マジョルカの家長獲得の理由は?

主力であるカストロの後釜として期待
日本代表がワールドカップ(W杯)でベスト16に進出した後、昨夏には多くのJリーガーが欧州へと渡った。特にドイツが多かったが、この冬の移籍市場が開くにあたり、“新天地”が開けた。今季C大阪でプレーした家長昭博が、マジョルカへの移籍を果たした。

ドイツではリーグの前半戦MVPに香川真司が選ばれた。すでにマイスターシャーレを手にした長谷部誠、ラウールら大型補強を果たしたチームでレギュラーを得た内田篤人など、日本人の活躍が目に付く。一方で、家長が挑むスペインは、日本人にとっては壁が高い印象もある。現地の人間は、今回の移籍をどう見ているのだろうか。

Goal.comでマジョルカを取材するエンリケ・マス・カセルによると、「最近明らかになったマジョルカによる家長昭博の獲得だが、チョリ・ゴンサロ・カストロに移籍の可能性があることを考えれば、納得できるものだ。カストロは現状、ミカエル・ラウドルップ監督が率いるチームで、最も重要な選手である」とのことだ。

マジョルカは現在、リーガエスパニョーラで10位につける。カストロはFWのウェボと並んで4得点と、チーム最多得点者となっている。ここまでの総得点が 16というチームでは、貴重な得点源でもある。カストロールランキングを見ても、チームで3ケタの順位に入っているのは7人だけで、しかもうち5人がDF とGK。そのチームで2番目の103位につけていることからも、貢献度の高さが知れる。

だが、「マジョルカの経営難は広く知られており、たとえ主力を売却してでも、収入を得ることは火急の案件であった」と、主要選手の売却が不可避であることを説明。アトレティコ・マドリーなどへの移籍話が浮上しており、その一方でカストロの代役探しも進んでいた。

そこで選ばれたのが家長だと、カセルは話している。マジョルカは4-2-3-1や4-4-2などのフォーメーションを採用。カストロは中盤の左右のワイドなポジションで起用され、中央は主にグズマンが務めている。このようにアウトサイドを働き場所としてきたカストロに対し、家長はC大阪ではシャドーなどインサイドでプレーしていた。それでも、カセルは「もしもカストロが移籍するとなれば代役が必要であり、それこそが家長だった。中盤の中央左でプレーすることを好み、カストロとタイプは違うが、中盤ならばどこでもこなす能力を備える」とクラブが家長の能力を高く評価していると語る。

ただし、獲得にはいくつかの理由があるようだ。「セラ・フェレールSD(スポーツディレクター)が求める選手像に、家長はマッチしている。若く、移籍金はかからず、将来性がある。さらに言えば、ビジネスプランの一部でもある。スペイン国外でも名前を売ろうという計画があり、そのためにもチームは欧州の舞台にたどり着きたいとの思いがある」。移籍金ゼロで将来性あふれる選手を獲得し、ピッチ内外で新たな地平を切り開こうとしているという。

いずれにせよ、クラブからの期待が高いことは変わりないようだ。最後にカセルは、このように語っている。「スペインのことわざに、このようなものがある。『王が死んだなら、新しい王を長く生かせ』。チョリ・カストロはクラブを離れるだろうが、家長がやってきた。彼の活躍に期待したい」。