「理想郷」を見つけた宇佐美貴史、漂う本格ブレイクの予感…【サムライたちの現在地】

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(C) Getty Images
いよいよ開幕を迎える欧州各国リーグ。今シーズンも、日本人選手が世界最高峰の選手たちとしのぎを削る事になる。ロシア・ワールドカップが終わった今、日本のサムライたちはどのような成長を遂げ、どのような戦いを見せてくれるのだろうか。今回『Goal』は、そんなサムライたちを特集する。

●立ち位置

サイドハーフのレギュラー候補

●個人での目標

年間を通してレギュラーとして活躍

●ポジション争いのライバル

ベニート・ラマン、ドディ・ルケバキオ

■シーズン佳境に地元紙が「昇格のキーマン」に指名

2018-05-15-usami

フットボーラーにとって環境はきわめて重要だ。チームスタイルに合わない、あるいはレギュラー陣の高い壁に阻まれるなどの理由から、豊かな才能を持て余している選手は少なくない。2016-17シーズンまでの宇佐美貴史もそうだった。フィジカルに長けたアタッカーを重宝するマヌエル・バウム監督率いるアウグスブルクで出番に恵まれず、かつてバイエルンに見初められた才能は完全に埋没していた。16-17シーズンの成績は、11試合出場でノーゴール。ピッチに立ったのはわずか437分に過ぎなかった。

アウクスブルクで居場所を失った宇佐美は、17年夏にフォルトゥナ・デュッセルドルフにレンタル移籍を果たす。J2でプレーした2013年以来、キャリア二度目となる2部での戦いを決意したのは、なにより出場機会を渇望していたからだ。そして、シーズン前半こそレギュラー定着に至らなかったが、途中出場した第23節のグロイター・フュルト戦から4試合連続ゴールと躍動。「普段のトレーニングからハイパフォーマンスを見せなければならない」というフリートヘルム・フンケル監督の要求に応えたと同時に、個人練習でキック精度を高めた結果、シュートやパスの質が上がり、チームに欠かせないアタッカーへと変貌を遂げた。

シーズンの佳境に地元ライニッシェ・ポスト紙から、チームメイトだった原口元気とともに「昇格レースのキーマン」として取り上げられるまでになった宇佐美は、左右のウイングに加え、トップ下を柔軟に務め、最終的に28試合出場で8ゴール・3アシストをマーク。デュッセルドルフの1部昇格に大きく貢献した。

■ライバルはロッベンを彷彿させるレフティー

その昇格クラブへのレンタル期間の延長が決まったのは8月4日だった。アウグスブルクの公式サイトを通じて、宇佐美は「昨季僕はデュッセルドルフで得た多くの出場機会を通して大きな進歩を遂げられました。そのため成長へ向けての次のステップを、デュッセルドルフで歩み続けたいと望みました」と自身の希望だったことを明かしている。そして同日、クラブのファンイベントに登場すると、「(2部優勝セレモニーの際に)約束した通り、またここに戻ってきました。デュッセルドルフ、ありがとう」と喜びを口にした。もちろん、デュッセルドルフにとっても宇佐美は手元に留めておきたかった戦力だ。フンケル監督は言う。

「彼は特に昨シーズンの後半に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれ、昇格チームの重要なパートになっていた。タカは新シーズンも引き続き特別な役割を担うことになるよ」

もっとも、現時点で不動のレギュラーとは言い切れない。プレシーズンマッチで起用された右サイドハーフの定位置を掴むには、今夏に加入したドディ・ルケバキオとの競争に勝たなければならない。ベルギーU-21代表に名を連ね、ワトフォードが保有権を持つこのレフティーは、スピード、テクニック、シュートセンスの三拍子が揃い、バイエルンのアリエン・ロッベンを彷彿とさせる。宇佐美が欠場したDFBポカール1回戦のコブレンツ戦で2ゴールといきなりインパクトを残した新鋭が、新たな壁として立ちはだかるかもしれない。

ただ、宇佐美にはフンケル監督のサッカーへの理解度で一日の長がある。パフォーマンスの継続性という意味でも、昨シーズン後半に結果を残した日本人アタッカーの方がルケバキオより信頼できるだろう。また、コーナーキックを担当するなど、プレースキッカーとしても期待される存在だ。2部を戦った昨シーズンほどのゴールチャンスに恵まれないはずの今季は、宇佐美のキックがチームのより重要な武器になりそうだ。

仮にルケバキオが右サイドハーフのレギュラーに定着したとしても、宇佐美が左サイドハーフで出場機会を得る可能性もある。その際は、昨シーズンにチーム2位の10ゴールを挙げたベニート・ラマン、リヴァプールに所属するデヤン・ロブレンの実弟ダボル・ロブレンが競争相手になるだろう。

■「愛している」と語る理想郷でブレイクなるか

2018-04-23-usami

12-13シーズン以来のトップリーグに挑むデュッセルドルフにとって、唯一にして最大の目標は1部残留だ。年間予算は限られており、今夏の移籍マーケットではビッグネームの獲得は実現していない。それだけに、チーム内競争による選手個々のレベルアップが非常に重要なテーマになりそうだ。

ルケバキオやラマンらとの切磋琢磨を経て、宇佐美はさらなる成長を遂げられるか。いずれにせよ、厚い信頼を寄せてくれているフンケル監督の下、バイエルン、ホッフェンハイム、アウグスブルクで実現できなかったブンデスリーガでブレイクする可能性は膨らんでいる。ドイツの地で初めて築いたサポーターとの相思相愛の関係も、宇佐美の精神面を安定させる意味でプラスに働くに間違いない。

まずは早い段階でゴールやアシストなど目に見える結果を残し、昨シーズン終盤のような不動の地位を確立したいところだろう。宇佐美自身が「愛している」と語るほどの理想郷であるデュッセルドルフで、ブンデスリーガ通算4シーズン目に挑む天才のチャレンジに要注目だ。

文=遠藤孝輔(サッカージャーナリスト)

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