20211030_Inagaki3(C)Kenichi Arai

名古屋グランパスを体現する稲垣祥。ルヴァンカップ決勝で決めた高精度シュートの秘訣は「数多くのシュートを外してきた」

名古屋グランパスに所属するMF稲垣祥が30日、JリーグYBCルヴァンカップ制覇後の会見に出席した。

名古屋は30日、ルヴァン杯決勝でセレッソ大阪と対戦して2-0で勝利。後半開始早々に左CKから前田直輝が先制点を沈めると、79分には稲垣祥がシュヴィルツォクのシュートのこぼれ球を突き刺して大会初タイトル獲得に大きく貢献した。

また、試合は大部分でC大阪にボールを持たれる展開となったが、稲垣は守備でも貢献。守備に人数を割く中、中盤で奮闘して相手に良い形でシュートまで持ち込ませなかった。

攻守両面で活躍した稲垣は大会MVPに選出されただけでなく、浦和レッズFWキャスパー・ユンカー、FC東京FWアダイウトン、横浜F・マリノスFW仲川輝人と並ぶ4得点で得点王にも輝いている。

試合後の会見に出席した稲垣は、まずは率直に「タイトルを取るって本当に良いことだなと改めて思いました」とコメント。続けて、27日に行われた準々決勝でもC大阪と対戦し、その際の0-3での完敗から立て直せた要因を振り返った。

「天皇杯で0-3で負けてから時間がなかったですけど、監督がしっかり戦術や修正するところを訂正してくれて、それにしっかり自分たちもピッチで応えてという、チーム全員で良い準備ができて良い試合運びができて、自分たちらしさをできたと思います」

とりわけ守備組織の構築に定評がある戦術家、マッシモ・フィッカデンティ監督からの指導が結果に直結したと語る稲垣。個人的には天皇杯で「自分が釣り出され過ぎてしまった部分」を反省し、「しっかり居るべきところに、抑える選手は自分がしっかり抑えないとという思いはあったので。そこは修正を加えて意識していました」とのこと。実際、ピッチでは中央に陣取って相手に自由なプレーをさせない徹底したプレッシャーを見せていた。

稲垣の力の源となったのは、指揮官の指導だけではない。追加点を挙げた後にはサポーターに駆け寄って喜びを分かち合ったが、天皇杯で敗れた後に受けた後押しから強く感謝の念を抱いていたようだ。

「天皇杯で0-3で負けて、本当に悔しい結果で。だけど0-3で負けているなかでも最後まで手拍子で僕たちの背中を押してくれていて、試合後にも切り替えて頑張れよと手拍子でその言葉を伝えてくれて。その思いには応えないといけないと思っていましたし、今日実際に2点目がああいう形で取れて、たまたまグランパスファミリーの皆様側でのゴールだったので、皆さんと喜びを分かち合えて本当に最高でした」

ルヴァン杯においては準決勝第2戦のFC東京戦でもファイナル進出を決める得点を記録し、明治安田生命J1リーグでも今季8ゴールと得点力を増加させている稲垣。守備面の貢献も欠かせないが、今や精度の高いミドルシュートは代名詞にもなっている。

得点数増加の秘訣について問われた稲垣は「自分も今年プロ8年目で色んな経験をしてきて、色んなシュートを打って、数多くのシュートを外してきて、そういった中で少しずつ少しずつ自分なりにその経験から学びながら修正して、少しずつ精度が上がってきたというところ。チームとしてもカウンターというところが一つグランパスの武器で、自分の走力が生きて、居るべきポジションにフリーで居られるということは自分のゴールが生まれる要因の一つ」と分析した。

天皇杯での敗戦から中2日のタイトルマッチで素晴らしいサッカーを見せたチームと同様に、修正を加え続けていることがキャリアにおいて大きな価値を生み出しているようだ。また、ピッチ上では指揮官の意向を最大限に反映し、サポーターの気持ちを背負う。クラブを体現するようなプレーをルヴァン杯決勝でも見せていた。

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