広島と横浜FMはまたも「3得点」で決着

止まらない横浜FM、破竹の5連勝
ここに、不思議なデータがある。

広島で開催された広島対横浜FMの試合は、06年以降必ず『3得点』を決めた方が勝利を収めているというのだ。広島がJ2で戦った08年を除き、これまで6シーズン連続で勝利チームはこのマジックナンバーを記録している。はたして今年シーズンのJ1第5節、広島対横浜FMの試合はどのような幕切れになったのだろうか。

「今季全勝チーム」が「昨年度王者」に挑む一戦として注目されたこの試合、横浜FMは出場停止処分明けのマルキーニョスを1トップに置き、ここまで充実ぶりを見せる齋藤を初先発でスタート。一方、先日のACLで青山を負傷で失った広島は、岡本を先発で起用した。

試合序盤、両チームの敵はピッチコンディションにあった。試合直前から本格的に降り始めた雨はピッチを湿らせ、選手が走っただけで水しぶきがあがるほどの悪天候。通るはずのパスは途中で止まり、どの選手もボールコントロールに苦戦し、目測を誤り交錯するシーンも度々見られた。

この悪天候に特に苦しんだのが、広島だった。最終ラインから細かくつなぐサッカーが持ち味の広島は、生命線でもあるギアチェンジがほとんど機能しない。最終ラインからいざ縦パスを入れても、ボールは失速。また縦パスが入ってもコントロールに苦戦し、すぐに相手に奪われてしまう。ピッチ中央、いわゆる“広島がスピードを上げたいエリア”はまさに水たまりのような 状態だったのだ。

横浜FMも虎視眈々と広島の隙を突く。19分、岡本からのバックパスを受け取る千葉に中町が果敢にプレッシャーをかけると、千葉が足を取られて転倒。これを中町が奪い、ハーフウェーラインあたりから独走しGK西川と一対一になるが、決定的チャンスをものにすることはできない。攻めあぐねる広島にカウンターという刃をちらつかせる横浜FMは42分、富澤のミドルシュートで先制に成功する。このシュートも、中町のボール奪取が起点になっていることは見逃せないだろう。左斜め45度からの強烈な一発で均衡を破り、前半を1-0で折り返した。

後半開始早々、広島は同点弾を挙げる。山岸のクロスを中で待っていた佐藤寿が合わせ、こぼれ球を高萩がシュート。「後半から相手の背後を突いていくスタイルに変更した」と森保監督が話す通り、シンプルな形で広島が1-1に持ち込んだ

しかし、ここまでリーグ戦で全勝している横浜FMの勢いは止まらなかった。74分、兵藤のスルーパスにまたしても中町が抜け出し、勝ち越しとなる2点目を挙げる。また81分にはドゥトラの強烈なミドルシュートをGK西川がつかみきれず、こぼれた所にマルキーニョスがつめて3点目。3点目が決まると、メインスタンド付近では席を立つ広島ファンの姿が目につくようになった。このまま試合は終了し、3-1で横浜FMが圧巻の開幕5連勝を飾った。

不思議なことに、結局今シーズンもこのカードは『3得点』で決着がついた。さらに、1-3というのは昨シーズンと全く同じスコアでもある。悪天候の中はるばる横浜から駆けつけたサポーターにとって、この因縁めいたスコアはしばらく忘れることはできないだろう。小雨散る広島の夕空にトリコロールのパラソルが舞ったのを見て、私はそんなことを思った。

取材・文/桑村健太