386日ぶりの先発…屈辱的状況から這い上がったシュバインシュタイガーの“強さ”/コラム

モウリーニョ監督の構想から外れ、トップチームとの練習さえも許されなかった彼が、久々の先発出場で1ゴールと1アシストという見事な復活劇を果たした。

空前絶後の“華麗で美しいゴール”とは言えないかもしれない。しかしこの日、バスティアン・シュバインシュタイガーが決めたゴールは、ここ数試合のマンチェスター・ユナイテッドの試合の中で、間違いなく最も暖かく歓迎されたゴールだった。

FAカップの4回戦、ユナイテッドはウィガンと戦い、4−0で勝利した。そのうちの1点が、シュバイニーのゴールだった。

この日、シュバインシュタイガーが先発でピッチに立ったのは、昨年1月以来386日ぶり。ジョゼ・モウリーニョ監督の構想から外れ、ケガにも苦しみやっとの思いで手に入れたチャンスであった。そして、彼はそれを確実にモノにしたのだ。

この“復活劇”までの道のりは長かった。32歳のシュバインシュタイガーにとって2016−17年シーズンのスタートは歯がゆいものだったに違いない。監督によってトップチームからは外された。ファンの間でも「ユナイテッドにシュバインシュタイガーは不要だ」とでもいうような雰囲気が流れていた。彼自身もそれを認めていたのかもしれない。シュバインシュタイガーは「これがヨーロッパでサッカーをする最後かもしれない」と述べていた。

しかしだからと言って彼は一切の文句を言わなかった。トップチームの練習から降ろされることは一流選手にとっては屈辱であろう。しかしシュバインシュタイガーはユースチームに交じりながら練習に熱心に取り組んだ。さらに一人での練習を余儀なくされても、心の奥にはメラメラと野心をみなぎらせ、黙々とモウリーニョ監督が再び自分を使う日を信じて待っていたのだ。

その成果が実ったのが、この日のウィガン戦である。ここでシュバインシュタイガーの奮闘がついに示されたのだ。

Smalling Manchester United Wigan FA Cup

この日のユナイテッドは辛抱強くゲームを組み立てていた。まず44分に右サイドから敵陣深くに攻めこんだシュバインシュタイガーのクロスをマルアン・フェライニが頭で合わせて先制した。その後、クリス・スモーリングが2点目を、ヘンリク・ムヒタリアンが3点目を決めて試合を決定づけていた。

Marouande Fellaini Manchester United Wigan FA Cup

そして81分。ついにその瞬間はやってきた。ウェイン・ルーニーの右からのコーナーキックをアンデル・エレーラがヘッドでつなぐと、それを見事にシュバインシュタイガーがゴールに突き刺したのだ。結果は4−0でユナイテッドの勝利。シュバインシュタイガーはたった1試合で、1ゴールと1アシストという見事な実績を残したのである。

もちろん、今回結果を残したからといって「シュバイニーが定期的に起用されるようになる」と判断はできないし、楽観視することもできない。モウリーニョはシビアな監督であり、特に大舞台でシュバイニーが起用される可能性は今なお低いと言わざるをえないだろう。

もっとも、シュバインシュタイガーにとって歓迎すべき状況もある。例えば試合日程がタイトに組まれていることだ。明らかに選手層の厚さが重要になり、出場機会が増える可能性は大いにありえる。プレミアリーグや決勝に進出したEFLカップに加え、FAカップ、そしてヨーロッパリーグでも勝ち残っているのだから。

彼はかつてドイツをワールドカップ優勝に導き、たくさんの人々に惜しまれながらミュンヘンからユナイテッドにやってきたスターである。そんなスターにとって、ユースチームとの練習を強いられたことや、すっかり忘れ去られたような扱いであったことはどれほど辛かったであろうか。

ただ、シュバインシュタイガーはきっと自らが復活する日を一番信じていたのかもしれない。少なくとも、この試合で我々は彼がまだスターであり続けていることを目の当たりにした。シュバインシュタイガーの復活劇は、まだ幕を開けたばかりだ。

文=クリス・ヴォークス/Kris Voakes

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