ジェネレーション・ロナウド〜クリスティアーノはどう世界を変えたのか?〜

クリスティアーノ・ロナウドは、どのように世界を変えたか

飛行機でポルトガル領のマデイラ諸島に着陸したら、その終着地はクリスティアーノ・ロナウド国際空港だ。そこからは車で街へ行くことができ、右手に輝く海が広がる、マデイラ諸島の最新流行のホテル、ペスタナCR7フンシャルが待っている。

当然のことながら、このホテルの廊下の壁には、レアル・マドリーの歴代最多得点者、クリスティアーノ・ロナウドの写真が並んでいる。ふかふかの絨毯は緑色で、サッカーのピッチを思わせる。ロナウドの成功と栄光の表れだ。

そこで1泊すると、ロナウドの直筆サイン入りのハガキがもらえる。2泊すれば、さらにグレードアップして、サイン入りのボールがもらえるのだ。
マデイラ諸島の人気者が共同出資するペスタナCR7ホテルは、他にポルトガル本土のリスボンでも営業している。マドリードにもオープンする予定で、さらにニューヨークにも、早々に地所を確保した。

ベッドに飛び乗ってリラックスし、CR7のブランケットをかぶって、付録のApple TV Stickで「ロナウド」のドキュメンタリーを見よう。

シャワーを浴びてさっぱりしたら、CR7のアンダーウェアとCR7のデニムのジーンズとCR7のシャツを着る。CR7の香水をすこし振りかけて、手縫いのCR7の靴を履けば、お出かけの準備完了だ。

隣にはCR7博物館があり、ロナウドが、個人としてもチームとしても華々しく成功した証が飾られている。チャンピオンズリーグやバロンドールのレプリカや『Goal 50』のトロフィーも、見ることができるのだ。

戸外に設置されたクリスティアーノ・ロナウドの銅像と一緒に、#CR7Selfieのアプリで自撮りをすれば、永遠の思い出の品となるだろう。

「ロナウドはベッカムよりも若く、イケメンで、才能がある。すべてが備わっているんだ。ロナウドは第二のベッカニズム世代だ」

マーク・シンプソン。作家兼ジャーナリスト。「メトロセクシュアル」という言葉の生みの親。

ナイキのトレーナーやサッカーシューズからシャンプー、イヤホン、エジプシャン・スチールまで、誰もがクリスティアーノ・ロナウドが持っているものを欲しがる。ロナウドは、世界で最も有名で、最も高額な報酬を得ているアスリートであり、フォーブス誌によると、2016年の年収は8,800万ドルと推定されている。

ロナウドのインスタグラムは、広告収入で31万ユーロを稼ぎだしていると言われていて、アメリカの女優、キム・カーダシアンとセレーナ・ゴメスに次いで3番目に高額だ。

ロナウドは崇拝され、うらやましがられ、マネされている。

世界中どこに行っても、ロナウドのポルトガル代表のユニフォームやレアル・マドリーのユニフォームを着ている少年や大人たちに会える。FIFAが放映するどの試合にも、ロナウドが現われて、視聴者を見つめている。ロナウドを見ない日はない。

「ポルトガル人として、彼を誇りに思う」と、元チームメイトのヌーノ・ゴメスが語ってくれた。

「エウゼビオやルイス・フィーゴやマヌエル・ルイ・コスタを誇りに思うのと同じだ」

「ポルトガルは小さな国だけど、偉大なサッカー選手を何人も輩出している」

「クリスティアーノは世界最高の選手の一人だ。もちろん、彼を誇りに思う。彼を大いにリスペクトしている」

「できるだけ長くプレーし続けて欲しいと思っている。彼がプレーできる限り、ポルトガル代表でいて欲しいからね」

ロナウドは、これまでのどの選手にも見られなかったタイプの、卓越した選手だ。マンチェスター・ユナイテッドの背番号7として過去に名をはせたジョージ・ベストやデイヴィッド・ベッカムは、それぞれの流行やマニアを生みだした。だが、ロナウドほど、ピッチでのプレーとピッチの外でのスター性を兼ね備えた、恐るべき力は持っていなかった。

ロナウドがサッカー選手として勝ち得てきたゴール数、トロフィーの数、輝かしい瞬間に匹敵するような活躍をした選手は誰もいないし、ロナウドには、独特のハリウッドばりの魅力もある。

ロナウドは、史上最高のカリスマとして、サッカー界のトップに君臨している。作家にしてジャーナリスト、ポップカルチャーの専門家であるマーク・シンプソンは言う。

「ロナウドは、かつて世界を席巻したデイヴィッド・ベッカムと同じサッカー選手であり、魅力的な人間でもある」

成し遂げてきた数々の功績により、歴代最高のサッカー選手のひとりとみなされるようになってきている。だがロナウドは、歴代の偉大な選手たちより、はるかに多くのものをもたらしている。

「ジョージ・ベストは今まで数多くのサッカー選手と比べられてきたが、『嬉しいのはロナウドと比べられることだけだ』と言っていた」と、シンプソンは言う。

「ベストは新しいタイプのサッカー選手で、サッカー界のポップスターだった。21世紀最初の10年で、一番ポップスターに近かったのはデイヴィッド・ベッカムだと言っていいだろう」

「ロナウドが出現して以来、世界的に成功したサッカー選手と言われるハードルが、格段に上がってしまった」

32歳となってなお、ロナウドは才能のピークを維持している。驚異的な肉体に伴われた非の打ち所のないプレーの精度を見れば、まだまだ最高の選手であり続けるのは間違いない。今シーズン、レアル・マドリーは実力を発揮するのに苦労している。しかし、ヨーロッパのディフェンディング・チャンピオンはスター・ストライカーのロナウドとともに、いずれ浮上していくことだろう。

ロナウドの故郷の島は、たちまちにして“ロナウド・ランド”となった。いつか我々は今のこの時代を、マデイラ諸島出身の少年が世界を征服した時代として、振り返ることになるだろう。

クリスティアーノ・ロナウドのドキュメンタリーを放映中。ロナウドがどのように世界中の人々に影響を与えているか、ご覧ください。