落ち度なくレギュラー陥落の長友佑都、這い上がるために見るべき4カ条【海外日本人前半戦総括】

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海外で戦うサムライたちは2017-18シーズンの前半戦をどのように過ごしたのか? 歓喜の瞬間を迎えた者、充実の日々を送った者、葛藤してもがき苦しんだ者……。彼らが過ごした半年を、改めて振り返る。

長友佑都(インテル)

前半戦結果:12節までは左サイドバックのレギュラー。13節以降は控え。
チーム内序列:サイドバック5人の中の5番手(13節以降)。
前半戦採点:12節までは80~90点。13節以降は評価不能。
後半戦の目標:レギュラー奪還とチャンピオンズリーグ出場権獲得への貢献。 

文=手嶋真彦

■数字とは裏腹に序列は…

数字は時に嘘をつく。

セリエA前半戦の長友佑都の出場時間は812分。インテル・ミラノのサイドバック5人では、ダニーロ・ダンブロージオの1667分に次ぐ2番目の長さだ。3位がダビデ・サントンの523分、4位がエンリケ・ダウベルトの380分で、最下位の5位がジョアン・カンセロの249分。前半戦19試合中10試合に出場した長友は、数字だけで判断すればいまだにレギュラーであるかのようにも見える。

しかし、実際にレギュラーだったのは9試合に先発し、1試合に途中出場した12節までの過去の話だ。11月19日の13節から12月30日の19節までの7試合は1秒たりともピッチに立っていない。ケガをしていたわけではなく、コンディション不良でもなかったはずだが、ひたすらベンチを温め続ける日々だったのだ。

ただ先発から外れただけではない。途中出場の出番すら回ってこなかった。12月3日の15節は、インテルがリードを4点に広げてからの77分に右サイドバックのダンブロージオがお役御免となったが、交代のカードとして呼ばれたのはダウベルト。13節から長友に代わって左サイドバックのレギュラーを任されるサントンが右に回り、ダウベルトは左に入った。

続く12月9日の16節は、サントンが63分までで負傷交代を余儀なくされる。戦っていたのはユヴェントスとの大事な直接対決で、途中経過は0-0(そのままスコアレスドロー)。しかし投入されたのは、またしてもダウベルトだった。

長友の先発復帰があり得たのは12月23日の18節だ。17節はインテルの開幕からの無敗記録(12勝4分け)が途切れ、ウディネーゼに喫した3失点中2失点にサントンが絡んでいた。迎えた18節、サントンは予想通りスタメンを外される。しかし、その代役はカンセロだった。ダンブロージオが左に移り、カンセロが右で先発する。長友は先発復帰どころか、途中出場すら許されなかった。77分にダンブロージオに代わったのはダウベルトだったのだ。

続く12月30日の19節も負傷で戦線を離脱したダンブロージオの穴埋め役はカンセロで、左はサントンが先発に復帰した。長友もコッパ・イタリア2試合(12月12日と12月27日)にフル出場しているとはいえ、優先順位の明らかに低いコンペティションだ。13節以降の指揮官の用兵が物語っているのは、サイドバックの5人で一番下の5番手に序列を下げている長友の現状なのである。

■指揮官の“余裕”が影響を及ぼす

長友の扱いが13節から激変したのは、状況が変わったからでもあるだろう。今シーズンのインテルは難敵との対戦が続いた序盤戦をうまく乗り切り、1節のフィオレンティーナ戦、2節のローマ戦を含めて無傷の4連勝。その後も着実に勝点を伸ばし、12節を終えても無敗のまま(9勝3分け)、セリエA7連覇を目指すユヴェントスや、ユヴェントス以上の本命とも目された戦前の評判通りのナポリと首位を争っていた。

順風満帆のまま突入したのが、11月の国際Aマッチウイークだった。インテルの再建を託される就任1年目のルチアーノ・スパレッティ監督にしてみれば、12節までの予想以上の好成績で解任の恐れはゼロ同然まで低くなっており、未来を見据えた人材登用に舵を切りやすい状況となっていたに違いない。

