CWC三連覇も…陽性の影響もたらすC・ロナウドなきレアル・マドリー、成否問われる“主要タイトル”への険しき道

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(C)Getty Images

12月12日、レアル・マドリーの本拠地サンティアゴ・ベルナベウで、昨季のチャンピオンズリーグ三連覇の物語を綴った書籍『ラ・デシモ・テルセーラ(史上13回目のチャンピオンズカップ/リーグ優勝)。終わりのない物語』の出版発表が行われた。その場ではクラブ会長のフロレンティーノ・ペレスも登壇し、自クラブが比類のないような成功を収めていることに、大きく胸を張っていた。

「私たちは黄金の時代を過ごしている。このまま皆で努力をし続けて、神話をさらに膨れ上がらせたい。この伝説が、本当に終わりのないものとするために」

近年のマドリーはチャンピオンズ優勝を果たす度に、クラブの財団を通じてこうした書籍を出版する。その一連の書籍の著者であるスペインの有名ジャーナリスト、エンリケ・オルテゴは、まるで毎シーズンあらかじめ決められた仕事のように本を執筆し続けている。マドリーはもう1000日以上も欧州王者の看板を背負い続けており、実際的にまるで終わることのないような日々を過ごし続けているようだ。

だがしかし、チャンピオンズ三連覇から、書籍の出版発表から行われたわずか10日後に達成したクラブ・ワールドカップ三連覇の間に、マドリーは大きく変化した。

今季のベルナベウで行われる試合には、何かぽっかりとした穴が空いている。チームの紹介アナウンスで、スピーカーからクリスティアーノ・ロナウド、ジネディーヌ・ジダンが呼ばれることはもちろんなく、彼らほどの大歓声を生じさせる人物も今は存在していない。ピッチ上においても、やはり彼らがいないのだ、ということを感じさせてしまう。

■責任はロペテギだけにあらず

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「チームが勝ち続けるためには変化が、違う仕事の方法論が必要だ。だから決断した」と語ってマドリーを去ったジダンの後任は、まずジュレン・ロペテギが務めた。マドリーの軽率な就任発表によってロシア・ワールドカップ直前にスペイン代表監督の座を追われた彼は、同代表チームと同じようなポゼッションフットボールを実践しようと試みた。UEFAスーパーカップでアトレティコに2−4で敗れてシーズンをスタートさせると、その後の公式戦は5勝1分けで終えるなど好調だったが、それからは負傷者が続出したこともあって失速。1−5の大敗を喫したクラシコまでの7試合を1勝1分け5敗という散々な成績で終えて、あえなく解任となった。

この解任劇の際にスペインの大手メディアやジャーナリストが声高に叫んだのは、「責任はロペテギだけにあるわけではない」というものだった。その矛先は、ここ最近に補強方針を変更し、クリスティアーノ・ロナウドに代わる大物の点取り屋を獲得することもしなかったクラブ首脳陣に向けられている。

マドリーは移籍金が高騰する前後からメガスターの獲得を控えるようになり、マルコ・アセンシオ、ダニ・セバジョス、アルバロ・オドリオソラ、マルコス・ジョレンテ、ヴィニシウスなど、出戻りの選手たち含め“メガスター候補”たちを積極的に引き入れる方針に変更した。一方でハメス、モラタ、マテオ・コバチッチなどが出場機会を求めて退団。“メガスター候補”たちは候補の殻を破ることはできず、さらに中堅が去ったことでスタメンとの間には溝ができてしまった。

■C・ロナウドの存在感

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このようにクラブ全体が重圧を感じる中で、ロペテギの後任として未来を託されたのは、レアル・マドリー・カスティージャ(Bチーム)を率いていたサンティアゴ・ソラーリ。ジダンが成績不振で解任されたラファ・ベニテスの後任として、内部昇格を果たしたときと同じ構図である。もっと言えば、それこそジダンやソラーリが選手として在籍していたチームを率いたビセンテ・デル・ボスケも、内部昇格だった。ジダンとデル・ボスケはリーガ1部の試合を指揮した経験もなかったが、それでも2人合わせて5回もチャンピオンズ優勝を成し遂げた。クラブは、ソラーリが彼らに続くことに賭けたのだった。

ソラーリ率いるマドリーは、おそらく今できる最善のことをしているはずだ。ロペテギの頃のような過剰なポゼッションを控えて攻守の安定を取り、また変わらず負傷者が続出する中でヴィニシウス、オドリオソラ、レギロン・ロドリゲス、ハビ・サンチェス、セバジョス、ジョレンテら若手を積極的に登用。チャンピオンズ三連覇の立役者たちだけが目立っていたチーム内に再び競争力を植え付けた(その関係で働き者のルーカス・バスケスが重用され、ロペテギ時代のレギュラーだったアセンシオとイスコは控えとなったが……)。ソラーリ・マドリーのここまでの成績は11勝2敗で、トップチーム監督就任から54日でクラブ・ワールドカップ優勝と、間違いなく結果を残している。

しかし結果を出しながらも、試合内容についてはいまだ批判が絶えない。今季に入ってから平均入場者数が下がっているベルナベウは常に緊張の糸が張り詰めており、何かあればすぐにブーイングが飛ぶ状況だ。こうした状況が生み出された最たる理由は、やはりC・ロナウドが空けた穴にある。今季リーガ第16節までのマドリーの得点数は24点と、21世紀のワースト記録を更新。C・ロナウドがいた頃は40~50点を決め、ベルナベウはほぼ毎試合にわたり大量得点を謳歌してきた。しかし今現在のスタンドは、ゴールを決められない状況に苛立ちを隠すことができない。

カリム・ベンゼマは相変わらずベンゼマで、点取り屋というより最善線に位置する極上の芸術家のまま。ガレス・ベイルはC・ロナウドが位置していた左サイドで生き生きとプレーしているが、相変わらず怪我がちで、加えて利き足の左足でクロスを送ったとしてもベンゼマ及び逆サイドから切れ込むルーカス・バスケスは空中戦を得意としていない。C・ロナウドがいない今、誰がフィニッシュを担うのか、というのがロペテギ時代から抱える深刻な問題になっている。

C・ロナウドに関して言えば、ピッチ上での振る舞いについても強く印象に残る。スペインではピッチ上の選手たちの様子や発言が映像で流す文化があるが、彼は「全員がボールを追うだけじゃダメだ。怯まず、前にボールを出してくれ」「カリム、やってやろう。相手は臆病者だ」など仲間を鼓舞し続けた。今のマドリーの前線に、そうした陽性の影響を与えられる選手はいない。チーム全体で言っても、セルヒオ・ラモスのエゴの強さだけが悪目立ちしている状況だ。

マドリー首脳陣はこの冬、ルカ・モドリッチの後継の確保に動く考えはありながらも、点取り屋を獲得するかは決めかねているようで、ヴィニシウスの本格的ブレイクに賭けるとの意見も出ているという。もしストライカーの補強に動かないとなれば、ソラーリの手腕がさらに試されることになるだろう 。

■結果を出せる力はあるか

いずれにしても今季のマドリーの成否は、主要タイトルを取れるかどうかにかかっている。ジダンは「このチームの選手たちには、私がいなくても勝ち続けられる才能がある」と断言し、その一方でC・ロナウドは「僕は相応の愛情を受け取っていない。マドリーは自分の価値を分かっていない」と不満を漏らしてクラブを去ったが……果たして今のマドリーに「終わりのない物語」を継続できるだけの力はあるのだろうか。

文=江間慎一郎

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