アトレティコ、カルデロン最後の公式戦をお祭りとして終える…シメオネは残留を宣言!/リーガ最終節
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カルデロン最後の公式戦、シメオネのドラマはワンダ・メトロポリターノまで続く。

21日のリーガエスパニョーラ最終節、アトレティコ・マドリーは本拠地ビセンテ・カルデロン最後の公式戦、アスレティック・ビルバオ戦を3-1の勝利で終えた。

1966年にエスタディオ・マンサナレスの名称で開場し、1971年にその名称を元会長のビセンテ・カルデロンに変更。来季より新スタジアムに移転するアトレティコが、このマンサナレス川のほとりにあるスタジアムで最後の公式戦に臨む。欧州有数の歌うスタジアムを形づくるのはクラブ、チーム、ファンにほかならない。が、アトレティコの勝利、敗北、引き分け、降格、昇格、優勝、歓喜と悲しみの涙、失望、希望のすべてを約51年にわたって受け止めてきた、彼らの“世界でただ一つの場所”で行われる最後の公式戦である。

パセオ・デ・ロス・メランコリコス(カルデロンに面した大通り)に足を運ぶ人々の表情は様々だった。子供たちははしゃぎ回っていたが、年配になる程に口数少ない様子となり、スタジアムの外観を見ながらこれまでの思い出を噛みしめていた。そしてスタジアム内、観客はウォームアップを開始したアトレティコの選手たちをあたたかな拍手で迎えている。

アラゴネス、ガラテ、アデラルド、キコ、パンティッチ、カミネロ、シメオネ、シュスター、フットレ、アベル・レシノ、アントニオ・ロペス、ウイファルシ、フォルラン、ファルカオ、クルトゥワ、ビジャ、ジエゴ・コスタ、ミランダ……。数々の選手が踏みしめてきたピッチで最後のスタメンを組むのは、GKオブラク、DFトマス、サビッチ、ルーカス、サウール、MFカラスコ、チアゴ、ガビ、コケ、FWグリエズマン、そしてフェルナンド・トーレスとなった。

「1966年から2017年」及びカルデロンの外観を模したモザイクとともに、スペイン人歌手ホアキン・サビーナによるアトレティコ創立100周年イムノの歌詞「パセオ・デ・ロス・メランコリコス、マンサナレス、どれだけ愛しているんだ!」が記された横断幕が掲げられ、試合はキックオフを迎える。カルデロンの観衆は、ビッグマッチ以上の声を張り上げた。「私はマンサナレスへ行く。エスタディオ・ビセンテ・カルデロンへ。あそこには感動のフットボールを好む連中が集まるんだ」で始まるオリジナルのイムノや、「跳べカルデロン!」というジャンプを促すチャント。「ルイス・アラゴネス!」「オレ! オレ! オレ! チョロ・シメオネ!」と英雄を称えるチャントをスタジアムに響かせていった。

そして9分、スコアが動く。得点者は、この選手しかあり得なかったのだろう。アトレティコの絶対的アイドル、F・トーレスである。ファンの永遠のエル・ニーニョ(子供)は、グリエズマンの頭の横パスを、右足ダイレクトで枠内に押し込んだ。

「フェルナンド・トーレス、ロロロロローロ、フェルナンド・トーレス!」のチャントが響き渡る中、エル・ニーニョはさらに11分にも得点。速攻の場面、グリエズマンの折り返しをペナルティーエリア内左のコケが頭で内に送り、F・トーレスが厳しい体勢から左足ボレー。ミートはしなかったものの、ふわりとしたボールがそのまま枠内に収まっている。なおF・トーレスのカルデロンでのリーガ通算得点数は、これで54得点目。21世紀における、同スタジアムでのリーグ戦最多得点者となった。

