20201118-kawasaki-yokohamafm🄫Masahiro Ura

攻撃的なサッカーの追求が日本のサッカーをけん引する。神奈川ダービーで見えたJの底力

■10人の横浜FMが与え続けたプレッシャー

 首位を独走する川崎フロンターレと前年度王者の横浜F・マリノス。水曜日の夜、両者が相対する神奈川ダービーは、戦前から白熱した試合が予想された。

 果たして、両者の激突は期待通りの意地と意地がぶつかり合う好ゲームとなった。

 ファーストシュートを放つまで20分かかったことからもわかるように、試合はヒリヒリとした緊迫感のある展開で推移した。前半は横浜FMがわずかに優勢。一つのミスも許されない、手に汗握る攻防がピッチ上で繰り広げられた。

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 試合の潮目を変えたのは、前半40分の横浜FM・GK高丘陽平の一発退場だ。最終ラインの背後に出たボールの処理に畠中槙之輔がもたつくと、一瞬の隙を逃さなかった齋藤学がループシュート。前に出た高丘のハンドを誘い、相手の数を減らすことに成功した。

 この退場によって前半のうちに11人対10人に。一般的なセオリーで考えれば、首位を走る川崎Fが数的優位を生かして圧倒する展開になってもおかしくなかった。

 だが、ここから王者・横浜FMが意地を見せる。

 一人少ない状況でも自分たちの志向する攻撃的な姿勢を変えることなく、前線に2人の外国籍選手を置いていつでもカウンター攻撃を発動できる体勢を整えた。球際のデュエルに臆さず、集中した守備からいい攻撃へとつなげる。その意志は川崎Fサイドにプレッシャーを与えていた。

■等々力劇場を生み出したもの

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 それでも、今季の川崎Fは横浜FM以上に攻撃に重きを置くチームだった。

 それは後半スタートから三笘薫と大島僚太を投入した鬼木達監督の攻撃的な采配を見ても明らか。相手のカウンター攻撃を警戒しながらも、それより多くの得点を取るための手を打つ。川崎Fのゴールを目指す貪欲さが、最終的に相手の意地を上回ることになった。

 試合は三笘の個の力とジェジエウの決勝弾によって川崎Fが3-1で勝利。両者の激闘は等々力劇場で幕が下ろされた。

 ただ、記憶に留めておきたいのは横浜FMがグッドルーザーであったこと。この一戦を今シーズン屈指のハイレベルな試合にしたのは、間違いなく横浜FMの最後まで諦めない姿勢だった。

 ハイライトだけで完結するのはもったいないハイレベルな好ゲーム。鬼木達監督は改めて試合を振り返り、こんな言葉を残している。

「それぞれのチームにいろいろな戦い方がありますけど、本当にこの両チームは攻撃的なサッカーをしていた。自分たちには日本のサッカーを引っ張っていきたいという思いがありますが、マリノスにもそういう思いがあると思う。そういうチーム同士の熱い戦いだったのかなと思います。こういう戦いを常にしたかったですし、その中で勝ち切れたというのが自分たちの成長だと思っている。本当に両チームの選手・スタッフに感謝するとともに、こういうゲームを今後も数多くやっていきたいという思いがあります」

 等々力の夜を熱くさせたのは、どちらが強い、弱いではなく、互いに自分たちのサッカーを貫き、最後までゴールを奪いにいく攻撃的なサッカーを展開したことに他ならない。

 鬼木監督率いる川崎Fは、攻撃的なサッカーを追求することが日本のサッカーを引っ張っていくことだと信じ、頂点への道を突き進んでいく。

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