このページにはアフィリエイトリンクが含まれています。提供されたリンクから加入を申し込むと、料金が発生する場合があります。
20240328-asics-md-interview(C)ASICS

「最後まで走り切りたい」部活生のためのスパイク。アシックス社員が語る開発秘話

「DS LIGHT」シリーズ25周年

DS LIGHT PRO

アシックス「DS LIGHT」シリーズ最新作
部活生の声をもとに開発された「DS LIGHT PRO」発売中!

新作ラインアップはアシックス公式サイトでチェック!

DS LIGHT PRO

DS LIGHTシリーズ

最新モデルをチェック

 日本人の「足」を探求し続けるアシックスが、日本で企画し、神戸にあるアシックススポーツ工学研究所で研究を進めて生まれた「DS LIGHT」シリーズ。今年は同シリーズ25周年となるが、最新モデル「DS LIGHT PRO」は、サッカーに取り組む現役高校生選手たちの声が集約されたスパイクとなっている。部活生たちの悩みに応えるためにはどのような機能が必要なのか? 今回は商品企画・開発に携わる二人のキーマン、サッカースパイク企画担当の金田淳志さんと開発担当の新堀正博さんに、最新モデルの開発ストーリーを聞いた。(写真向かって左・新堀さん、右・金田さん)

▶アシックス公式サイトで「DS LIGHT PRO」のラインアップをチェック!

■「試合終盤、あと少し走れれば…」

 商品企画のきっかけは実際に使用する選手の声だ。約2年をかけた新しい「DS LIGHT PRO」プロジェクトは、部活生へのヒアリングから始まった。

以下に続く

金田淳志さん(以下金田) まずは、部活生に悩みを聞きました。一番多かったのが「最後まで走り切れなかった」ということ。「体力がもう少し温存できていれば、あと1本パスを通せたのに」とか、「あと少し走れれば、シュートブロックできたのに」といった声が多く寄せられたんです。

 そこで、その悩みに応える手段、足の負担の軽減を「構造」や「素材」で可能にできないかと開発サイドに伝えました。出てきた答えの一つがかかとのクッション性を上げること。人間は走る時にかかとの外側から着地するんですけど、そこで衝撃を緩衝すれば足の負担軽減につながるんです。

新堀正博さん(以下新堀) かかとのクッション性を上げようという課題をアシックススポーツ工学研究所で力学的、工学的な側面も含めて検討しました。構造や材料配置を決めていき試験を行い、前のモデルより何%負荷が軽減されるといった数値情報を得た上で、選手たちに数カ月履いてもらって声を集めます。「負荷が減ったように感じた」とか、「なんか走れる気がする」といった選手たちの“感覚”と数値データを合わせながら商品を作っていきます。

20240327-asics-gel-spike(C)ASICS

新堀 具体的には、ゲル素材と構造、この2つの項目でクッション性を上げました。ゲルというとプニプニしたイメージがあると思うんですけど、私たちの開発した「fuzeGEL(フューズゲル)」はポンッと発泡させてスポンジにして軽量化しているのでプニプニしていません。

 軽くてクッション性がある「fuzeGEL」をシューズの中に埋め込むには、変形することがすごく重要で、ここで「構造」が大切になってきます。ソール(靴底)が変形すればするほどクッション性がある印象ですけど、変形し過ぎると不安定でグラグラします。グラつかない範囲で変形させるための「構造」を工夫しました。

 具体的には、ソールは2種類の樹脂でできています。画像のカラーのソールで、色がシルバーの部分は、硬くて耐摩耗性に優れた樹脂、水色の部分が少し柔らかい樹脂を使用しています。水色の柔らかい樹脂が硬い樹脂を覆っていることにより、変形がしやすくかつグラつきにくい。着地した際に踵部が変形するので、足にかかる負荷が構造としても軽減されています。前のモデルよりも、より緩衝性が上がったことがデータ的にも証明されているモデルなのです。

■丈夫で、でも素足のように蹴りたい

 スパイクは安くはないので、そうそう頻繁に買い替えられるものでもない。丈夫なことも大切な要素だ。また、フィット感とホールド感はプレーをするうえで大切なポイントであり、この機能をさらに高めるための工夫も施されている。

金田 部活生が練習や試合をするピッチは人工芝も増えているのですが、まだまだ土のグラウンドも多いです。なので、靴底の「すり減りにくさ」を求める声も多いんですよ。今回発売した「DS LIGHT PRO」、「DS LIGHT ADVANCE」の2種は靴底に従来よりも約2倍の耐摩耗性(アシックス比)がある「耐摩耗ウレタン」を使用しています。

新堀 ウレタンは一般的に使われる材料ですが、そこに添加物を加えた特別なウレタンになります。アシックスのオリジナルの配合で仕上げた、耐摩耗ウレタンです。

金田 そういった材料開発からできるところは、研究所を持っているメリットであり、私たちの強みですね。

20240327-asics-sports-science(C)ASICS

金田 あと、サッカーという競技の特徴は「足でボールを扱う」ところです。そのためにはやはり、素足のような感覚が大切です。「DS LIGHT PRO」、「DS LIGHT PRO AG」の前足部は天然皮革を使用していて、外側の中足部から後ろ部分は樹脂コーティングされたメッシュ素材です。メッシュはすごく柔らかくて、柔らかいほうが足にフィットしやすい。でも、柔らか過ぎるとホールド性や耐久性が落ちるので、樹脂をコーティングすることによって柔らかさと耐久性を両立しています。

 また、天然皮革を使用した前足部にステッチが入っています。天然皮革は柔らかい一方で伸び過ぎるので、ステッチを入れて伸びにくくしました。見た目の高級感もあります。部活生にアンケートを取った結果、ステッチのほうが高級感を感じるという答えが多かったんですよ。

新堀 開発の際には、「素足感覚」という言葉をよく使うんですけど、「足そのまま」のような感覚でプレーができるようです。より細やかなボールタッチが可能になるので、選手のパフォーマンスを上げるところにつながるかなと。

■つま先部分の高さはなぜ大切?

 人それぞれ、足の形は異なる。幅、甲の高さ、指の長さ。「DS LIGHT」シリーズは日本人の足に合うように靴型(ラスト)が設計されているが、今回は特に目に見える部分でのアップデートも施されている。

新堀 足を入れたとき親指に圧迫感を感じるとか、 つま先部が詰まり足が入り切らず、前足部が窮屈に感じるという声が、部活生からありました。そこで、今回の大切なアップデートの一つ、「つま先部分の高さ」を変更しました。「ラスト」という靴型の変更を行い、現行モデルより少し高くしてあります。そういった高さに加え、「DS LIGHT PRO」はウイズ(靴幅)もスタンダード、ナロー、ワイドと複数展開していますので、より多くの人が自分の足にあったものを選べると思っています。

20240327-asics-sports-science2(C)ASICS

金田 アシックスのサッカースパイクは、日本人選手の意見を聞いて日本で企画をしています。日本のユーザー、部活生に向けてものづくりができていることも大きなポイントだと感じています。世界は広く、人種が違えば文化も足形も違うなかで、「日本人の足に合いやすい」ことは、アシックスが 誇れる特長だと思っています。

新堀 企画と開発が一体となって、高校生にヒアリングに行くなど、一緒に行動しながら日本のサッカープレーヤーのために、ものづくりをしています。グローバリゼーションもありますが、サッカー、日本だけのためのものづくりを行えている。それが開発に携わる僕らとしてもありがたいことです。ぜひ一度、スパイクを試してみてください。

▶アシックス公式サイトで「DS LIGHT PRO」のラインアップをチェック!