C大阪 染谷悠太 独占インタビュー

頼れる最終ラインの雄

184㎝、74㎏の体格に恵まれた、セレッソの最終ラインの雄、染谷悠太。サイドバック、ボランチ、そしてセンターバックと、様々なポジションをこなすユーティリティ性に加え、空中戦の強さも彼の魅力で、チームのビルドアップにも欠かせない存在。そんなプロ6年目を迎えた守りのオールラウンダーが、今シーズン、セレッソ大阪に完全移籍で加入した。新天地で挑戦を続ける守備職人の素顔に迫る。

 

 

松原:プロ6年目を迎え、セレッソでは1年目のシーズンを送っていらっしゃいますが、染谷選手から見たセレッソはどんなチームですか?

染谷:皆明るくて、元気があって、カリスマ性もあるのではないでしょうか。

松原:今、東南アジアの国でも日本のサッカーに興味が高まっているそうです。注目してくれる方々に向けて伝えたいストロングポイントはどんなところですか?

染谷:僕はビルドアップのところに注目してもらいたいですね。

松原:特に守備面で、手応えを感じるのはどのようなプレーですか?

染谷:言葉ではうまく伝えづらいのですが、僕の前に(相手チームの)フォワードがいて、そのフォワードの奥にもう1人相手の選手がいて、自分は手前の選手をマークしているのですが、実はその奥の選手も見ているんです。それで、奥の方の選手がボールを受けて、フリーだと思ってターンするタイミングを予測してボールを奪ったときなどは「やった!」と思いますね。

松原:ACL(アジア・チャンピオンズ・リーグ)でもブリーラム・ユナイテッドと対戦されましたが、タイやブリーラム・ユナイテッドで印象に残っていることはありますか?

染谷:すごく熱狂的というか、サッカーに力を入れている感じがしますし、ブリーラムに関してはスタジアムもすごく(雰囲気が)良かったです。

松原:セレッソは今年、ディエゴ・フォルラン選手やカカウ選手も加入し、タレント豊富ですが、その中でどんな刺激を受けていますか?

染谷:彼らはゴールに対してやはり貪欲ですね。ディフェンスからしたらゼロに抑えてナンボ(抑えてこそ価値がある)ですが、そういうゴールへの意識というのは、攻守においてすごく考えさせられます。

松原:逆に、パスの出し手として意識することはありますか?

染谷:常に遠くを見るようにはしています。近くを見てしまうと近くしか見えなくなるので、遠くを見て、その中で近くを見るイメージです。

松原:またセレッソといえば香川選手や乾選手、柿谷選手など、海外でプレーしている選手も多いですが、セレッソ出身選手たちの活躍は刺激になりますか?

染谷:そうですね。やはり世界でしっかり活躍している姿を見ると、自分も頑張らなきゃいけないと思います。海外サッカーはよく見ますよ。

松原:では、海外のディフェンダーで目標にしている選手はいますか?

染谷:攻守に分けると、守備であればマスチェラーノ(バルセロナ)です。バルサのときにセンターバックをやっているのを見て、好きになりました。攻撃面ではドルトムントのフンメルスが好きです。

松原:そういった目標に向かって、練習で意識していることや日課にしていることはありますか?

染谷:攻撃に関しては常に遠くを見て、広角で見るように、あと、相手を見るようにイメージしています。守備であれば、ボールの出し手の状況をよく見るように心がけています。

松原:Jリーグで6年間プレーされていますが、日本でプレーすることの良さや日本のスタジアムの良さはどのようなところだと感じますか?

染谷:日本は世界と比べるとサッカーの先進国ではないかもしれませんが、どんどん力をつけてきていますし、周囲の見る目も厳しくなってきている。そんな中でプレーできているので、自分たち自身も成長できています。それに、どこに行ってもスタジアムは綺麗で安全ですね。

松原:サポーターの応援が支えになる瞬間はどのようなものですか?

染谷:チャントが聞こえたときなどはすごく嬉しいし、「もっと頑張ろう!」と思える瞬間ですね。

松原:Jリーグで一緒にプレーした味方や対戦相手の中で特に印象に残る選手はいますか?

