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20240417_Kokubo3(C)2024 Asian Football Confederation

U-23日本代表、10人の窮地救ったGK小久保玲央ブライアン。鋭敏で豪放な男の見せた細やかさ

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 パリ五輪アジア最終予選を兼ねて開催されるAFC U-23アジアカップ カタール2024。16日に初戦を迎えたU-23日本代表は、U-23中国代表と対戦した。【取材・文=川端暁彦】

 試合は開始8分にMF松木玖生(FC東京)の得点で先制したが、17分にDF西尾隆矢(セレッソ大阪)がレッドカードで退場。いきなりの劣勢を強いられることとなった。

 チームの最後尾を預かるGK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)は、その退場を「サッカーではあり得ること」とした上で、「彼(西尾隆矢)のために戦うというのは、みんなの頭の中にあったと思う」と言う。

以下に続く

 数的不利を強いられたことで、前日に話した「日本が主導権を握る展開になる」(小久保)という見立てとは真逆の劣勢になったものの、要所で好守を連発。試合運びにも抜け目なく寄与して、1-0の完封勝利の立役者となった。

■生粋のムードメーカー

20240417_Kokubo(C)Getty images

 小久保はこのチームのムードメーカーだ。早生まれでメンバー入りしている最年長組だが、誰彼構わずにフランクに接し、いわゆる「イジり役」と「イジられ役」の両方になれる稀少なタイプ。ピエロに回ることも多いが、基本的には気遣いの人でもある。

「初招集の選手とか初めて顔を合わす選手が馴染みやすいように」と、小久保が代表チームへ持ち込んだ“人狼ゲーム”も、すっかり恒例行事に。中国戦の3日前にも心理戦になるこのゲームに興じ、大いに盛り上げたという。

 メンバーから外れた選手、試合に出られない選手の話をすることも多く、前日には「馬場晴也(札幌)もこの前(3月の試合)良いプレーをしていたけれど、外れることになった。ミーティングではこれまで86人が呼ばれてきたという話もあったけれど、(今大会に選ばれなかった)63人のために戦いたいと思う」と語っていた。

 中国戦後も先発GKとしての素晴らしいパフォーマンスを称賛されると、すぐに「(ベンチに回った他のGK)2人が出ても同じように良いプレーができるんで」と強調し、「GKグループとして、どんどん上に行けたらいい」とサラリと嫌味なく言ってみせた。

■「ミスの多い未完の大器」からの脱皮

20240417_Kokubo_benfica(C)Getty images

 かつて豪放磊落なキャラクターは、GKというポジションにおいてはマイナスに作用することもあった。

 ナイジェリア人の父から受け継いだ長い手足を武器にしたセービングには早くから高い評価があった一方で、ユース年代では「迂闊なミスが多いGK」という評価もあった。いまの彼だけを知る人からは考えにくいと思うが、ピッチ外の振る舞いも“大人”とは言いがたいものがあった。逆にユース年代の小久保を知る指導者は、彼に会うとその立ち居振る舞いの成長ぶりに驚かされるとも言う。

 高校3年生でポルトガルの名門ベンフィカからのオファーを受けて渡欧。言葉も通じない異国の地で孤独な挑戦を始めた経験が、ヤンチャな少年を人間的に大きく成長させたのは間違いないだろう。以前、「自分でも変わったなと思います」と笑顔で話してくれたことがあるが、精神面で落ち着きを獲得したことが、プレー面でも大きな変化を生んできた。

 ベンフィカではトップチームの試合になかなか絡めず、悔しい思いも溜めているが、そうしたネガティブな空気感を持ち込むようなことも全くない。この中国戦でも劣勢の展開になる中で、ひたすらポジティブな声がけを続けた。

■連発したグッドセーブ

20240417_Kokubo2(C)Getty images

 試合の中でのハイライトは後半開始直後のビッグセーブだろう。いきなりディフェンスラインの裏へと抜け出される最悪の形を作られ、しかも判断の難しいシチュエーションになった。

「(内野)貴史が(選手のマークに付いて)いたので、自分が出るか迷いました。でも貴史が入れ替わられてしまって、その中で落ち着いて、しっかり自分の持ち味である一対一の体を開くところのタイミングを待てて、(シュートが)手に当たってくれて良かったと思います」(小久保)

 クールに判断を変えて、左手一本のビッグセーブ。前半にヘディングシュートを横っ跳びで防いだ場面なども含め、要所での好守でチームを救ってみせた。

 大柄な選手が多い中国に対してポイントと見られていたセットプレーでも守備の中心として機能。前日練習では一人減った10人での対応も、さまざまな選手が退場したバリエーションを交えてシミュレーションしており、「要るのかなと思ったけど、やっといて良かった」と笑顔で振り返った。

「(セットプレーの守備を担当する)浜さん(浜野征哉GKコーチ)中心にやってきたことが出た。10人になることを想定しての練習は、日本ならではの細かやかさだと思う。ベンフィカだったら、そんな細かいことはやらない(笑)。自分もそういうやり方に慣れちゃっていたけど、やっぱりこういう細かい準備が日本は素晴らしいなと思う」(小久保)

 準備が実を結ぶ形で見事に完封勝利。試合後、選手たちに謝罪した西尾について小久保は「みんなで気にせずふざけて『大丈夫だ』って感じで盛り上がった」と茶化して慰めたと言い、「彼のために次の試合も戦っていきたい。全然問題ないです」と前を向く。

 明るく爽やかに、そして細やかに。小久保玲央ブライアンが「日本の1番」にふさわしい立ち居振る舞いとセービングで、チームを窮地を救ってみせた。

【次戦情報】

  • AFC U23アジアカップ カタール2024
  • グループステージ第2戦
  • UAE vs 日本
  • 日時:4月19日(金)24時30分キックオフ
  • 解説:林陵平
  • 実況:桑原学
  • 配信:DAZNにてライブ配信
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