■アップデートを目指した補強
京都は2021シーズン、曹貴裁監督のもとでJ2において24勝12分け6敗の2位でフィニッシュ。42試合でわずか31失点という極めて強固な守備を目立たせ、2010年以来12年ぶりにJ1の舞台に戻ってきた。
新シーズンに向けては、そのディフェンスラインの重要選手だったヨルディ・バイスがファジアーノ岡山に完全移籍。アピアタウィア久、メンデス、井上黎生人と3名のディフェンダーを補強し、主力DF麻田将吾も残留したが、新たな守備組織がどう機能するかは未知数となっている。
昨年に武器としていたバックラインに懸念が生じているということだが、曹監督がオーガナイズする攻防一体のチームにおいて、一人の選手が抜けたことによる心配は要らないかもしれない。熟成までに時間を要する可能性はあるが、ハイラインを敷きながらコンパクトに保ち、勇猛果敢なプレスで相手チームに襲い掛かっていくスタイルは継続され、その根底にあるものは個ではなくチームとしての連動だ。
それどころか、開幕時点でアピアタウィアは23歳、井上は24歳、メンデスは26歳と、新戦力はさらなる成長も期待される選手たち。J1仕様の新機軸を浸透させ、先を見据えてチームのアップデートを目指した補強だったことが読み取れる。
また、中盤においても昨年から輝きを放っていた福岡慎平は21歳、川﨑颯太は20歳と大きな可能性を秘める。若い選手たちが勢いと成長をもたらし、前線のエースFWピーター・ウタカ(38歳)や新加入FW大前元紀(32歳)、山﨑凌吾(29歳)らが経験を注入。今季から京都を新天地とした豊川雄太(27歳)も即戦力として得点が期待される存在だ。
■今季は今後数年に向けた岐路
(C)Getty images曹監督は新体制発表会にて、今季の目標について「全部勝ちたい」とコメント。「優勝というよりも、一試合一試合に全力で勝つつもりでやっていかないと自分たちを応援しに来てくれる人たちに失礼」との思いを強調した。
うまくかみ合えば躍進するポテンシャルを秘めているものの、未知数であるのも事実。指揮官は「負けることもあるのがサッカーなので、そこからどうチームが伸びていくかを掌握するのも僕の大事な仕事」と困難な時期が訪れる可能性も想定した。それらを踏まえて「7回倒れても8回起き上がる、そういったチームにしたい」と不屈の精神を要求している。
一方で、選手たちには「世界に名だたるチームがありますが、そのチームの真似をしてそこに近づこうというより、サンガとして京都から世界にサッカー文化を発信する気合をもってやってもらいたい」と伝えたという。
野望として世界に意識を向けながらも、まず注視するものは目の前の一試合。テーマの多くを“成長”に置いている今の京都は、久々のJ1での戦いで大きな前進を見せることができるのだろうか。2022年は、今後数年間を分ける重要な岐路となるかもしれない。
■2022シーズンJ1開幕節
- 日程 2022年2月19日(土)
- 対戦カード 京都サンガF.C. vs 浦和レッズ
- キックオフ時刻 14:00
- 会場 サンガスタジアム by KYOCERA
- 放送予定 DAZNにて独占ライブ配信/KBS京都(録)