勝チェルシー戦、準決勝マンチェスター・シティ戦で劇的に追いついたり逆転したりしたように。今季CL準々決勝シティ戦で執念のPK戦勝利を果たしたように。クラシコでも91分にベリンガムが逆転ゴールを決めたように……。彼らはなぜか、最後に笑っているのだ。
今回の逆転劇を牽引したのは、昨夏下部組織に在籍した同クラブに出戻った苦労人、ホセルだった。88分、ヴィニシウスのミドルシュートをノイアーが弾くと、34歳のFWがそのこぼれ球にすかさず反応。冷静にボールを枠内に押し込み、スコアをタイに戻した。ホセルはさらに91分、リュディガーのクロスを右足で巧みに流し込み、たった4分でスコアをひっくり返している。
逆転したマドリーはバイエルンの執念の猛攻を凌ぎ続けて、試合終了のホイッスルを迎えた。ベルナベウはマドリーの代表的なチャント「アシ！ アシ！ アシ・ガナ・エル・マドリー（マドリーはこう勝つ）！ 」「コモ・ノ・テ・ボイ・ア・ケレール（どうして愛さずにいられようか）」が何度となく響き渡り、またもドラマを起こした選手たちを称賛している。
なおCL決勝ドルトムント対レアル・マドリーは6月1日に行われる。
