元川悦子の一蹴入魂:11月2連戦にベテランの招集は?

アジアカップ前の最終テスト
来年1月に開催される2015年アジアカップ(オーストラリア)前の最終テストの場となる11月14日のホンジュラス戦(豊田)、18日のオーストラリア戦(大阪)2連戦の日本代表メンバーが明日5日に発表される。

欧州でコンスタントに試合に出ている本田圭佑(ミラン)、香川真司(ドルトムント)、岡崎慎司(マインツ)、あるいは9~10月シリーズでインパクトを残した武藤嘉紀(FC東京)、柴崎岳(鹿島)、塩谷司(広島)らの招集が確実視される一方、最近所属クラブで試合に出ていない川島永嗣(リエージュ)、吉田麻也(サウサンプトン)、長友佑都(インテル)、田中順也(スポルティング)ら欧州組の動向は怪しいところ。国内組でも先月のブラジル戦(シンガポール)を受けて落選する者が出るだろう。

ハビエル・アギーレ監督はこれまでの4試合では新戦力のテストを重視する姿勢を見せてきたが、本番まで残り2試合しかないことを考えると、新顔ばかり試しているわけにもいかない。今回はアジアカップ連覇を視野に入れ、多少なりともチームを固める要素も盛り込むのではないだろうか。となると、代表実績のある選手たちの抜擢に踏み切る可能性もありそうだ。

すでに内田篤人(シャルケ)の復帰が濃厚となっているが、それ以外にも長谷部誠(フランクフルト)や今野泰幸(G大阪)ら2014年ブラジル・ワールドカップ(W杯)メンバーの再招集は十分考えられる。

長谷部はアギーレジャパン発足時にはメンバーに選ばれていたが、1試合も出場しないまま負傷離脱し、そのままチームから離れた状態になっている。しかし、今季移籍したフランクフルトではリーグ戦全試合先発出場中で、コンディションは決して悪くない。彼ならアンカーとインサイドハーフの両方をこなせるうえ、チームを力強く鼓舞できる傑出したリーダーシップもあって、直近の大会を勝つ戦力としては有効だろう。

今野も最近のG大阪ではボランチに戻って輝きを増しており、持ち前のボール奪取力に加えてパス出しにも磨きがかかっている。ザックジャパン時代はセンターバックで起用されたが、本人も本職でもう一度、国際舞台で勝負してみたい気持ちは少なからずあるはず。彼らが中盤に入れば、これまでより攻守両面で落ち着きが生まれるのは確かだ。

J1得点ランキングトップを争っている大久保嘉人(川崎F)や豊田陽平(鳥栖)も抜擢を検討していい人材といえる。大久保が前線のすべてのポジションをこなせることは周知の通りで、本田や香川らチームの軸をなすメンバーと連携が構築しやすいのも前向きな点だ。

豊田に関しては、9月に呼ばれた皆川佑介(広島)、10月に呼ばれたハーフナー・マイク(コルドバ)同様、前線に高さと競り合いの強さをもたらせる存在。ここまで1トップでメドが立っているのは岡崎1人で、大会を乗り切るためには彼とは違ったタイプの選手も必要だ。スペインで経験を積んできた197センチ長身FW指宿洋史(新潟)が初招集されるのではないかという説も流れてはいるものの、Jリーグで結果を残している点はやはりリスペクトされるべきではないか。

そして最終ラインでもベテランの抜擢があるかもしれない。ザックジャパンの4年間、代表から遠ざかっていた田中マルクス闘莉王(名古屋)は候補者の1人と目される。センターバックの人材難は前々からの日本サッカー界の深刻な問題だが、前述のとおり吉田がここ最近サウサンプトンで出番を失っており、テコ入れを真剣に考えないといけない状況だ。

塩谷の台頭はポジティブな要素ではあるが、彼も国際舞台の経験がないだけに不安もないとは言い切れない。森重真人(FC東京)もアンカーとの掛け持ちになるため、負担が大きい。U-21世代の岩波拓也(神戸)や植田直通(鹿島)も化ける可能性があるが、軸に据えるには時間がかかりそうだ。確実に跳ね返せる闘莉王のようなタイプがいることはチームの安心材料になるだろう。

ただ、長谷部や大久保と同様に、闘莉王の存在はチームへのインパクトが非常に大きな選手。発言力のある彼がいることでイザという時に心強い面がある一方、2010年南アフリカW杯直前のミーティングのように戦い方を変えてしまうほどの影響力がある。いわば「劇薬」とも言える選手をアギーレ監督は使いこなせるのか。彼らに目を向けるか否かで、指揮官の懐の深さが分かるはずだ。

10月シリーズでは30代選手は川島1人だったが、本大会では代表メンバー23人中3~4人は30代のベテラン選手がいてもいい。実際、2011年アジアカップ(カタール)では、遠藤保仁(G大阪)、松井大輔、前田遼一(ともに磐田)が参戦し、遠藤と前田は大黒柱としてタイトルに大きく貢献した。こうした実績を踏まえ、現実的なメンバー選考をしてほしいものだ。


文/元川悦子
1967年長野県松本市生まれ。94年からサッカー取材に携わる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は練習にせっせと通い、アウェー戦も全て現地取材している。近著に「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由」(カンゼン刊)がある。