コラム:PSG移籍か、イタリアの新星ヴェッラッティ

セリエBでブレイク、EURO2012の代表候補にも招集
チェーザレ・プランデッリの選んだEURO2012の予備招集メンバー32名の中にマルコ・ヴェッラッティの名前を見つけた時、誰もが何らかの形で心を動かされたことだろう。それは彼がセリエBの選手だったかもしれないし、まだ20歳にもならない若手だったからかもしれない。誰も招集を予想していなかったからでもあるだろう。だがおそらくはそれ以上に、誰もが彼のメンバー入りを望ましいこととして喜んだはずだ。

イタリアのサッカー界が外部に向けてなかなか良い所を見せられず、バラ色の将来を想像することが難しい現状の中で、マルコ・ヴェッラッティは新世代の台頭を象徴する存在だ。代表候補入りは不可能を可能にする快挙でもあり、能力の高さが正しく報われた結果でもあった。ロマンチックなイタリア人にとっては、19歳の若者が必死に大きな夢を叶えるというストーリーには胸を打つものがあった。

マルコ・ヴェッラッティは昔ながらの「レジスタ」であり、彼のようなタイプは最近出てこなくなったとよく言われている。ピルロのようだという者もいれば、ベロンのようだとも言われるが、おそらく最も近いタイプはダビド・ピサーロだろう。身長165cmのヴェッラッティは、体格的に「ペク」ピサーロに似ているだけでなく、ピルロやベロンよりも守備によく参加する傾向がある。この点でも元ローマ、現マンチェスター・シティのチリ人MFと共通している。

選手データ
名前 マルコ・ヴェッラッティ
チーム ペスカーラ
国籍 イタリア
ポジション MF
年齢 19
身長 165 cm
体重 60 kg
2011-12出場数 31
2011-12得点数 0
だがヴェッラッティは、ピサーロにはない部分として、ピルロやベロンのようなロングパスも得意としている。ペスカーラの10番のキックの正確さを理解するためには、トリノ戦でロレンツォ・インシーニェのゴールをアシストしたプレーを見てみるのが一番だ。

実際、ヴェッラッティはクラブで10番を着けている。通常であればトップ下の選手に与えられる番号だが、現代のサッカーにおいては、特に優れたキックを持った選手を中盤のラインまで下げることを好む監督が多い。ゼーマンもその例外ではなく、ヴェッラッティをほぼ完璧なポジションに収めることに成功した。

ディ・フランチェスコが監督を務めていた去年から、ヴェッラッティはその能力の高さを垣間見せていたが、コンスタントに好プレーを見せ続けることはできずにいた。おそらくは起用されたポジションが彼にとっては前過ぎたのだろう。

ゴールを狙うのは彼の得意とする役割ではない。攻撃的MFとしてはある種の限界が感じられた。だがより下がり目のポジションでは周囲を納得させることに成功。ペスカーラが素晴らしいシーズンを過ごす上で、彼の貢献は非常に大きなものだった。

シーズン前半の活躍が報われる形で、チーロ・フェッラーラは彼をU-21代表にデビューさせることになった。デビュー戦はカンヌで行われたフランス戦。1-1の引き分けに終わったこの試合で、ヴェッラッティは試合途中から起用されるのではなく、デビュー戦としては珍しく、スタメンで出場してそのまま90分間ピッチに残った。

だがやはりこの時点で、チェーザレ・プランデッリがEURO2012の予備招集メンバーに彼を含めるとはほとんど誰も予想していなかったはずだ。

トリノ戦での圧倒的なパフォーマンスがプランデッリにとって最後の一押しになったようで、彼の努力と献身性は報われる結果となった。32名の候補から外される最後の9名の中の一人となり、ウクライナとポーランドへ向かうことはできなかったが、プランデッリのチームの軸であるアンドレア・ピルロの代役が必要となった場合には、チガチーニやモントリーヴォではなく彼こそが最も完璧にその役割を果たせる選手だったはずだ。

昨年の夏の時点ですでにセリエAの多くのチームの興味を引き付けていたヴェッラッティだが、争奪戦が本格化したのは今年の冬だった。まず動いたのはローマとユヴェントス。ローマはジャンルカ・カプラーリがペスカーラへ移籍する際の条件としてどうにかヴェッラッティの譲渡を含めようとしたが、これは失敗に終わった。

昨季王者となったユヴェントスはピルロのバックアップという役割を彼に用意していたようだ。数年後にはそのままピルロの後を継がせるという構想で、交渉はかなり進んでいた様子だった。その後ナポリが彼の獲得に向けて優位に立ったとも報じられていたが、ここに来てフランスのパリ・サンジェルマン(PSG)への移籍が急浮上。移籍金1100万ユーロ+ボーナス400万ユーロという、セリエBの若手選手に対するものとしては異例の好条件で、ペスカーラとのクラブ間では大筋合意したと見られている。

文/レナート・マイザーニ