2017-12-03-yuya-osako(C)Getty Images

過去最悪だった前半戦…大迫勇也の復調を促しうる二人のキーマンとは?【海外日本人前半戦総括】

大迫勇也(ケルン)

前半戦の結果:13試合出場(先発12)・1得点・0アシスト

チーム内の序列:FWのレギュラークラス

前半戦採点:4.5。ケルン攻撃陣はほぼ全員が低調な出来に終わった

以下に続く

後半戦の目標:ゴール数の増加と奇跡の残留への貢献

文=遠藤孝輔

独誌平均採点は主力の中で最悪の「4.54」

二桁得点という明確な目標を掲げ、ケルン加入4年目のシーズンを戦っている大迫勇也の前半戦は、想像以上に厳しい結果に終わった。プレシーズンマッチで足首の靭帯を痛め、ボルシア・メンヒェングラッドバッハとのダービーという重要な開幕戦を欠場。第2節のハンブルガーSV戦からスタメン出場が続いたが、新加入のFWジョン・コルドバとの連携がなかなか改善せず、不振に喘ぐチームと足並みを揃えるように精彩を欠いた。

待望の初ゴールは第7節のRBライプツィヒ戦で生まれた。0-2で迎えた82分にティム・ハンドヴェルカーのクロスに頭で合わせ、昨シーズンの最終節マインツ戦以来となる得点を記録。しかし、その後が続かなかった。ケガ人が相次いだチーム事情もあり、右サイドアタッカーでもプレー。17年のラスト3試合は出場停止と肺炎で欠場した。

前半戦のスタッツに目を向ければ、13試合出場で計21本のシュートを放ち、わずか1ゴール。アシストは一つも記録していない。2得点・3アシストを決めた昨季前半と数字上の開きは大きくないが、チャンスメイクを含めた貢献度やインパクトには雲泥の差がある。実際、キッカー誌の採点ではコンスタントにピッチに立っていたケルンの主力の中で最悪の「4.54」(1.0が最高で、6.0が最低の評価基準)。厳しい評価が下されている。

大迫本人が開幕前に「まずはブンデスリーガが大事」と位置付けていた舞台で停滞する一方、ヨーロッパリーグでのパフォーマンスも冴えなかった。実力と期待に見合う活躍を披露したのは、ヨーロッパリーグ第4節のBATEボリソフ戦のみ。後半からピッチに立つと、2ゴール・1アシストで勝利の立役者となった。ただ、この一戦で証明されたように、ハマった時の大迫が依然として大きな違いを作り出せるのは確かだ。

新戦力のCFと頼れるパサーとの連携に注目

シーズン前半の出来がパッとしなかったうえ、恩師のペーター・シュテーガー(現ドルトムント監督)がチームを去ったものの、大迫がケルンで居場所を失うことはないはずだ。後半戦の初戦である第18節のボルシア・メンヒェングラッドバッハ戦(1月14日)に向け、負傷離脱中のコルドバを除く5人のFW(ジモン・テロッデ、セル・ギラシー、クラウディオ・ピサーロ、ジモン・ツォラー、大迫)を起用できる状況になり、暫定監督を経て正式監督になったシュテファン・ルーテンベックはこう語っている。

「我々に多くの選択肢をもたらしてくれるよ。なにしろ大迫が(肺炎から予想以上のスピードで復帰を果たして)戻ってきたからね」

このコメントから窺えるのは、大迫のFW以外での起用もありうること。もし、1トップか2トップとは別のポジションが主戦場になれば、シーズン前に立てた個人目標(10ゴール)の達成はきわめて困難になる。その場合はゴール以上にチャンスメイクでの貢献が求められることになり、周囲からの評価基準は変わってくるが、何よりゴールを求める本人の希望に合わない。モチベーションをいかに高く保つかが活躍のカギになりそうだ。

2トップの一角がメインポジションとなる際は、二人の選手との連携に注目だ。一人は今冬に加入したCFのテロッデ。前線にどっしりと構える基準点型で、エリア内で強さを発揮する新戦力と相互理解を深め、昨季に2トップを組んだアントニー・モデスト(現・天津権健)と築いたような良好なパートナーシップを結びたい。やや独善的なプレーが目立つコルドバやギラシーより、テロッデの方が大迫との相性は良いはずだ。

もう一人は開幕直後に負った右足首の靭帯断裂から復帰し、後半戦の再起に燃えるヨナス・ヘクターだ。左サイドバック、もしくはボランチでの起用が予想されるこのドイツ代表のレフティーは、大迫が「走り出したところに必ずパスを送ってくれる」と信頼する視野の持ち主。もちろん、チーム全体が機能するのが大前提だが、ヘクターの復帰で大迫に訪れるチャンスの数はシーズン前半より多くなるかもしれない。

前半戦終了時点で残留圏となる15位に勝ち点11差の最下位に沈むケルン。奇跡の残留を果たすには、大迫の巻き返しも一つのキーファクターになるはずだ。

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