移籍コラム:監督、悲喜こもごも

それでも彼らは引き付けられる

シーズンが開幕したドイツで早速、監督の更迭劇が展開。マインツのヨルン・アンデルセン監督が、初戦を落として解任されたのだ。この試合はドイツの国内カップ戦で、リーグ戦はまだ始まっていない。スタートラインに立つウォーミングアップの時点でレースから追い出されたのだから、これ以上の早さはあり得ない。確かに、4部チーム相手の一戦を落としたのはいただけないが…。

監督の立場は、千差万別だ。ある監督は名もないチーム(あるいは子供たち)の指導からスタートするが、高名な元選手ならば、いきなりビッグクラブを預かることもある。もちろん、そういった元スターは、現役時代に相当の努力を払ってきたわけで、世界に名だたるクラブを率いる立場まで至るには、誰もが相当な苦労をしてきているとは思う。

また、十分過ぎるほどの戦力を惜しみなく与えられる者もあれば、周囲から見れば貧弱極まりない陣容でシーズンに臨まざるを得ない者もいる。さて、苦しい2部暮らしを終え、1部リーグに挑戦するはずだったアンデルセン監督はどうだったのだろう。そういえば、以前に日本代表FW高原直泰にマインツ移籍の可能性があると報じられたこともあったが…。

監督業は苦労が大きい分、喜びも大きい。そして、報いも。選手同様、監督も実績がすべて。汗が報われれば、さらなる歓喜を手にできる。活躍の舞台は、国外にも広がる。リーグ自体の刺激のほどは分からないが、中東で受け取るサラリーは、刺激的だろう。契約によっては、解任後も報酬を受け続けることもできる。マンチーニ氏の現状が、刺激的だとは想像しないけれども。

ただ、選手であれば、シーズン中にクビを切られることはほとんどない。その点が、監督業の厳しさか。それでもフットボールの熱狂が、監督たちを引き付ける。アンデルセン監督の名を今後、明るいニュースで耳にする日は来るのだろうか。

文/杉山 孝