国際Aマッチウイーク明けの13節、日本代表から戻ってきたばかりの長友――実績十分で計算が立つ反面、長期的なプランには含めにくい31歳――をあえて外し、故障から回復して状態が上向きだった5歳年下のサントンを先発で試してみると、おそらく手応えがあったのだ。両者の実力には甲乙つけがたく、持久力で長友に分があるとはいえ、高さではサントンが上回る。

その一方で期待の両新戦力のダウベルト(24歳)とカンセロ(23歳)が長友よりも出番を増やしているのは、セリエA開幕当初と比べてリスクを冒せるようになったスパレッティ監督の余裕の表れとも受け取れる。

長友自身に大きな落ち度があったとは考えにくい。前半戦の個人的なハイライトとなった10月24日の10節(3-2で勝利のサンプドリア戦)は、決定機に直結する左足の絶妙な縦パスを連発し、途中交代時には本拠地サン・シーロ・スタジアムのインテリスタからスタンディング・オベーションの賞賛を受けている。そのまま良い流れに乗って、11月の国際Aマッチウイークに臨んでいたのだ。直近の出場機会となった12月27日のコッパ・イタリアでも、延長戦の末ミランに敗れたとはいえ、厄介な対面のスソに決定的な仕事をほぼ許していない。

■後半戦に求められることは?

2018年をサイドバックの5番手として迎えた長友が、セリエAの後半戦でそこから這い上がり、6月14日開幕のロシア・ワールドカップに繋げていくには、何が必要か。見どころは少なくとも4つある。

①ダンブロージオの再度の左サイドバック起用はあるか。

②サントンの“息”がどこまで続くか。

③ダウベルトの適応がどこまで進むか。

④チャンピオンズリーグ出場権争いの行方がどうなるか。

インテルのサイドバック5人の中で、ここにきて存在感を高めているのが、ケガで開幕から大きく出遅れていたポルトガル代表のカンセロだ。長友以上にも映る絶対的なスピードを誇り、右足の精度はセットプレーのキッカーを任されるほどで、切り返してからの左足のクロスも悪くない。球際に強く、守備の不安もおおむね払拭しており、右ウイングのアントニオ・カンドレーバとの連携が噛み合えば、インテルの右からの切り崩しは間違いなく威力を増すだろう。

実際にそうなれば、スパレッティ監督が1月下旬か2月上旬には戦列に復帰するダンブロージオを左に移すシナリオの現実味が増してくる。前述した通り、サントンを先発から外した18節のサッスオーロ戦では、指揮官は右がカンセロ、左がダンブロージオという組み合わせのスターターを選んでいる。

そのサッスオーロ戦のダンブロージオは左足のキックに心許ない印象を残しているとはいえ、左サイドバックでの出場自体が久しぶりだった。スパレッティが右サイドで不動のレギュラーに起用してきた通り、戦術理解力と守備力は5人のサイドバックの筆頭で、勘を取り戻せば左サイドもそつなくこなすだろう。

左のレギュラーを引き続きサントンが務めるとすれば、問題は息がいつまで続くかだ。2008-09シーズンのプロ入り後、サントンが1年間フル稼働した実績はなきに等しく、故障も多い。

サイドバックの5人で唯一レフティーのダウベルトは、左足からの鋭いアーリークロスという持ち味を時折覗かせているとはいえ、前半戦はスパレッティの志向するハイプレス、カウンターアタック、ポゼッションを織り交ぜたサッカーにも、駆け引きの多いセリエAでの戦いそのものにも適応できずにいる印象が強かった。組織の一員としていずれ機能するようになるのか、その順応にどの程度の時間を要するのかといった見どころも、長友の出場機会を左右するだろう。

スパレッティが追い込まれた時に、どう出るかも注目だ。就任1年目の至上命題はチャンピオンズリーグの出場権確保(4位以内)であり、優勝争いで頭一つ抜け出した感のあるナポリとユヴェントスにこのまま引き離されたら、インテルは残るCL2枠をローマやラツィオと終盤まで争わなければならなくなるかもしれない。未来を見据える余裕を失い、目先の1試合を確実に物にしていかなければならなくなった時、スパレッティがふたたび長友の実績と経験を頼りにしても、なんら不思議はない。

公式戦4試合勝利なし(1分け3敗)で迎える1月5日のセリエA20節、後半戦初戦のフィオレンティーナ戦の用兵が、まずはその一つの目安となるはずだ。

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