観衆はその後、アスレティックの選手としてピッチに立つラウール・ガルシアや、ペレア、ウイファルシ、フォルラン、ファルカオ、キケ・サンチェス・フローレス監督といった過去の功労者のチャントをメドレー形式で歌っていった(もちろん、レアル・マドリー移籍を画策したと言われ続ける裏切り者アグエロのチャントは歌われず)。前半は2-0のまま終了。ファンは前半終了間際にクラブを離れる見込みのチアゴに対して「グラシアス」の横断幕を掲げ、ハーフタイムには「死ぬまでアトレティ! 死ぬまでだ!」と叫んでいる。

後半、アトレティコはアスレティックのボール保持を許しながらも、速攻からさらなるゴールを狙う。観衆は現在チームに在籍する選手たちのチャントメドレーを行い、さらには「跳べ、カルデロン!」でジャンプをしながらウェーブも起こすという“無茶ぶり”も実行していった。シメオネ監督は63分にF・トーレスをガメイロに代え、69分にカラスコとの交代でガイタンを投入。しかし70分には、ペナルティーエリア内のルーズボールからイニャキ・ウィリアムスに1点を返された。

シメオネ監督は87分にチアゴを下げてアンヘル・コレアをピッチに立たせる。チアゴは、F・トーレスがベンチに下がった際に受けた大喝采にも劣らぬ拍手を浴び、両手を上げてそれに応じていた。アトレティコはその2分後、グリエズマンがポストに当てたシュートをA・コレアが押し込んで3点目を記録。観衆が「アトレーティ! アトレーティ! アトレティコ・デ・マドリー!」ともう一度イムノを高らかに響かせる中、カルデロン最後の公式戦はエストラーダ・フェルナンデス主審のホイッスルでもって終了を迎えた。

だがしかし、カルデロンのフィエスタ(お祭り)はまだ終わらない。その後には30分にわたってセレモニーが行なわれた。まずは功労者チアゴの胴上げが行われ、その後には前日にリーガ優勝を果たしたアトレティコ女子チームが男子チームに花道で迎えられた。女子チームは「カンペーオネス! カンペオーネス」の祝福を受けている。

その次にはカルデロンの歴史を振り返る映像が流され、名場面が流れる度に大きな拍手が巻き起こる。そうしてセレモニーは佳境に入り、アトレティコがこれまで獲得してきたトロフィーが、実際にそれを獲得したレジェンドたちの手でピッチ中央に運ばれていく。レジェンドたちがセンターサークルに沿って並び、その次には現チームの選手・スタッフが入場。最後に紹介されたのはもちろん、シメオネ監督だ。クラブ史上最高の黄金期を築いたアトレティコ現監督は「オレ! オレ! オレ! チョロ・シメオネ!」でもって迎え入れられた。

レジェンドと現チームの選手・スタッフが勢揃いしたピッチで、シメオネ監督はマイクを受け取って現在の心境を述べていく。そして……、ファンが待ち望んでいたアトレティコ残留宣言も飛び出した!

「ほかのチームはもっと金を持っているし、もっとトロフィーを獲得している。しかし君たちがこのクラブを思う気持ちにはかなわない。絶対に、かなわないんだ」

「最後に、報道陣が私の将来を何度も聞いてくるから、今ここではっきりさせておく。ああ、残るよ。私はここに残る。なぜなら、このクラブには未来がある。未来とは、ここにいる私たち全員のことだ。チャオ」

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この残留宣言が最も大きな歓声と拍手を生み出し、セレモニーは終了。クラブ創立100周年イムノが、サビーナの渋みのある声がスピーカーから流れる中で、観客は帰途についている。ちなみに、100周年イムノのサビは「何て勝ち方、何て負け方、何て苦しみ方、何て信じ方、何て夢の見方、何て死に方、何て生き方。金があってもなくても私たちが一番。ビバ! 私のアトレティ・デ・マドリー!」というもの。アトレティコは来季より新スタジアム、ワンダ・メトロポリターノで、シメオネ監督とともに新たなドラマをスタートさせる。

取材・文=江間慎一郎

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