極私的べストチーム・クロアチア。その姿勢から日本が学べることも多い【中村憲剛のMSN】

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(C)Getty Images
川崎フロンターレの中村憲剛が海外サッカーについて語る連載インタビュー「中村憲剛のMSN(マジで 好きなヤツ ノミネート)」。ロシア・ワールドカップを振り返る企画第2回は、憲剛選手が考えるべストチームについて。

皆さん、こんにちは。中村憲剛です。前回はロシア・ワールドカップの優勝国フランスについて私見を述べましたが、今回は極私的ベストチームを取り上げてみたいと思います。

■追い込まれたときに立ち返る場所があった

すでに皆さんもお分かりかと思いますが、僕の考えるベストチームは、準優勝のクロアチアです。人口約450万人の小さな国が、なぜファイナルまで勝ち上がることができたのか。そこには日本のサッカー界にも参考になるようなことが、いくつもあったように思います。

ファイナルへたどり着くまでの道のりを考えたら、クロアチアに優勝してほしかったですね。これは理屈ではなく、人情として――。

決勝トーナメントに入ってから3試合連続で120分を戦い、イングランドとの準決勝(2○1)に至っては見事な逆転勝ち。これほどドラマティックな勝ち上がりは珍しい。常に相手に先制されるなど、自分たちで苦境を招いたのも確かですが、それをはね返す力がありました。そこがすごいなと。

自分たちはボールを握って戦い続けるんだ、という意志の強さが感じられました。フランスのように臨機応変に戦うことも重要ですが、クロアチアのように自分たちの戦い方を信じるということもまた、必要なことだと思いました。

常に先行される展開だったこともありますが、追い込まれたときに立ち返る場所があるかどうかも本当に大切だなと。その意味ではズラトコ・ダリッチ監督の手腕も見事でした。手元にいる選手たちの特長を見ながら、チームの立ち返る場所を作り、各々の個性を最大限に引き出していましたから。

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■ 記憶に残るような作品を作り出す最高の“共演者”

そして“格”の部分で負けなくなったのも大きいですね。

チームの強みであるポゼッションプレーの核となっていたルカ・モドリッチはレアル・マドリー(スペイン)の、イヴァン・ラキティッチはバルセロナ(スペイン)の中心選手として活躍していますし、それも当然かと。余談ながら、フランスの堅陣を支えていた2センターバックもラファエル・ヴァランがレアル、サミュエル・ウムティティがバルサの選手でした。どちらの国も二大クラブのペアがチームカラーを映し出す鏡になっていたのは面白いですね。

話を戻すと、モドリッチとラキティッチ以外の選手たちもトップクラブで活躍する選手ばかりでした。アタック陣ではマリオ・マンジュキッチがユヴェントス、イヴァン・ペリシッチがインテルというイタリアの名門クラブで中軸を担い、センターバックのデヤン・ロヴレンも大会直前にUEFAチャンピオンズリーグで準優勝したリヴァプール(イングランド)のレギュラー。

それを考えれば、大国の選手たちと堂々と渡り合えるのも納得でしょう。一人ひとりにそれだけの自信も実績もあるし、「俺たち、何も劣っていないよね」と思えたはずです。

実際、フランスとの決勝でも試合への入り方は良かったし、ペリシッチのゴールで同点に追いついたときにはフランスも明らかに動揺していました。しかも、ボールを握るという自分たちのスタイルを前面に押し出して戦っていた。

お互いが慎重に守り、負けないサッカーに徹する試合になっていたら面白くないなと思っていたので、個人的にも楽しませてもらいました。確かに勝ち負けは重要ですが、勝負ごとは他にもたくさんありますからね。サッカーを一つのエンターテインメントと考えれば、内容も同じくらい大切でしょう。ひたすら互いの長所を消し合うだけでは、つまらないですから。

その意味でクロアチアはあくまで自分たちの長所を生かし、結果的にフランスの長所も引き出していました。互いの特徴がうまくかみ合った試合だったと思います。

エンターテインメントの視点で言えば、記憶に残るような作品を作り出す最高の“共演者”でもありましたし、1点をめぐる僅差の勝負が定番だったファイナルを面白くしてくれましたね。結局、敗者へ回ることになってしまいましたが、彼らはそれまでに30分の延長戦を3つも戦い、フランスよりも実質1試合多い状態で臨んでいた。それも、あの短期間で。それを考えれば、よく戦ったと思います。あの時点におけるベストの力を出し切ったなと。

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▲何度倒れてもあきらめなかったモドリッチ。チーム全員がハードワークしていた

■うまいだけじゃダメ。よく働き、闘い抜く

もう一つ素晴らしかったのは、クロアチアが高度なテクニックの上にあぐらをいたチームじゃなかったこと。

全員がハードワークできる。攻守を問わず、一人ひとりがよく走り、よく働き、よく闘っていた。そこですよね。やっぱり、うまいだけじゃダメだなと感じました。あのモドリッチが率先して走り、球際でも激しくファイトするわけですから。もちろん、自分も含めてですが、日本の若い選手たちには、そういう部分を学んでほしいなと思いますね。サッカーはテクニックだけではないと――。

決勝で2点目を決めたマンジュキッチの姿にも胸を打つものがありました。1-4という絶望的なスコアになったあとでも全力でボールを追いかけていた。それが、相手GKに信じ難いミスを呼び起こしたのだと思います。よく最後まであきらめるな――と言われますが、あの点差ですからね。それでも勝負を、ゴールをあきらめていなかった。信じ難いのはGKの凡ミスよりも、マンジュキッチのほうだったと思います。

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▲マンジュキッチは69分自身の得点後(チーム2点目、2-4)、即ボールを持ってセンターサークルに走る

そして、モドリッチです。クロアチアもタレント集団ですが、さすがにレアルとは違います。なので、クラブと同じようにプレーしているわけにはいかない。俺がやらねば――という責任感、それが強く伝わってきました。だからこそ、みんな感動もしたし、今大会のMVPに選ばれたのだと思います。しかも、あの小さな体で。

いまやフィジカルモンスター全盛の時代へ突入する中で、ゲームメーカーは絶滅危惧種に近い存在ですが、モドリッチのような選手がいると、やっぱりサッカーは楽しくなるなと思いましたね。

日本人選手はこれからフィジカル面を鍛え、技術を磨いていく必要はありますが、武器にできるのは日本人の長所である勤勉さや連続性ですから。そこにハードワークを上乗せして勝負していく。今大会のクロアチアには、日本が強くなるためのヒントが詰まっていたように思います。

構成=北條 聡

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