2019_12_21_Nishimura(C)J.LEAGUE

【ジャッジリプレイ 総括編】苦しい審判の心情…グレーゾーンの判定、選手の気持ちは分かるが線を引かなければならない

気になったジャッジを徹底解説する「Jリーグ ジャッジリプレイ」。『 DAZN(ダゾーン) 』は17日、「ジャッジリプレイ SP1 2019総括編」と題して、今シーズン中に話題になったテーマを再び討論した。

今回の「総括編」には、レギュラーシーズンの放送でお馴染みのJリーグ原博実副理事長、JFAトップレフェリーグループの上川徹シニアマネージャー、Jリーグウォッチャーの平畠啓史さんに加えて、現役引退を発表した元日本代表DF坪井慶介と浦和レッズDF宇賀神友弥が登場。ハンド、オフサイド、DOGSO(決定機阻止)のそれぞれを題材に、今シーズン取り扱った事象を選手目線を交えて再び議論した。

『Goal』では、同コンテンツの中からハンドについての議論を紹介。明治安田生命J1リーグ第18節の北海道コンサドーレ札幌vs松本山雅FCでの出来事に関して、熱い議論が繰り広げられた。

以下に続く

■新競技規則ではハンド

札幌の攻撃シーン。67分にロングフィードを受けた菅大輝がボックス左まで侵攻してマイナスのパスを供給すると、中央に飛び込んだアンデルソン・ロペスがゴール目前で体勢を崩しつつ合わせる。これは松本DF飯田真輝の決死のカバーで防がれたが、スローで確認するとボールは飯田の手に直撃。しかし、試合の中でPKにはならず、ピッチ上でも札幌の選手たちが抗議する姿は見られなかった。

なお、このシーンは現在の競技規則に変わる前に行われた試合であり、前回番組内で取り扱った際には「意図的ではない」として満場一致でノーファウルとなった。

しかし、上川氏によればもし新競技規則であれば違う判断が下される可能性が高いようだ。

「以前はボールが蹴られた距離、あるいは予測ができるかできないかというようなものがハンドの反則の考慮材料に挙がったのですが、競技規則の改正後、そういうことは考えずにとにかく腕の位置がどこにあるか、不自然に大きくしているかどうか。特に腕の位置が肩より高い位置にあるか、大きく広げているかなど、腕の位置だけで判断するという方向に変わってきている。となると、この映像ではだいぶ高い位置にある」

坪井が「ではもう意図的かどうかは関係ない?」と確認すると、上川氏は「もちろん意図的かどうかという判断も反則とするかどうかの考慮材料に残ってはいますが、このケースでは腕の位置が明らかに身体から離れて高く上がっている。ハンドの反則になるリスクはとても高い」と返答。

これを受けて、坪井は「(上川氏から)ルール改正の説明があって、ハンドになっても仕方ないとは思うんですが、僕の心理としてはハンドにして欲しくないですね(笑)」と率直な意見を述べる。続けて、守備のリスク管理をするうえで不自然な対応を強いられることへの違和感も指摘した。

「よくJリーグのシーンでも、こうやって(腕を後ろに組んで)守備の対応をすることがあるんですけど、嫌なんですあれが……」

「もちろんペナルティの中では何度のリスクがあるので、仕方ない部分もあるんですけど、守備をするのにこっち(腕を後ろに組む姿勢)の方が不自然じゃないですか?そこは、僕は少しレフェリーの方にも議論して欲しい」

■審判も選手の気持ちは分かる

2019_12_21_Iida だが、今のルールではハンドをとられてしまうリスクが高いと上川氏は改めて強調。すると、原副理事長はこう主張した。

「やっぱり今のルールになっても、下のボールをスライディングしに行く時に出てしまった手なので、この手を不自然に高く上げていると言われたら……。これ不自然じゃないよね」

「そうしたら両手をついてスライディングするしかない。この手は、自然の流れと見て全然良くて、キーパーを見てこう(手を振る)動きがあったら別だけど、これは新規則になってもペナルティにするべきじゃない」

また、平畠さんから「選手側からしたら(ここでハンドをとられた場合)『いやいや!違うでしょ!』って言うんじゃないですか?」との意見を投げかけられた宇賀神もそれに同意。上川氏は、微妙な判定に関しては「グレーなところは残る」としつつも「どこかで線を引かないといけない」と述べた。

さらに、今回の事例でハンドがとられた場合は「得点の阻止になる」と上川氏が続けると、原副理事長は「これで退場になったら、それってやっぱりおかしい」と不満を露わに。坪井も「退場にはして欲しくないですね、せめて」と同調した。

上川氏は、審判としても心苦しい部分はあると吐露している。

「いつもお二人(原副理事長と平畠さん)の話を聞いていて、本当に僕も同感なんですけれども……」

「一貫性を持たせないと選手が迷ったりすることになるので、そこは審判の中で同じ考え方を持つ。競技規則に照らし合わせてになりますけどね。(選手の)気持ちは分かるんです」

さらに、「僕が現役の時はすごくレフェリーに任せられている範囲が広かった。今はレフェリーにとっても選手にとってもすごく細かく競技規則があるので、はっきり白黒つけようとしている傾向にあるので、仕方ない部分がある」と、時代の流れとともに訪れる変化に迎合していく必要があると締めた。

■24日に「VAR編」が公開

2019_12_21_VAR(C)Getty images 「ジャッジリプレイ SP1 2019総括編」では、この他にオフサイド、DOGSOについて徹底討論。特に、J1リーグ第30節の清水エスパルスvsジュビロ磐田、第20節ヴィッセル神戸vs横浜F・マリノスを題材にしたDOGSOに関する議論では、DOGSOを「初めて聞きました」と口にしていた坪井が、“DOGSOマスター”を襲名するまでに理解を深める姿も。

また、「ジャッジリプレイ SP」は「VAR編」も24日(火)に公開。ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)についての基本的な部分から、今シーズンから初めて導入されているプレミアリーグにおける運用の実態や課題についても、掘り下げる内容となっている。

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