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純也、敬斗、僕らが評価を高めて、もっと多くの日本人選手がプレーできるように。南野拓実がリーグ・アンで感じる手応え

 リーグ・アンが実施するジャパン・メディアツアーの一環で、ASモナコの日本代表MF南野拓実にインタビューを実施した。地中海沿岸の美しい街・モナコのクラブハウスで南野は、移籍後のチームの状況や自身の成長に対する思いなどを語った。(取材・文=林遼平)

■十代のころに縁があったクラブ、モナコ

 リヴァプールからモナコに加入したのは、2022年夏だった。1年目は「適応に少し時間がかかた」と本人が振り返るとおり、リーグ・アン18試合出場1得点4アシストにとどまった。しかし、23-24シーズンより、かつてザルツブルクで指導を受けたアディ・ヒュッター監督が就任し、南野の特長を理解する指揮官のもと、飛躍を遂げる。2シーズン目となったモナコでの生活を「すごくいい」と語る表情からはその充実ぶりが伝わってくる。

20240328-takumi-minamino-ligue1(C)Ligue 1

――モナコに初めて来たときの印象と、実際に住んでの印象を教えてください。

以下に続く

 まず、いいなあ、と感じました。今まで住んだ街の中で一番住みやすいです。僕は15歳と16歳のときにここに2週間練習参加したことがあったんですけど、そのときから自分の中ではいつか行ってみたいクラブだと思っていました。そういった縁があったので、今ここでプレーできて幸せですし、街も最高ですし、言うことないです。

――今季、ここまでのシーズンを振り返ってください。

 チームとしても個人としてもいいスタートを切ることができました。ただ、シーズン途中に良くない時期もあり、数字も個人的には満足していません。もっと得点を取れたし、もっとチームに貢献できたと思います。

 チームの目標としては、チャンピオンズリーグの出場権獲得(リーグ戦4位以内)は非常に重要なミッションです。現在、3位につけているのは良いことですけど(3月18日時点)、ラスト8試合で、しっかり2位か3位をキープするために、攻撃の選手としてチームを引っ張っていかなければいけない。シーズンを通して攻撃面でチームを引っ張っていけたという自信になればいいなと思いますし、そのために一歩一歩集中してやっていきたいと思います。

――移籍1年目の昨季と比べての違いは?

 一番は、監督のサッカーが自分のスタイルにすごく合っていることです。また、昨季に比べて監督のやりたいことをよく理解してプレーできていますね。あとはプレシーズンのところで個人的にすごくハードなトレーニングを積んだおかげで、いいスタートが切れたと思っています。

――アジアカップ帰りで即出場するなど、チームからの信頼を感じます。

 あの時に関しては、僕自身、アジアカップが終わったからにはなるべく早く帰って試合に出たいという気持ちもありましたし、自分のポジションを他の選手に渡したくないという思いもありました。チームもあまりいい状況ではなかったので、何よりチームのためにプレーしたかった。もちろん監督に使ってもらえる、必要とされることは嬉しいですけど、だからこそ応え続けたいと思っています。

――先ほど結果に満足していないという言葉がありましたが、それは内容面ですか? それとも数字面ですか?

 両方ですね。毎試合、シュートは打っているんです。だから、それをやはりゴールに繋げたいと思いますし、攻撃のところでも「もっと起点になれたな、もっといい動き出しができたな」と思うので、そういうところを含めても満足してないという感じです。

■リーグアンはよりダイナミックでタフ

 今季はすでに、リーグ戦23試合6得点5アシストとすでに昨季を大きく上回った実績を重ねている。本人は「満足していない」と語るが、なぜここまでリーグ、そしてチームにフィットできているのか。

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――フランスに来てメンタル、プレー面で変わったなと感じる部分はありますか?

 リーグ・アンは他のリーグに比べて、よりダイナミックでタフな1対1の状況が多いリーグだと思っています。それに適応することに最初は少し時間がかかりました。ただ、いまは適応できたおかげで、守備でも攻撃でも目の前の1対の1間合いの感じや、どういう風に相手を外すのか、そういう局面にならないようにどうやってボールを受けるのか、来た当初に比べてそういったところが良くなってきていると思います。リーグ・アンンそこで相手より一歩先手を取ることや、自分の得意なプレー、例えばターンしたり、ボックス内でのポジショニング、そういうところはすごく通用している感覚がありますね。

――モナコはすごく伝統のあるクラブです。クラブの重みはどう感じていますか?

 サポーターたちは3位以内じゃないと納得してくれないことをすごく感じます。あまり大きいクラブではないチームと対戦して負けたりすると、これでは駄目だという雰囲気が、チームの中でも出てきます。ビッグクラブというか、強豪ならではの勝たないといけないプレッシャーは感じます。

――日本ではなかなか目にしない施設がモナコにはあります。リヴァプールなども経験してきた中で、設備面等で思うことがあれば教えてください。

 フィジカルスタッフたちがすごく優秀だなと。選手ごとにプログラムがあって、練習だけでなく練習が終わった後の筋トレやアジリティを高めるトレーニングなど、そういうところへのアプローチがすごく整っています。僕も去年1年間、すごくフィジカルのフィットのところで苦労しましたが、そのときに彼らとしっかりトレーニングを積めたおかげで、今シーズンいいパフォーマンスができていると思います。それを継続してやれていることは、フィジカルスタッフたちのおかげです。

――フィジカルスタッフはマンツーマンなんでしょうか?

 いやマンツーマンではないです。何人かいて、常にディスカッションしています。週に1回のリズムの中で、どこでパワー系のトレーニングを入れるか、瞬発系のトレーニングを入れるかというのがあるんです。そういうときにしっかり体重と自分が出せるパワーを計算して、いま自分が必要なトレーニングメニューを本当に細かいところまでコントロールしながらやっています。設備だけではなく、そういう優秀なスタッフたちもいることがモナコのいいところだと思います。

――そこまでの管理はなかなかないのでしょうか?

 代表に行くとそういう話をみんなでよくします。個人でやっている選手もいれば、チームでやっている選手もいますが、何が自分に合っているかというのを見つけることが一番大事。僕は去年1年間、フィジカルスタッフの下で難しい時期の中でも続けてきたからこそ、いま自分のフォームを取り戻すことができて、それを継続できています。だから僕にとっては、すごく合っていると感じています。そういうスタッフがチームにいることはすごく幸せだと思います。

――いろいろなリーグを経験された中で、日本人が適応して成長につなげていく場として、リーグ・アンはどういう場所だと感じますか?

 難しいですね。チームにもよると思いますが、フランスは割と(伊東)純也くんみたいな分かりやすい、特徴がある選手のほうがもしかしたら合っているんじゃないかなと思うところがあります。

 やはり1対1の部分が多いので、そこで勝てる選手が重宝されると思いますし、単純なアスリート能力ならば、アフリカ系の選手はすごいものを持っている。逆に僕みたいに、スペースを見つける能力やターンしてそこから攻撃へと繋げるということが、このタフなリーグ中でもできると、それはすごく自信になると思います。

――もっとリーグ・アンに日本人選手が来てほしいですか?

 もちろん、そうですね。やはり5大リーグにいろいろな選手がいれば、代表の競争も激しくなるし、それは日本にとって絶対に必要なことだと思います。だからこそ、僕や純也くん、(中村)敬斗がもっと活躍して、日本人の評価を高めて、どんどんいろいろな日本人がこのリーグでプレーできるようになればなと思います。

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