中国サッカーレポート:大連阿爾濱と山東魯能の挑戦

広州恒大に挑むべく積極補強
中国に関して誰もが北京と上海に注目するのは当然のことかもしれないが、過去にこの国のサッカー界で最も大きな成功を収めてきたのは遼寧省と山東省のチームだ。2013年のシーズンが近づくにつれて、この2つの地域のチームである大連阿爾濱と山東魯能は、中国スーパーリーグ(CSL)連覇を狙うマルチェッロ・リッピの広州恒大に対抗する姿勢を明確にしつつある。

設立から3年あまりのクラブである大連阿爾濱は、先週パリ・サンジェルマンからギヨーム・オアロを獲得するという大型補強を完了させた。フランス代表として5試合の出場歴があるオアロは、上海申花でインパクトを残すことができなかった同胞のニコラ・アネルカと早くも比較され始めている。

チームにはすでに、UEFAチャンピオンズリーグの優勝経験もあるキャプテンのセイドゥ・ケイタ、元ミドルスブラのファビオ・ロシェンバック、オーストラリア代表のダニエル・マレン、2012年CSL得点ランキング2位のピーター・ウタカ、ガーナ代表のリー・アディも在籍している。

「(アネルカは)素晴らしいストライカーだけど、僕は彼以上にやれると信じている。彼の残した結果に並ぶことはできる」と193cmの長身FWオアロは中国メディアに対して語った。

「中国には良い選手たちが何人もいる。世界のサッカーの未来は中国にあるかもしれない」

大連阿爾濱が広州のCSL支配を打破するために採った策はこれだけではない。クラブのオーナーグループは、歴史あるクラブである大連実徳の買収を約3900万ユーロの金額で完了させたいと考えている。

実徳は、1983年に大連市足球隊の名で設立されたクラブだった。94年には新たなスポンサーがついたことで大連万達と名前を変え、中国初のプロサッカーリーグである甲A級リーグに参加。その後、実徳に名を変えた北東部のこのチームは、甲A級リーグの10年間で7度のリーグ優勝を果たし、CSL設立2年目の2005年にもリーグタイトルを獲得した。2度の中国FAカップ優勝と、01年のアジア・カップウィナーズカップ優勝も含め、実徳は文句なしに当事の中国サッカー界の絶対王者だった。

実徳の選手の多くは阿爾濱から他クラブへ移籍するとしても、阿爾濱は実徳から整った下部組織を引き継ぐことになるだろう。実徳のアカデミーは大きな成功を収め、孫継海や張恩華、李明など多くの中国代表選手を輩出してきた。大連の新たなトップクラブとなる阿爾濱は急速な成長を遂げており、3部リーグと中国1部リーグを立て続けに制してCSL昇格を果たすと、1年目のシーズンを5位で終える躍進を見せた。

一方の山東魯能は2006、08、10年にリーグを制しており、広州恒大以前にリーグタイトルを獲得した最後のクラブだ。ヘンク・テン・カーテ前監督と呉金貴監督代理の後任として、元アトレティコ・マドリーのラドミール・アンティッチを新監督に迎えるという素晴らしい形で2013年のスタートを切った。2012年はリーグ12位、FAカップでは準決勝で貴州人和に敗れるという残念な結果に終わったが、今年はその結果の改善を求めていくことになる。

セルビア代表やレアル・マドリー、バルセロナ、セルタ・デ・ビゴなどの監督として非常に豊富な経験を積んできたアンティッチの招へいは、クラブにとって大きな補強となるかもしれない。山東に到着して熱烈な歓迎を受けたアンティッチはそのままチームを率いてプレシーズンの準備をスタートさせた。同じCSLの天津泰達(2-0)と杭州緑城(4-0)に練習試合で勝利を収め、まずは順調な出だしとなった。

山東魯能もまた、移籍市場で最初の大きな動きを見せた。スコットランドのハーツから、オーストラリア代表DFライアン・マッゴーワンを40万ポンドで獲得したのだ。

「中国のサッカーは本当に発展しているし、そのための資金もある。設備なども素晴らしい。たとえば、(魯能は)リザーブチームのために2万人収容のスタジアムを建設したばかりだ」とマッゴーワンは『スコッツマン』紙に対して語った。

同じくオーストラリア代表のマイケル・マローンも、大連実徳の撤退によりCSL残留が認められた上海申鑫に加入することが決定した。上海申花と、新たに昇格する上海東亜も含めて、上海にはトップリーグのチームが3つ存在することになる。

AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場する広州恒大、江蘇舜天、北京国安、貴州人和のように過密日程に悩まされることもなく、大連阿爾濱と山東魯能はCSLでの戦いに集中し、来年のACL出場権獲得、そしてもしかするとリーグ制覇を目指して戦うこともできるかもしれない。

文/ピーター・デイビス(@peteydavis)