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コラム:イタリアサッカーへの望みを捨てない理由

以前のコラムでは何度もイタリアサッカーのいくつかの面を批判し、近年の発展を阻んでいる主要な問題点を指摘してきた。挙げるとすれば、次の3つが特に成長を阻害している要素だ。無能でありながらも誇大妄想癖のあるクラブオーナー。党派主義に毒され、真面目さに欠けるメディア。そしてフリーガンであれ、選手を堕落させ試合を操作する違法なギャンブラーたちであれ、イタリアサッカー界の周辺に巣食う組織的な犯罪者たちの存在だ。

だが今回は、マリオ・バロテッリのセリエA復帰を祝う意味でも、イタリアサッカーの3つのポジティブな面を挙げてみたいと思う。若い選手たちの起用の増加、ユヴェントスのビジネスモデルの成功、全体的なプレーの質の高さの3点である。

スター選手に投資する資金が不足するようになったことで、セリエAのクラブはメンバー構成のために想像力を駆使することを余儀なくされてきた。その結果の一つが、若い選手たちに出場機会が与えられるようになったことだ。イタリアでは、ビッグクラブのサポーターは我慢強くない。若い選手の時期尚早な起用は彼らを潰してしまう結果となることが多かったため、小クラブに「修行」に出すことが伝統となっていた。

この傾向は、特に今シーズンに入ってから完全に変わってきた。今では21歳以下の選手たちがよりコンスタントに出場するチャンスを得ており、それはビッグクラブにも共通して言えることだ。特に目立っている例を挙げれば、イタリア人ではステファン・エル・シャーラウィ、マッティア・デ・シリオ(ミラン)、ロレンツォ・インシーニェ(ナポリ)、アレッサンドロ・フロレンツィ、マッティア・デストロ(ローマ)といった選手たち。外国人でもエムバイェ・ニアン(ミラン)、ポール・ポグバ(ユヴェントス)、フアン(インテル)、ステファン・サビッチ(フィオレンティーナ)、マウロ・イカルディ(サンプドリア)、エリック・ラメラ、マルキーニョス(ともにローマ)といった選手たちが挙げられる。

特にミランとローマは若手育成に方針を転換した様子だ。これが若いイタリア代表選手たちのさらなる成長につながることは間違いなく、チェーザレ・プランデッリ率いるアズーリの新たな挑戦への力となるだろう。

喜ぶべきニュースの2つ目は、新時代に向けたユヴェントスのクラブ運営プロジェクトが機能していることだ。アンドレア・アニエリの構想の中心である自前のスタジアムは常に満員となり、収支も健全であるように見える。チームは国内リーグの首位に立ち、チャンピオンズリーグ(CL)でも決勝トーナメントへ駒を進めている。

残念なのは、ユヴェントスのモデルに追随するのが簡単ではないということがすでに明らかになっている点だ。今から思い切ったことをやろうとするクラブも、イタリアの複雑な書類手続きに邪魔をされてしまう。だが、成長を見せているのはユーヴェだけというわけでもない。たとえばウディネーゼのオーナーであるポッツォ一家も近年大きく成功しており、イングランド・チャンピオンシップのワトフォードとリーガのグラナダという2つのクラブを購入できたほどだ。後者は先週末レアル・マドリーを破る番狂わせを起こしたことで大きな話題を呼んだ。ナポリ、ラツィオ、フィオレンティーナも正しい道を進んでいるようだ。その中で来シーズンのCL出場権を獲得できたクラブは、夏に投資するためのある程度の補強資金を得られることになるだろう。

最後に、実際に試合に目を向けてみたとすれば、イタリアのリーグは今でも非常に楽しめるプレーを提供しているという点だ。3バックの守備を多くのチームが採用するようになったとはいえ、今でも戦術面では様々な異なるスタイルで戦っているチームが多い。共通している部分があるとすれば、戦術的に規律が取れた戦いをしているという点だ。プレミアリーグなどに比べればプレースピードが極端に速くはないことも、その特徴を生む手助けをしている。

基礎となるラインはごくシンプルなものだ。イタリア人はサッカーのやり方を知っている。それはEURO2012でもはっきり見せることができたし、ユヴェントスの最近の戦いぶりもそのことを示している。CLでは昨季の欧州王者チェルシーも敗退に追い込んだ。

イタリアサッカー界の近未来に何が待っているのかを予見するのは難しいし、現在置かれている状況を全面的に分析してみても楽観の余地はあまり残されていない。それでも、忘れてはならないことがある。サッカーが宗教にも似た存在であるこの国では、試合への情熱と愛情が多くの選手たちとサポーターを生み出しており、2006年以来入り込んでしまっているトンネルを抜けた先には必ず明るい未来が待っているはずだということだ。

文/チェーザレ・ポレンギ(Goal.comアジア版マネージングエディター @CesarePolenghi)