染谷:ポンテ(元浦和レッズ)ですね。対戦した試合でマッチアップすることがあったのですが、全部後手を踏んでしまうんです。3手ぐらい先までわかっているんだろうなという感じでした。

松原:染谷選手は7歳のときにサッカーをはじめてから21年間サッカーをやっていますが、改めてサッカーが楽しいと思う瞬間はありますか?

染谷:もちろん勝ったときが一番嬉しいですが、毎日の練習でも新しい「気づき」があったときなどは楽しくて、奥が深いなと実感します。この歳になってもまだ気づくことがあるので、これからどんどん歳を重ねていっても発見が尽きないのかなと思います。

松原:染谷選手は東京出身ですが、大阪の良さを感じる瞬間や場所はありますか?

染谷:よく話しているのですが、大阪の人はすごく親切です。たとえば、スーパーなどに行くと知らない人が「お兄ちゃんこれ安いから買っていきなよ」と声をかけてくれたり、道に迷っている様子だと「どこに行きたいの?」という感じで声をかけてくれたりします。みんな優しいですね。

松原:ツッコミの鋭さやテンポに戸惑ったりすることはないですか?

染谷:最初は、「振られているから返さなきゃ」って思ってたんです。でも、最近は別にいいんだなと思えるようになりました。返さなくても勝手に拾ってくれるから、それはそれでいいかなと。たぶん向こうのペースに合わせるととんでもないことになっちゃうので(笑)

松原:ちなみに、染谷選手から見て「この人、笑いのセンスがとんでもないな」という人は誰ですか?

染谷:マル(丸橋祐介選手)と山下(達也)くんはすごいですね。

松原:では、ご自身の性格の長所と短所を挙げるとすれば?

染谷:長所でもあり短所でもあるのですが、ちょっと真面目すぎるかなと。サッカーのことを考えていると、それだけになってしまうので。良い意味で割り切ってやっている人を見るとすごく羨ましいですし、自分にも必要だなと思います。

松原:普段の生活で意識していることや、試合前に必ずするジンクスなどはありますか?

染谷:昔はたくさんあったのですが、こだわりすぎてそれに囚われてしまったので、やめました。昔は、たとえば試合前日だと、何時になにをして、次にまた何時になにをして……とサイクルが決まりすぎていて、そのとおりにいかないと逆に大丈夫かな、と不安になってしまったので、やめました。

松原:簡単にやめられましたか?

染谷:やめてみようと思って、思い切ってやめたときの試合に勝ったので、「関係ないか」と思えたらやめられました。逆にそれで負けていたりすると「やっぱり……」と思っていたかもしれないですね(笑)

松原:サッカー以外の趣味やオフの過ごし方はなにかありますか?

染谷:サッカー以外のスポーツはあまりやりませんが、飼っているダックスフンドと遊んだり、散歩するのが一番リラックスできます。

松原:大阪でおすすめのスポットやおいしいご飯屋さんはありますか?

染谷:おいしいご飯屋さんはわかりませんが、梅田あたりの雰囲気は好きですね。食べ物はすき焼きが好きです。

松原:プライベートで行ってみたい国はありますか?

染谷:サッカーを見にバルセロナに行こうかなと思っていました。バルサが好きですし、スペインサッカーがおもしろいので、一度生で見たいなと。

松原:最後に、直近の染谷選手の目標を教えてください。

染谷:個人としてはやはり試合で常に失点ゼロで抑えられるようにしたいです。それは究極の目標ですが、そこにこだわって1つ1つ出る課題を潰していけば、チームとしてもどんどん勝ちに近づいていけるし、今、セレッソは本当に勝ちが必要なので。個人としてもチームとしても「勝利」という目標は一緒ですね。

(インタビュー収録日:2014年11月13日)

取材後記

毎日の練習の中でサッカーに対して新しい発見があることを楽しそうに話す表情からは、サッカーへの飽くなき探究心が伝わってきた。
経験豊かでハイレベルなFWと日々練習の中で駆け引きができるその環境も、守備職人としての彼に多くの発見を与えてくれるのだろう。
常に探求を怠らず成長を続ける彼の姿勢が、チームの勝利に還元される瞬間が楽しみだ。