20220313_Martin Hinteregger_Frankfurt(C)Getty Images

人気プレーヤーが放出候補に。フランクフルト、ヒンターエッガーが極右派とのビジネス関係が発覚

長谷部誠や鎌田大地が所属するフランクフルトは今夏にオーストリア代表DFマルティン・ヒンターエッガーの放出を考えなければならないかもしれない。

大胆ながら悪気がないその素直なキャラクターが好かれる現在29歳のヒンターエッガーはフランクフルトファンの間で人気の存在。“ヒンティ”と呼ばれチャントも歌われる同選手は今シーズン、ヨーロッパリーグ準決勝ウェスト・ハムとの第2戦の序盤でケガし、ファイナルのレンジャーズ戦こそは欠場を強いられたが、ベスト16のベティス戦やバルセロナとの2戦ではCBとして勝ち上がりに大きく貢献したと言っても過言ではない。

しかしそんな彼が、ピッチ外でまたもやらかしてしまったのだ。今オフ中、オーストリアの地元でのイベント開催にあたって、同じ出身地の極右の政治家ハインリッヒ・ジックル氏とともに会社を設立したことをジャーナリストが9日付けの記事で暴露。本人の政治的の見方を問うものではなく、ネオナチ団体にも参加したことのある、最近でもアイデンティタリアン運動を支援することで同国で物議を醸すそのジックル氏とはどのような人物か知らないのかと疑問符を投げかける内容となっている。

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選手は同日、自身のSNSで「なんで僕を知らない人にこんなことを書かれなければいけないんだ」とジャーナリストを批判しながら、その政治家の「過去や今後の活動については知らない」としつつ、ビジネス関係を打ち切ることを示唆。一方、自身は「決して右翼ではないことを強調するし、今後も差別に反対する」と主張するも騒動については謝罪を口にせず、イベントの一部であるアマチュア・サッカー大会は予定通り開催することも明かしていた。

その数時間後にはクラブが声明を発表。過去には右翼のサポーターやフーリガン問題に悩まされていたフランクフルトだが、ヒンターエッガーの地元愛に理解を示しつつ、「アイントラハト・フランクフルトは包容力、世界市民主義、国際性を体現するクラブ。これはここ数十年、クラブの明確な指導原理となり、フランクフルトやこの地域のDNAに深く根ざしている」「多様性、ダイバーシティはアイントラハト・フランクフルトでは交渉の対象とはならない」と力強いメッセージを発信。一方、ヒンターエッガーとは連絡を取れていないことが明かされている。

これを受けドイツメディアやファンの多くはヒンターエッガーがジャーナリストを批判したこと、そして特に自らクラブに連絡していないことに戸惑っている模様。『フランクフルター・ルンドシャウ』によれば、ヒンターエッガーは自国『ORF』などの取材には応じるもクラブからの電話は翌日になっても拒否していたという。そして、これまでもトラブルを起こし続けてきたヒンターエッガーに対し、クラブもついに堪忍袋の緒が切れたようだ。『キッカー』など複数メディアと同様、同紙でも「関係の修復はもはや不可能、クラブは同選手を手放しがっている」と伝えられ、『シュポルト1』はマルクス・クレシェ役員の前任であるフレディ・ボビッチ氏が強化担当のヘルタ・ベルリンが300万~500万ユーロ程度の移籍金で獲得に動き出す可能性を指摘した。

アウクスブルク時代は当時の監督をTVインタビューで批判したヒンターエッガーは2019年1月にフランクフルトへレンタルで放出されると、その夏にアウクスブルクに戻った祭の言動も当時のドイツサッカー界で大きな話題に。フランクフルトロゴのバックパックを背負い所属元の練習施設に登場したことや同クラブのシュテファン・ロイターSD(スポーツディレクター)に対してフランクフルトへの完全移籍を容認しない限り現役引退するとも言い放ったとも報じられていた。

最近では自国メディアでヨーロッパリーグ準々決勝バルセロナとの1戦目と2戦目の間にクラブに「今夏に出ていけと言われた」と爆弾発言をした件も最近騒ぎに発展。この件についてクラブ側はオフ後に選手と話し合う予定だったが、今の状況では2024年までの契約を全うする可能性はなかなか考え難いかもしれない。

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