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目指すは「齋藤学超え」…新進気鋭の20歳・遠藤渓太が描く未来図とは【J1注目選手:横浜F・マリノス】

齋藤学が川崎フロンターレへの移籍を決意し、マルティノスは浦和レッズに新天地を求めた。今オフ、横浜FMの攻撃をけん引してきた2選手がチームを去った。リーグ屈指の打開力を持つ“両翼"を失ったことにより、新たな武器を見つけなければならない危機に瀕している。

では、空席となった両サイドに誰が座るのか。

新加入の大津祐樹やユン・イルロク、昨季途中に加入したイッペイ・シノヅカ、あるいはアビスパ福岡への期限付き移籍から復帰した仲川輝人らが激しいポジション争いを繰り広げているが、その中でプロ3年目・遠藤渓太にかかる期待は大きい。

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■昨季は定位置奪取がテーマに

遠藤はユースからトップチームに昇格した2016年にプロデビューを飾り、ルーキーイヤーながらリーグ戦23試合に出場。齋藤、マルティノスに次ぐ第3のサイドアタッカーとしてエリク・モンバエルツ前監督に才能を発掘された。当時は「ビックリしました。しかも、いきなり先発でのデビューだったので」と驚きを隠せなかったが、ピッチに立てばJ1の猛者たちと堂々渡り合った。チーム1、2位を争う俊足を武器に果敢なドリブル突破を試み、チャンスを作っていく。得点こそ記録できなかったがルーキーイヤーに存在感を発揮した。

そして定位置奪取をテーマに掲げて臨んだ昨季。しかし、現実は甘くなかった。

開幕からベンチメンバーには入るものの、前記した2枚看板を脅かすには至らず。途中出場の短い時間で結果を残せず、ゴールチャンスから遠ざかってしまう。

「2年目を迎えるにあたって数字の目標は立てていませんでした。でも試合のメンバー表を見て、出場試合数ばかり増えて、隣にある得点数がずっと0のままなのは気になっていました」

チャンスは突然やってくる。第28節・ガンバ大阪戦の前半に右サイドバックの松原健が負傷交代を余儀なくされる。指揮官に名前を呼ばれたのは遠藤だった。すると本職ではない右SBで攻守に奮闘。試合終了間際にこぼれ球を押し込み、念願のリーグ戦初ゴールがこの試合の決勝点となった。

続く第30節の鹿島アントラーズ戦でも好パフォーマンスを見せる。結果に飢える19歳は途中出場でも意に介さない。果敢にペナルティエリア内へ走り込んで決勝ゴールを記録し、首位を快走するチームから勝ち点3をもぎ取った。2年目は出場試合数、時間ともに1年目よりも少なかったが、ゴールという結果で成長を示した。

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■今季、目指すは齋藤学超え

迎えた今季、背番号は18から11に変更。昨季は齋藤が背番号10を背負ったことで空き番となっていたが、遠藤は契約更改の際に自ら背番号11への変更を希望。それをクラブが了承した形だ。

遠藤にとって背番号11は齋藤学と同義だ。同じ育成組織出身で、ドリブル突破を得意とするアタッカーなど、共通点は多い。したがって、この変更には『齋藤学超え』という明確な目標が意味として込められている。 遠藤は同じピッチで2年間しのぎを削った先輩アタッカーへの率直な思いを吐露した。

「学くんは尊敬する先輩ですが、選手としては超えなければいけない存在です。でも一緒にプレーした2年間で、自分は学くんからポジションの座を奪うことはできなかった。同じチームで勝負して自分が試合に出たかった」

胸の内に秘めていた野望は達成できずに終わった。だからといって立ち止まるわけにはいかない。昨季、齋藤が背番号10への変更を志願したように、今回の遠藤もまた自らに高いハードルを課すために背番号11を身にまとう。ではプロとして過ごした過去2年間を、自身はどのように分析しているのか。

「背番号11を自分の色に染めないといけません。でも、今は実力がともなっていないかもしれないし、周囲からは厳しい言葉もかけられます。思い返してみれば昨シーズンは印象的なゴールを決めただけで、数字としては2ゴールだけ。先発したのはわずか3試合だけで、悔しい気持ちのほうが圧倒的に大きかった。だから今年は自分の成長をピッチで示さなければいけない」

背番号変更によって退路を断った。3年目は勝負のシーズンとなる。

横浜FMは1月1日も天皇杯決勝までシーズンを戦い、遠藤はそのままオフなしでU-21日本代表として中国遠征へ。貴重な国際経験を積み、チームには1月31日の宮崎キャンプから合流した。

クラブは新たにアンジェ・ポステコグルー監督を招聘し、アタッキングフットボールを標榜している。その中でサイドアタッカーにはこれまで以上に相手の背後を狙う動きが求められ、攻撃を加速させる役割を担う。ここまでは一貫して左サイドで起用され、齋藤が抜けたポジションを韓国人のユン・イルロクと争っている。

「背番号11になったからといって試合に出られる保証なんてありません。学くんやマルちゃん(マルティノス)以外にもライバルは多い。でも、自分がチームを引っ張っていくくらいの覚悟でやるつもりです。チームを勝利に導ける選手にならなければいけない」

若返りを推し進めるチームにおいて、新時代の旗手となる。新進気鋭の20歳だが、期待値の大きさは若手とは違う。期待とプレッシャーと、そして新たな背番号を背負い、遠藤渓太が2018年を勇躍の年にする。

写真・文=藤井雅彦

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