20201008-levain-tokyo-LEANDRO🄫Hiroto Taniyama

つかみ取った新国立への切符。川崎Fの破壊力を上回ったFC東京の“徹底”

■“相手の嫌なこと”をやり続けた

20201008-levain-tokyo🄫Hiroto Taniyama

 試合の終わりを告げるホイッスルがピッチに鳴り響くと、ベンチから歓喜の雄叫びが聞こえた。

 ルヴァンカップ準決勝。相手はリーグで首位を独走する、多摩川を隔てたライバル・川崎フロンターレ。

 激闘の末に2-0の勝利が確定すると、一人ひとりが抱き合い、ハイタッチし、「よし」と大きな声を上げた。選手、スタッフ、全員が歓喜を爆発させる姿は、この一戦に懸けていた思いがいかに強かったのかを感じさせた。

以下に続く

 まさに会心の勝利と言っていいだろう。14分に相手の隙を逃さずレアンドロが直接FKを決めて先制点を奪うと、その後は“相手の嫌なこと”をやり続けた。

 川崎Fにとって嫌なこととは、自陣に壁を築きスペースをなくすこと。その上で、いつでもカウンターを発動できる選手を前線に置き、相手に脅威を与え続けた。

 もちろんピンチがなかったわけではない。特に69分、大島僚太にシュートを打たれた場面は決まっていれば展開が大きく変わっていた可能性だってある。だが、このシーンではゴール前でシュートに対して複数人が反応。体を張ってブロックしたボールは、左のポストに当たってゴールとはならなかった。

■相手にボールを“回させた”

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 とにかく、最後まで集中を切らさなかった。相手のパスワークに混乱せず、徹底的にゴール前を固めて対抗。「守備の焦り、ストレスはまったくなくて、全員で意思統一できていた」と渡辺剛が振り返るように、相手にボールを回させ、常に自分たち主導で試合を進めた。味方のミスを体を張ってカバーし、球際でも競り負けない。細かいところの徹底が川崎Fの破壊力ある攻撃を上回った。

 そして、前述したように、この一戦にかける思いでも相手を上回っていた。この試合ですべての力を発揮するため、長谷川健太監督はここ数試合でメンバーを入れ替えながら戦い、ベストな布陣を模索。「準々決勝に勝ってからの試合の状態を見ながら一番良いメンバーを選んだ」とする言葉がすべてを物語るように、この試合に照準を当てた準備が勝利を手繰り寄せた。

 また、選手たちの気迫も違った。「監督が川崎F戦に向けて準備をしていることは分かっていた。そこに僕たちも懸けていた」と話した渡辺は、大一番でのチームの雰囲気について思いを明かしている。

「最近、川崎Fに悔しい負け方ばかりしていた。自分たちのプライドもそうだし、絶対に勝ちたいという気持ちが出た試合だったと思う」

 長谷川監督が準備した対川崎用の守備や相手のジョーカーである三笘薫に中村帆高をぶつける対策。そして、勝利へのプランを遂行した選手たち。

 一つひとつが積み重なったことで手にしたライバルからの勝利だった。

 決勝は11月7日、対するは柏レイソル。舞台は新国立競技場となる。

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