Goal.com独占:ピム・ファーベーク氏(オーストラリア代表監督)インタビュー

いよいよ来週に迫ったワールドカップ・アジア最終予選の対日本戦について、オーストラリア代表監督であるピム・ファーベーク氏に話を聞いた。

- いよいよ来週11日には日本との一戦を迎えます。

 

日本については多くを話すつもりはないよ。ただひとつ言えることは、私が日本チームのすべてを把握しているということだ。岡田監督は日本のことについて話せばいいし、私は自分のチームについて話をするよ。

 

- 岡田監督が率いる日本チームをどう見ていますか?

 

岡田監督は、ここまで非常に良い仕事をしていると思う。彼は選手達に「自分達こそがアジアでナンバーワンだ」と伝えることで、チームに自信を植え付けているんだ。こうしたことは、試合を戦う上で重要な意味を持つからね。我々が無理をして勝利を収める必要がないことは分かっているが、私は勝利を目指すつもりだ。日本との差を広げるためにもね。

 

日本チームは、勝利以外は考えていないだろう。引き分けは彼らにとって不十分なはずだ。その意味では、我々の方がよりリラックスして試合に臨めると思う。オーストラリアの選手達は、常にリラックスし、自らの力を最大限発揮することができる。試合後には、我々が3ポイントにふさわしいチームだったか、それとも日本の方が上だったのか、きちんと分析を行うつもりでいるよ。ヨーロッパでプレーする選手を多く抱える我々にとって、8時間もの時差ははっきり言って厳しいものだ。だが選手達は、勝利を目指して必死で戦うことを約束してくれている。

 

- 岡田監督とルーカス・ニールのコメント(※)について

 

私の選手達に、今さら何を言うべきか教える必要はないよ。彼らは成熟した経験豊かな選手達だからね。おそらく、ルーカスが話したのはほんの少しのことだったはずだ。それに様々な脚色が付けられ、ああいった記事になったのだと思う。岡田監督についても同じだよ。彼の発言や意味する言葉が、そのままニュースとして流れることは少ないはずだ。しかし一方で、この試合がメディアの注目を集めることは良いことだと思うよ。それによって試合への関心が高まるし、ファンの期待も大きくなるからね。

 

     オーストラリア代表のルーカス・ニールが、AAPの取材に対して「日本チームより我々の方が心理的に優位にいる」「アジアカップでの敗戦はペナルティによるもので、運がなかっただけだ」などの発言をしたとされるもの

 

- 日本とのゲームにばかり注目が集まっていますが、グループの他の3チームについては?

 

日本は国際的にもビッグなチームだからね。アジアではそれがより顕著になる。すばらしい国内リーグも持っているし、この試合に注目が集まるのは当然と言えるだろう。だが一方で、それはファンやメディアによるものであって、我々にとってはウズベキスタンとのホームゲームの方がより重要と言えるかもしれない。ホームゲームでは常に勝利が必要だし、まだ3試合も残っているのだからね。とはいえ、日本との対戦は楽しみだよ。すばらしいスタジアムとピッチ、熱狂的な雰囲気――選手達もきっと楽しみにしているはずだ。

 

- Jリーグはアジアでもベスト・リーグのひとつです。このことが代表チームの強さにもつながると思いますか?

 

Jリーグがアジアでナンバーワンのリーグであることは間違いないと思う。私も2つのクラブで指揮した経験があるが、非常に良い印象を持っているよ。熱狂的なファンとすばらしいスタジアムがあり、運営面でも非常に組織されている。優れた外国人選手を集める資金力もあるし、このことが代表チームの成功につながっていることは間違いないだろう。だが一方で、彼らは我々と同じ問題を抱え始めている――つまり、海外でプレーする選手の増加だ。彼らが代表チームに合流するのは、来週の月曜か火曜日あたりになるはずだ。我々が抱えている状況と同じだよ。

 

- 両チームの間に特別なライバル感情は存在しますか?

