2019_6_19_Keisuke_Osako(C)Getty Images

完敗チリ戦でデビュー…19歳GK大迫敬介が笑顔に秘めた剛毅さ、止まらない成長の予感

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柴崎岳とコパ・アメリカに出場する代表選手2

コパ・アメリカ2019初戦のチリ代表戦を日本時間18日に迎えた日本代表。そのピッチには若きゴールキーパーが立っていた。 鹿児島で生まれ育って、サンフレッチェ広島ユースで技を磨いた守護神、大迫敬介である。この試合では、権田修一が2010年1月に記録した20歳309日を超え、19歳325日でゴールキーパーとしての日本代表史上最年少デビューを飾ることとなった。

ただ、その結末は4失点での惨敗。並みの選手なら落とした肩が戻らなくなるであろう苦いデビュー戦となった。これが経験豊富なキーパーだったら、批判の的になっていてもおかしくはない。ただ、大迫のスタンスは一貫していた。

以下に続く

■表情は笑顔。でも反省は止まらない

2019_6_19_Chile 大迫はいつも笑顔を絶やさない柔和な表情の下に確かな剛毅さを秘めた選手である。試合後の取材エリアに現れたとき、大迫はいつもの大迫だった。課題は課題として認識した上で前を向いていた。「自分自身でも落ち着いてプレーできた感覚はあります」とした上で、チリサポーターが作り出した雰囲気も「自分としてはああいう雰囲気は結構好き」と、のまれることもなかった。

そして「だからこそゼロで抑えないといけなかったと思いますし、失点しているからには理由は必ずある」と言う。そこで「個人的に、今日の4失点で特にGK個人として悔いが残る失点は?」と聞いてみたのだが、言葉が止まらなくなった。

「2失点目と……2、3、4失点目ですかね」という「ほぼ全部やないか!」と思わず突っ込みたくなる一言から、おそらくすでに一度映像を観てきたのだろう。それぞれの失点をクリアに振り返った。単純なセーブの部分ではなく、ディフェンダーを動かす、試合の流れを読むといった部分にも反省の言葉が続く。

とにかく溢れているのは意欲と向上心。「勝たないといけない」「抑えないといけない」という言葉と同時に、南米王者チリのA代表と真剣勝負ができる幸せも確かに感じていた。

「テレビで観ていた選手たちが目の前にいて、対戦できた。世界のレベル、自分のプレーしているJリーグとの差をすごく感じます。今はすごく刺激を受けていますし、本当に『このままじゃダメだな』という感覚にも今はなっている」

■川島永嗣からの「学び」に目を輝かせる

2019_6_19_Kawashima(C)Getty Images そして刺激は敵だけでなく、味方からももらっている。長らく日本代表の正GKを務めてきた川島永嗣と一緒にトレーニングを重ねる日々も大迫にとっては大きな財産だ。

「楽しいですし、やっぱり海外でずっとトレーニングしている選手だけあって、1個1個のプレーの、やっぱり日本でやっているゴールキーパーとちょっと違うプレーをする。そのスタイルはすごく勉強になりますし、自分の中での良い基準になります」

15歳差の守護神から得られる「学び」に目を輝かせ、こう続けた。

「ジャンプのトレーニング一つからそうですし、相手との間合いの詰め方も、ものすごく上手い。相手にスキを与えないポジショニングとか、すごく勉強になります」

こうやって書いていくと、「勉強に来たのか?」と言われかねないのだが、大迫本人にそうした気持ちは毛頭ない。こうした会話の間にも必ず「でも勝ちたい」「でもゼロと抑えないと」というフレーズが必ず入ってくるのも大迫らしさだ。未知のレベルとの邂逅を最高に楽しんでいるのは間違いないのだが、それと勝利への飢えはまったく矛盾していない。

「今日みたいな相手というのはJリーグでは経験できないですし、ACLでもなかなか経験できない。そういう意味では、もちろん次こそ勝ちにいきますし、楽しみながらプレーしたいと思います」

そう言って笑った大迫に対し、最高の先輩と最高の敵手に囲まれる状況について「めっちゃ良い環境だね」とぶつけてみたところ、「もう最高ですね」と満面の笑顔を見せつつ、「でも、勝ちたいです。そこだけですね」とやっぱり続けた。

これぞ柔和さと剛毅さが同居する大迫らしさ。その姿勢を貫く限り、この男の成長はまだまだ止まりそうになく、次の試合からさっそく驚くようなプレーを見せてくれる可能性だってあるだろう。デビュー戦というエクスキューズが無くなる次のウルグアイ代表戦こそ、本当のA代表レギュラー奪取へ向けて、その真価を見せるときとなる。

取材・文=川端暁彦

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グループC第1節:6月18日(火)8:00~ 0-4 チリ
グループC第2節:6月21日(金)8:00~ vsウルグアイ
グループC第3節:6月25日(火)8:00~ vsエクアドル

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