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コラム:史上最高のスーパースター、名監督にあらず

『名選手、名監督にあらず』の具体例はこれまでずいぶん見てきたが、史上最高のプレーヤー、ディエゴ・マラドーナもご多分に漏れないようだ。

ナポリ生まれで、マラドーナを神だと思ってきた私としては、できれば認めたくはない。しかし、48歳になった元アルゼンチン代表が監督に向いていないのは明らかである。

あれだけのメンバーをそろえていれば、とっくにワールドカップ出場を決めていて当然のアルゼンチン。それが残り3試合の時点で、5位コロンビア、6位エクアドルと2ポイント差の4位に低迷。しかもパラグアイ、ウルグアイとの難しいアウェイゲームまで残しており、70年大会以来となる予選敗退の恐れさえ出て来た。

不振の主な要因がマラドーナ監督にあるのは間違いない。サッカーはときに必要以上にややこしいものだが、バランスさえ整っていれば、最高のメンバーをそろえた方が並の選手を集めた場合より成功の可能性はずっと高くなる。

その点、マラドーナのメンバー選考には首を傾げたくなる。アルゼンチンリーグの選手に不健全なほどこだわりを持っていて、まるでヨーロッパリーグに反旗を翻しているかのようだ。実際、ホームで1-3と敗れた5日のブラジル戦でもメンバーのうち10人がアルゼンチンリーグ所属で、約10年ぶりの招集となった35歳のFWパレルモや36歳で初招集のDFスキアビも含まれていた。

アルゼンチンが守りに不安を抱えているのは確かだが、インテルのサムエルを呼ばずにベレス・サルスフィエルドの若いドミンゲスに初キャップを与えたのには驚いた。

さらに、タレントぞろいのはずの中盤でも34歳のベロンと1月にナポリに加入したダトロを先発起用。もちろんダトロは振るわなかったチームの中では屈指のプレーを見せ、素晴らしいゴールも挙げたが、ナポリでは並の選手に過ぎない。

マラドーナ監督への不満はほかにもある。いまだにエインセを使い続けているのはなぜか? シーズン開幕からの調子を比較すれば、テベスではなくD・ミリートを先発で使うべきではないのか? ラツィオでブレイクしたサラテはどうして見落とされたままなのか?

フォーメーションについても疑問が残る。イングランド式の4-4-2にしているのはなぜなのか? しかも、ドゥンガ率いるブラジルの中盤は流動的で、相手のスキを突いたカウンターが得意なのは誰でも気づいているのに、ブラジル戦にも4-4-2で臨んだ理由は何なのか?

アルゼンチンは4-2-3-1を採用すべきだ。そうすれば、世界のどの国をも恐れさせるチームになれる。マスチェラーノと(今は負傷しているが)カンビアッソが中盤の底に入り、1トップはD・ミリート。攻撃的な3人はメッシ、ラベッシ、アグエロ、テベス、イグアイン、ルチョ・ゴンサレス、マキシ・ロドリゲスのなかから自由に選べばいい。あとはサムエル、サネッティのインテル・コンビでディフェンスラインを引き締めれば、ワールドカップへ行ける。

一方、4-4-2では、中盤の層の厚さや攻撃的なプレーというアルゼンチンの魅力を活かせていないばかりか、守りのもろさまでクローズアップされてしまう。そのいい例がマスチェラーノだ。マラドーナ監督はかつて「私のアルゼンチンはマスチェラーノと残り10人のチームだ」と語ったが、頼みのマスチェラーノは期待に応えられず。ブラジル戦でもカカーに翻弄されていた。

リヴァプールの一員として06-07シーズンのチャンピオンズリーグ決勝でミランにいたカカーを完璧に封じたマスチェラーノはどこへ行ったのか? 原因はやはりフォーメーションにある。マスチェラーノは4-4-2で活きるタイプではないのだ。4-4-2のセントラル・ミッドフィールドに求められるのは、攻撃も守備もフィジカルなプレーもすべてこなせる万能型の選手。だがマスチェラーノはゲームの流れを読めて、マンマークが得意な選手なため、深い位置にいるか、よりコンパクトな中盤でないとよさを発揮できない。

マラドーナ監督の成功を夢見ているサッカー好きは少なくない。ただし9日のパラグアイ戦でも結果を出せないようなことがあれば、アルゼンチンサッカー協会は10月に迫ったペルー、ウルグアイとの大事な2試合を前に、マラドーナを解任するか否かという大きな決断を迫られるかもしれない。

Carlo Garganese,Goal.com