 

そうは思わないね。少なくとも、選手達はそんなことは考えないはずだ。(ライバル関係にあると言われている)オランダとドイツを見ればいい。試合が始まれば、選手達は目の前のゲームに集中し、ただ相手を倒すことしか考えないものだよ。私の選手達が「日本?そうか、2年前の雪辱を果たさないといけないな」などと考えると思うかい?彼らはただワールドカップに出場したいだけなんだ。相手がウズベキスタンやバーレーンであってもやることは変わらない。相手を分析し、我々が勝っている点や劣っている点をクリアにする――ただそれだけだよ。

 

- 日本も同じように考えていると?

 

日本の文化はまた違うからね。彼らは、プレミアリーグでオーストラリアの選手達を毎週チェックすることができる。だがそれも、ファンやメディアに限ってのものだろう。唯一の違いといえば、メディアの持つ影響力の大きさだろうね。日本のメディアは、オーストラリアのものよりも遥かに強い力を持っている。それに比べ、我々の選手達はメディアからのプレッシャーに慣れているし、新聞や他のメディアにそれほど気を取られることもないんだ。

 

- オーストラリアにアドバンテージがあると考えていますか?

 

アドバンテージを持っているのは、間違いなく日本だよ。彼らはすでに5週間も代表キャンプを張っているんだ。それにフレンドリー・マッチで実戦も積んでいるし、当日のスタジアムでは7万人を超えるサポーターの後押しもある。だが、私は何も心配していない。確かに準備期間はほとんどないが、そのことを不安に感じさせない優秀な選手達が揃っているからね。むしろプレッシャーは日本にあるはずだ。もし我々がこの試合に負けたとしても、3位とはまだ5ポイントの差があるし、ホームゲームも3試合残っている。日本にアドバンテージがあるのは確かだが、同時に彼らには“勝たなくてはならない”プレッシャーもかかっているはずだ。

 

- この試合では勝利を目指しますか?

 

我々は常に勝利を目指して準備をしている。たとえ試合の95分が経過していても、それが可能であるかぎり勝ちにいくよ。そして、これこそがオーストラリア代表チームのメンタリティなんだ。日本は確かにすばらしいチームだ。試合に必要な準備を行い、フリーキックやコーナーキックといったセットプレーの確認にも余念がないだろう。だが一方で、それは我々にとって大きなアドバンテージでもある。確かに我々に準備期間はないが、それはつまり岡田監督が我々についての情報を得られないことでもあるわけだからね。私はこれまで3つの異なったシステムを試しているが、岡田監督は我々の戦い方を予想することさえできないだろう。試合終了後に、7万人の観衆が黙り込んでしまうようなゲームをしたいね。

 

- 岡田監督はオシム前監督の代役ではないと思いますか?

 

日本人にとって、オシム氏はある種のカリスマ性があったんだと思う。日本の文化の特徴とも言えるが、彼らは一風変わった人を見たがる傾向にあるんだ。たとえば、トルシエ前監督よりも、通訳であるフローラン・ダバディ氏の方が最終的には有名になっただろう?オシム氏の突飛な発言は日本人の心を捉え、カルト的な人気を得ていったんだ。その意味では、岡田監督への扱いはフェアじゃないと思う。彼は経験豊かなすばらしい監督であり、あるいは彼が日本人でなければ、これほど問題を抱えることもなかったかもしれない。

 

- 自国監督への信頼の欠如は、アジアが抱える問題であると考えますか?

 

そうだね。それこそ岡田氏で言えば、他の監督と同様にもっと評価されるべきだと思う。私は彼の人間性を高く評価しているんだ。彼はとても正直な男で、これまで幾多の成功を収めてきたすばらしい監督だからね。ニュースを提供したいメディアの気持ちも理解できるが、監督へのリスペクトが足りないのも事実だ。少なくとも、岡田氏はもっと評価されて然るべき監督だよ。