清水、ポテンシャルは十分、前半戦に力を出し切れるかかがカギに/2017J1全18クラブ戦力分析

シーズン開幕を目前に控える明治安田生命J1リーグ。各クラブが新たな目標を掲げて迎える新シーズンの船出。果たしてその戦力はいかに? 全18クラブの番記者が、2017シーズンの展望を余すところなく記す。

クラブ初のJ2降格から1年でJ1に戻ってきた清水エスパルス。今季は「15勝、勝ち点50以上、9位以内」(小林伸二監督)という目標を掲げ、残留プラスαの結果を残すために準備を進めてきた。その目標が現実的かどうか予想する上で、ポジティブな要素とネガティブな要素が主に2つずつある。

ポジティブな要素の1つ目は、昨年J2の終盤に9連勝したチーム力からの継続性が高く、組織としての成熟度が高いこと。小林監督以下のコーチングスタッフは昨年と変わらず、コンディショニングに関しては経験豊富な2人の新スタッフを招聘(しょうへい)。戦術的にも、昨年のポゼッションをベースにした攻撃的スタイルを継続しており、それは今年に入ってからも進化を続け、練習試合でも良い手応えを得ている。それは守備の隙を減らすという面でも同様であり、体制が変わったチームに対して優位性がある。

もう1つのポジティブな要素は、選手個々の成長がまだまだ見込めることだ。昨年からいる主力選手の中で、現時点で23歳以下なのは10番の白崎凌兵、センターバックの犬飼智也、FW金子翔太、20歳の左サイドバック(SB)松原后とFW北川航也など。彼らはそれぞれJ2での1年間で大きな成長と自信を手にしており、J1でさらにブレイクするだけの潜在能力を備えている。

新加入組では、MF野津田岳人(サンフレッチェ広島から期限付き移籍)と右SB飯田貴敬(←専修大)がどちらも22歳。小林監督は若い選手を育てる、選手の特徴を生かすという面で、昨年も定評通りの高い手腕を見せており、それが今年も発揮されれば大きな戦力アップにつながるはずだ。

前述した組織力の進化と個々の成長がかみ合えば、相乗効果として大きなチーム力の向上につながるだろう。

一方、ネガティブな要素として大きいのは、大宮アルディージャに移籍した大前元紀の穴がまだ埋まっていないこと。大前は昨季J2で18ゴールを決め(得点ランク3位タイ)、J1でも2015年は11得点。通年でプレーできれば10点以上は期待できる点取り屋だけに、その穴を埋めるのは容易ではない。昨季26得点でJ2の得点王に輝いた鄭大世は、今年も始動時から良い動きを見せているが、ほかに怖い存在がいなければ彼にマークが集中し、鄭大世自身も点を取ることが難しくなってしまう。

フロントとしても新たな外国籍ストライカーの獲得を模索しているが、それがいつになるのか、また吉と出るか凶と出るかも未知数だ。となると当面は、白崎、野津田、金子、北川といった若きアタッカー陣がどれだけ結果を出せるか。あるいは昨年の大ケガから復活したミッチェル・デュークやベテランの長谷川悠らが力を発揮できるか。既存戦力の成長と頑張りがカギを握る。

もう1つの不安要素は、新戦力の融合が遅れ気味なこととケガ人が多いこと。GK六反勇治や野津田は計算が立つが、期待の大きい長身ボランチのフレイレは2月に入ってからの合流で、センターバックのカヌは1月下旬に負傷して離脱中。デュークと長谷川もケガで別メニュー調整が続いており、始動時から素晴らしい働きを見せていたボランチの竹内涼が開幕を前に膝を痛めたことも気になる。

ただ、フレイレやカヌに関しては、チームにフィットしてくればポジティブな要素に変わりうる。守備での高さや1対1の強さは清水に不足していた部分であり、セットプレーの守備も物足りない面の1つ。そこが補えるだけでなく、野津田の左足との組み合わせで、セットプレーの得点力が上がる可能性も高い。

以上の要素を総合的に考えると、清水が本領を発揮するには少し時間が掛かるかもしれない。それは昨年のJ2でも同様だった。だが今季に関しては、リーグ前半戦でつまずくと昨年築き上げた自信を失い、降格の不安で焦りが出てくる恐れもあるため、小林監督は「去年と違って前半戦で力を出せるようにしたい」と語っている。

その意味でも、序盤戦にどれだけ力を発揮できるかが、今季の成績を占う上で重要になりそうだ。ただ、さまざまな要素が良い方向に循環すれば、白崎をはじめとして代表候補に挙がる選手が出てくる可能性もあり、昨年の大宮のようにJ1で旋風を起こせるポテンシャルはある。1つ間違いなく言えるのは、チーム内では自分たちの成長と成功を信じて、選手もスタッフも1つにまとまっているということだ。

文=前島芳雄

「2017J1全18クラブ戦力分析」

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