Amad Diallo Manchester United Ballon d'Or GFXGetty/Goal

「バロンドールさえ狙える」マンチェスター・Uのヤングスター、アマド・ディアロとは何者?

アマド・ディアロは観客のいないストレットフォード・エンド・スタンドに駆け寄った。左手で目を押さえ、右手で耳を隠し、世界に向けて自身の存在をアピールした。

アマドのフリックしたヘディングシュートでマンチェスター・ユナイテッドはミランからリードを奪った。ベンチから登場してすぐに大きなインパクトを残したのだった。

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Amad Diallo Manchester United 2020-21Getty Images

2020年10月、アタランタから加入することが決定したアマドには期待と興奮が寄せられた。彼の移籍金が主な理由だ。マンチェスター・ユナイテッドは合計1900万ポンド(約28億7000万円)をまず支払うことで合意。今後、支払い額は3700万ポンド(約55億8000万円)まで上がる可能性がある。もしこの条件を満たせば、アマドはプレミアリーグ史上最高額の10代選手となる。

だからこそ、マンチェスターにやってくる前から彼を絶賛する声があったことは、あまり驚くことではない。さらに、加入からすぐにセカンドチームで活躍。U23チームでデビューしてから得点までたった15分しかかからず、リヴァプールに勝利した一戦の後半ではパネンカを決めてみせた。この活躍によって、「アマドをすぐにファーストチームに加えるべきだ」というサポーターの評価が正しいことが証明された。

マンチェスターに加入したとき、アマドはまだ35分しかトップチームでプレーしていなかった。アタランタでは2度の途中出場のみだったが、移籍する何年も前からユナイテッドはアマドをスカウティングしていた。正確には3年前、U15の試合で印象的なプレーを見せたときからだった。

才能が見出されたことは、若い頃にアマドと同じチームにいた人たちにとって全く驚きではなかった。ディアロは12歳のとき、成長してプロ選手となるべく兄と共にイタリアへと移住。イタリア北部、パルマのすぐ近くにあるボカ・バルコというアマチュアクラブで活躍し始めた。

「私たちがアマドを見出したわけではなく、ただ彼が我々のところへやってきたんだ。とてつもなく幸運なことだった」

『BBC』でそう語ったのはディアロを育てたユースチームの監督、デニス・チェルリーニ。このように続けている。

「本当に最初の頃から、あの子が特別な才能を持っていることは明らかだった。大胆で素早く、素晴らしいテクニックと強いシュート力があった。そしてすべてを凄まじいスピードでやってのけたんだ」

■「テクニックとスピードが抜きん出ていた」

Amad Traore - AtalantaGetty Images

ボカ・バルコに在籍している間、アマドと兄であるハメド・トラオレは元ACミランGKのジョバンニ・ガッリに紹介された。ガッリがスポーツディレクターを務めるセリエC・ルッケーゼのトレーニングに、友人が彼らを連れて行ったのだ。ガッリは2人について当時を思い返す。

「ルッケーゼのユースチームの子どもたちと一緒に練習をさせたのだが、すぐに分かった。2人とも平均以上のクオリティを持っているんだとね。アマドについて言えば、テクニックとスピードが抜きん出ていた」

ガッリは自身の広い人脈を駆使して兄弟を後押しした。アマドは2015年にアタランタと契約し、ユースチームに加入。当時はまだ13歳だったが、U15でプレーし、目立った活躍を見せてリーグ優勝を果たす。自身よりも上の年齢層のチームに飛び級で上がっていく中、リーグでの功績は数年間繰り返され、トップチームに昇格するまで続いた。

アタランタでキャプテンを務めていたパプ・ゴメス(現セビージャ)の耳にも下部組織のスターの活躍は届いていたようだ。

「毎週木曜日にプリマヴェーラの選手を相手にしていたが、トップチームのディフェンダーでさえ、彼を止めるのは難しいと言っていた。(止めるためには)彼を蹴らないといけなかった。メッシみたいなプレーをしていたんだ」

アマドの才能を高く評価しているガッリだが、「もっと強くならないといけない。同時にスピードも失ってはいけない。それが彼の特徴となる能力だからね」と付け加えることも忘れなかった。

167cmの小柄な体格であるアマドは軽くて足が速く、ウイングで相手を翻弄するのに適しているが、ガッリの言うように、プレミアリーグでレギュラーになるためには体を大きくする必要がある。これまでのところ、トップチームでの出場時間はヨーロッパリーグでの途中出場と、FA杯でレスターに勝利した試合の数分間だけだ。

練習に上手く溶け込んでいるが、プレミアリーグ向けのフィジカルを得ることがこの18歳が待ち望んでいる次のステップだ。「彼はハングリーに学んでいて、練習での旺盛な意欲は申し分ない」とスールシャール。実際、若くして単身イングランドにやってきたアマドだが、適応に問題はない。英語を習得し始めているが、ほとんどのチームメイトとは流暢なフランス語とイタリア語で話し、いい関係を築いている。

一方で、指揮官は「一生懸命にやっているよ。エキサイティングな才能を持っている」としつつ、「今プレーしているレベルのスピードとクオリティに慣れなければいけない」と時間をかけて育てていくことを示唆している。

■来季本格ブレイクか

EMBED ONLY Amad Diallo NXGN award GFXGoal

アマドを毎試合スターティングメンバーで使うよう要求するサポーターもいる。来シーズン、ガッリはアマドについてレギュラー奪取だけにとどまらない可能性もあると示唆する。

「彼はとても若いが、2か月前イングランドにやってきたばかりなのにすでにヨーロッパリーグデビューを飾っている。来季はトップチームでもっと活躍するチャンスがあると思うよ。確かに彼はいい選手だが、才能だけでは十分じゃないことは覚えておかなければならない。チームのために、チームと共に戦うフットボーラーになるためにはハードワークしなければならない」

トップチームでの出場時間はこれまでで合計89分。ユナイテッドの契約が成功だったかどうか、推し量るのはまだ難しい。だが、アマドの成長を近くで見守ってきた人たちの言うことが正しければ、バーゲン価格ということになるだろう。

ガッリは「手短に言えば、向こう5年間でバロンドール候補になれるだけの才能を持っていると思うよ」と太鼓判を押す。この評価が本当かどうか、時が来ればわかるだろう。

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