チャンピオンズリーグデビュー戦でレアル・マドリーと対戦したシュトゥットガルトDFチェイス・アンリは、欧州王者の実力を肌で感じた様子だ。
17日のチャンピオンズリーグ・リーグフェーズ第1節で、レアル・マドリーの本拠地サンティアゴ・ベルナベウに乗り込んだシュトゥットガルト。ここまでレギュラーを張ってきたチェイス・アンリはベンチスタートとなり、0-1のビハインドの状況だった63分から出場を果たして、本職のセンターバックではなく右サイドバックを務めた。
右サイドバックで起用された意図は、レアル・マドリーを代表するアタッカーの一人、FWヴィニシウス・ジュニオールのカウンターを封じるためとみられる。実際にチェイス・アンリは、一番最初のマッチアップでヴィニシウスに抜かれたものの、その後にはドリブル突破を防ぐなど見事な対応を見せていた。ただシュトゥットガルトは、68分にCKからFWデニズ・ウンダフが一時同点とするゴールを決めるも、83分にMFルカ・モドリッチのCKからDFアントニオ・リュディガー、95分に速攻からFWエンドリッキのゴールを許して、1-3の敗戦を喫している。
試合終了のホイッスルが吹かれた直後、チェイス・アンリはピッチ上でとても悔しそうな表情を浮かべていたが、レアル・マドリーとその選手たちの対戦、そして敗北に感じ入ることがあったようだ。ベルナベウのミックスゾーンに現れたU-22日本代表DFは、試合直後に去来した思いを次のように説明している。
「なぜ悔しそうだったのか? これが世界トップレベルなのかって改めて感じて……。もう本当にやばい、もっとやんないとって思って。悔しかったですね、そのときは」
「みんな今まで見てきた選手で、レアルの選手は自信持ってやっていて……本当にもっとがんばらなきゃいけないなって思いましたね」
チェイス・アンリは、レアル・マドリーの選手たちと現在の自分との間に、明確な実力差を感じた様子だ。
「いや、彼らはなんかもう速いし、シンプルに一人ひとりの選手の能力が高くて。それで自分個人の能力をもっと高くしないといけないなと思いましたね」
とりわけ、マッチアップしたヴィニシウスには衝撃を覚えたという。
「できた部分を具体的に? サイドバックでプレーしたのは初めてで、その辺とかは慣れればいける感じではあるし、ボールを持つ自信もあるし……あとは対人速度もいけるかなと」
「ただ、ヴィニシウス選手とかはめちゃくちゃ速くて。初見であれは無理ですね。分かっていても、『え、消えたんだけど?』ってなって。一番最初はマジでビビって。2回目は調整できたんですけど」
「監督は僕にヴィニシウスを封じさせるつもりだった? 多分そうですね。『あいつを止めろ』みたいな感じだったかと。……でも、やばい。あいつ速い(笑)。普通にやばい(笑)。全員やばいっすね、ちょっとあれは(笑)」
レアル・マドリーはどんな試合展開になっても動じることなく、ピンポイントで自分たちの力を発揮して劇的勝利をもぎ取る。チェイス・アンリは、そうした彼らの精神性を肌で感じたようだ。
「彼らはみんな自信ありますね。すごい自信にあふれていて……引き分けだったとしても負けると感じていませんでしたね。自信を持っていて、本当にすごいなと思いました」
「ヴィニシウスは最初に突破された以外はうまく抑えていた? いやいや、ちょっとね。あれ遊んでましたし。やばいですね。ちょっとレベルが違かったですね。 最後のCKからのカウンターも、これは走っても追いつかないなと思いながら見てて。やばい、これが世界レベルのトップかと思いながら見てましたね」
チェイス・アンリは今回の経験を糧にさらなる飛躍を果たし、再びレアル・マドリーと対戦することを誓っている。
「あとはがんばって、もっといい選手になれるように……なりますので。毎日またがんばって、今以上にやって、また対戦できたらと思います」
このままシュトゥットガルトで出場時間を増やし、成長を果たしていけば、もちろんフル代表招集も見えてくる。
「そうですね、それはそのときのタイミングということで。今はクラブのことに集中したいです。あとはタイミングですね」
取材/江間慎一郎