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日本が東京五輪で勝つための重要なステップ。AFC U-23選手権予選の価値と強化プラン

U-22日本代表は、ミャンマーで行われたAFC U-23選手権タイ2020予選(東京五輪1次予選)を3戦全勝で終え、2020年1月に開催される本戦への出場権を獲得した。いうまでもなくこの代表の最終目標は来年夏の東京五輪にある。それでは今大会が今後の強化にもたらすものとは? 現地取材を重ねるサッカーライター川端暁彦氏はこう総括する。

■横内監督代行が感じたプレッシャー

「もし負けたら、『ビルマの竪琴』の主人公のように、こちらで頭を丸めて僧になるしかないと思っていた」

U-22日本代表を率いた横内昭展監督代行はそう言って安堵の笑みを浮かべた。A代表を率いる森保一監督に代わってチームを預かるのは今回が3度目だが、これまではいずれも親善大会。公式戦、しかも次のステージに行けるかどうかという予選の指揮を執るのは今回が初めてだった。ただでさえ「慣れるなんてとんでもない」という状態だそうだが、今回のAFC U-23選手権予選(東京五輪1次予選)を通じて感じたプレッシャーはちょっと別格だったようである。

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▲森保監督の片腕である横内監督代行(左から2人目)©Getty Images

日本はすでに開催国として五輪出場権を得ているという状況ではあるのだが、やはり「予選」という場で感じられる緊張感というのは、親善試合とはちょっと比較できるものではない。今回の相手となったマカオ、東ティモール、ミャンマーは、いずれも日本と比べたときに力の差はある相手だった。スコアも8-0、6-0、7-0といずれも大差である。しかし冷静に振り返ってみたとき、楽勝だったと言えるかと言うと、決してそうでもない。

マカオとの初戦は粘りに粘られた末に前半は0-0で折り返すことになったし、東ティモール戦も「前半の1点がなければ、どんな状況になっていたか」(横内監督代行)という流れの試合だった。これが親善試合なら単純な圧勝で終わっていたに違いない相手なのだが、そうはならないのが「予選」である。代表チームの名誉を懸けての真剣勝負。心理的プレッシャーを感じながらの公式戦での試合経験は、やはり特別な意味がある。

その意味で、横内監督代行が「AFC U-23選手権の本大会への挑戦権を得られたことは非常に良かったなと思います」と振り返ったのは掛け値なしの本音だろう。五輪に限らず、開催国特権で出場資格を得たチームは強化の過程が親善試合ばかりになってしまい、真剣勝負の経験値を積めなくなるという問題に直面しがちだ。来年1月、アジア各国が五輪出場権を争う真剣勝負の場に出られることは、チームとしてそこで経験を積むのはもちろん、「真剣勝負の場で使える選手は誰か」を見極める意味でも意味があった。

五輪で勝つためのステップとして、重視された舞台への出場権を得ること。そのミッションを森保監督から託されていた横内監督代行が、大きなプレッシャーを感じていたのも当然だった。

■選手たちのタフな経験。A代表への可能性

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▲板倉も試合勘に問題がないことが分かった(C)Getty Images

もう一つ、今大会が「東京五輪の良いシミュレーションになる」(山本昌邦技術副委員長)と位置付けられていたのは、日中は40℃に迫る現地ミャンマーの厳しい暑さだ。東京五輪も日本の8月に開催されるため、確実に暑さとの戦いになる舞台。しかもW杯などと違って試合間隔も短く、さらに登録人数がたったの18人のためにターンオーバーもできない大会となる。「真夏の東京五輪は肉体的にも精神的にもタフな選手でなければ難しい」(森保監督)のは確実で、そうした選手が誰なのかを見極める場でもあった。

また大会前に心配されていた材料としては、新たに欧州へ移籍したものの試合に出られていない板倉滉(フローニンゲン)、中山雄太(ズヴォレ)の両選手の状態だったが、これは完全に杞憂だった。さすがに合流当初は欧州との気温差にやられた様子もあったものの、いざ試合となれば“らしい”プレーを連発。意識の高さとクオリティを見せ付けてくれた。

チームはこれでいったん解散となるが、次の招集がこの代表ではなくA代表となる選手もいよいよ増えてくるかもしれない。クロスの精度とバリエーションが改善され、攻撃面での着実な進歩を感じさせてくれた杉岡大暉(湘南ベルマーレ)などは有力候補だろう。もちろん、「そこ(A代表)は常に狙っているし、そのためにはJリーグで結果を出すしかない」(FW前田大然=松本山雅FC)のも当然のことで、それぞれの所属チームに戻った選手たちが、リーグのピッチで見せるプレーにあらためて注目していきたい。

取材・文=川端暁彦

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