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■「負ければ終わり」の大一番を制したシティ
「負ければ(タイトルレースは)終わっていた」――。ペップ・グアルディオラは試合後にそう語っている。
プレミアリーグ、年末年始の連戦を締めくくるに相応しい黄金カードにして運命の“シックスポインター”を制したのは、マンチェスター・シティだった。思えば、昨季のシティに初めて土がついたのも1月。その時は23試合目、アンフィールドでのリヴァプール戦(3-4)だった。今季は逆にエティハド・スタジアムでシティが2-1とリヴァプールを破り、21試合目で首位チームにシーズン初黒星をつける形となった。
スコアレスドローだった10月の前回対戦は、互いにリスクマネジメント重視の重たいゲーム展開だった。今回も高度な戦術的駆け引きに満ちたスリリングな試合となったが、その中で3つのファインゴールが生まれている。40分、シティに先制点をもたらしたのはセルヒオ・アグエロ。二重、三重の分厚い攻撃から、最後はベルナルド・シウバのクロスを受け、ほぼゼロ角度からニアの天井をぶち抜くスーパーゴールを決めてみせた。そして64分、今度はリヴァプールがトレント・アレクサンダー=アーノルドからアンドリュー・ロバートソンという「SB→SB」のサイドチェンジでチャンスを作る十八番の形で崩し、最後はロベルト・フィルミーノがヘッドで押し込み同点に。一進一退の攻防が続く中、決勝ゴールを奪ったのはシティ。逆転を目指して前がかりになったリヴァプールのお株を奪うカウンターからラヒーム・スターリングがボールを持ち出すと、斜めに走ったアグエロにアーノルドがついたことで生まれたスペースにレロイ・サネが走り込み、得意の左足でアリソン・ベッカーの牙城を撃ち抜いた。
かくして、リーグ最少失点のリヴァプールから今季プレミアで初めて複数ゴールを奪ったシティが、首位との差を4ポイントに詰めた。ポールポジションにいるのは未だユルゲン・クロップのチームだが、これでプレミアの優勝争いはまた分からなくなった。
■リスク覚悟のペップ、受けに回ったクロップ

リヴァプールにとっては、18分に訪れたこの試合最初のビッグチャンスで先手を奪えなかったのが痛かっただろう。シティのプレスをうまく外してモハメド・サラーがフィルミーノとのワンツーで中央を突破し、サディオ・マネにスルーパス。マネのシュートはポストに嫌われ、リバウンドにサラーが突っ込んだが、ゴールライン上ギリギリでジョン・ストーンズが間一髪クリアし、シティが守りきった。これが入っていれば、リヴァプールは余裕を持った試合運びができたはずだ。
正直、前半のリヴァプールが「ゲーゲンプレスで奪って縦に速く攻める」という必勝パターンを出せたのはこのシーンくらいだった。リヴァプールは3トップに良い縦パスをつけられさえすれば、それを合図にスピードを落とさず相手ゴールまで迫ることができる。だが、この日は中盤でシティのプレスがよく効いていて、縦パス自体がなかなかうまく入らなかった。
同時に、クロップがこの試合はやや“受け”に回った印象だったのも事実だ。フォアチェックよりも中盤以下を圧縮するようなコンパクトな陣形を優先したが、プレッシングがいつもより緩く、効果的なボール奪取ができなかった。奪い方が良くない故に、その後の攻撃もスムーズさを欠き、最前線から中盤に下りてくるフィルミーノに良いなくさびのパスが入らない。フィルミーノ自身のコンディションやポジショニングは悪くなく、良い絡み方ができればチャンスになるが、その回数が通常より少なかった。その上、彼の位置にはフェルナンジーニョという機動力と予測力に優れたアンカーがおり、常に邪魔をしたことも大きなポイントだった。
結果、リヴァプールの攻撃は外に押し出される形になったが、スターリングとサネに牽制された両SBはいつものように攻撃参加をさせてもらえない。かたやシティはサラー、マネにボールが渡れば必ず複数人でチェックにいき、自慢の両WGを徹底的に潰した。この辺りは、負ければ後がなかったペップが採った「ウイングを高い位置に張らせる」というリスク覚悟のアグレッシブなアプローチが実った結果だろう。
■クロップはなぜシャキリを先発させなかったのか

ニューカッスル(4-0)とアーセナル(5-1)を粉砕した直近の2試合では、リヴァプールはジェルダン・シャキリを先発させる「4-2-3-1」を採用していた。サラー、マネ、フィルミーノにシャキリを加えた4枚が同時出場している時のリヴァプールは、シャキリが右ワイドと右インサイドハーフを自由に行ったり来たりすることで「4-2-3-1」と「4-3-3」を流れの中で可変させ、相手守備陣を混乱させた上で両SBが高い位置を取り、さらにその中でシャキリが創造力豊かな左足を振るうという必勝パターンを確立しつつあった。
だが、クロップはこの大一番で“昨季仕様”の「4-3-3」を選んだ。実際、その決断もわからなくはない。新型の「4-2-3-1」は攻撃の流動性が増す一方で、細かく見ていくと、まだ加入して日が浅いシャキリのところでボールロストが目立ったり、可変型で彼が自由に動くことでコンビネーションが複雑化し、パスがずれてボールを失うシーンもあったりと、被カウンター時の危険が増すのも事実だからだ。たった1つのミスも見逃さないペップ・シティのような強敵に対し、クロップがよりリスク回避の選択をしたこと自体は決して責められないが、今回はリスクを負ったペップに軍配が上がったということだ。
■紙一重のリヴァプールとシティ、最後に笑うのは?

もう1つポイントを加えるとすれば、この試合のペップは、クロップが試合中に切った交代カードに対する策も十分なものだった。クロップは57分にジェイムズ・ミルナーをファビーニョに代え、ジョルジニオ・ワイナルドゥムを左サイドにスライドさせて「4-2-3-1」に並びを変えたが、ペップは直後にダビド・シルバを下げてイルカイ・ギュンドアンを投入し、アンカーのフェルナンジーニョをサポートさせることでこれに対応した。また終了間際にクロップがフィルジル・ファン・ダイクを前線に上げてパワープレーを実行すれば、ペップはすかさずニコラス・オタメンディを送り出してこれに対抗し、彼のチームには似合わない“泥臭い”決死の守備でゴールを守りきるというスクランブルにも応じてみせた。
実際、両チームの差は紙一重だった。前半にマネが放ったシュートがポストの外側に弾かれ、後半にサネが放ったシュートがポストの内側に転がってネットに収まった――それくらいの差しかなかった。ただ、両監督のほんのわずかなリスクに対する考え方の差や、ちょっとした采配の効果が、今回は1点差のスコアになって表れただけと言えるだろう。
リヴァプールとシティ、そしてクロップとペップ――。今回もまた名勝負を生み出した両者のライバル関係は、これからもタイトルレースという形で続いていく。5月、最後に笑うのは果たしてどちらだろうか。直接対決はシティの1勝1分けで幕を閉じたが、まだタイトルに近いのはリヴァプール。この戦いは、最後まで決して見逃せない。
文=大谷駿
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