森保監督の未来戦略。日本代表、U-21代表メンバー発表から見えるもの

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7日、日本サッカー協会は16日のベネズエラ戦、20日のキルギス戦に臨むA代表、同時期にUAE遠征に臨むU-21代表を発表した。二つの代表メンバー・スタッフから見える森保一監督の狙いとは?サッカーライター川端暁彦氏はこう見る。

■A代表は、ブラッシュアップよりも継続

11月7日、同月に行われるベネズエラ戦とキルギス戦に向けて発表された日本代表メンバーを一言で表すならば、「継続」といったところだろうか。前回招集時から入れ替わったのは計2名。左サイドバックの山中亮輔(横浜F・マリノス)とFW鈴木優磨(鹿島アントラーズ)が初招集となったのみ。21名は継続選出となった。

初招集になった二つのポジションにしても、10月シリーズ発表時のメンバーであるFW小林悠(川崎フロンターレ)とDF長友佑都(ガラタサライ)が傷病により離脱中であったことが大きいと思われるだけに、やはり基本は「継続」なのだろう。

森保監督は「選考していく中で今回はこのメンバー選考がベストだと思って決めました。決めた結果があまり変わらなかったのは、いま言われて思いました」と少し冗談めかした口調で語っていたが、もちろん分かっていなかったはずもない。ウルグアイ、コスタリカに快勝した10月シリーズの内容に手ごたえを得ているからこそ、来年1月のアジアカップに向け、ブラッシュアップよりも継続を優先させたということだろう。

実際、シントトロイデンで活躍するFW鎌田大地なども大枠の候補には入っていたようだが、招集は見送られている。その中にあって、負傷者が出て層の薄くなっている位置に限り、新戦力にチャンスを与えることにしたというところだろう。

■山中亮輔と鈴木優磨、初選出の理由

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▲山中(左)は左利きのスペシャリスト。鈴木は大迫の対抗馬になり得るか

長友に代わっての招集となった山中は、長友とは明確にタイプの異なるサイドバックだ。

「パフォーマンスに波のある選手ですが、特長にスペシャルなものを持っている選手だと思います。特に攻撃面で、左利きを生かしたプレー、クロスや攻撃に絡むプレーが代表招集につながった理由です」(森保監督)

右利きで場合によっては右サイドでもプレー可能な長友と異なり、山中は左足のスペシャリスト。長友のような対人守備に強いタイプではなく、攻撃面にこそ特長のある選手である。横浜FMでは俗に「偽サイドバック」と呼ばれる、サイドに張るのではなく中央に入って、ビルドアップに加わっていく役割を消化するなど戦術的にも幅を広げてきた。練習からビルドアップを徹底して重視している森保監督だけに、テストしてみたいと思ったのはよく分かる。

もう一人、FWとして新たに招集された鈴木の選出理由はシンプルだ。

「鈴木は鹿島でAFCチャンピオンズリーグ決勝に臨み、アジアのチャンピオンを目指す力のあるチームの中で得点という結果を出し、FWの選手として存在感を発揮してくれているので招集しました」(森保監督)

ビッグタイトルの直前に、勢いのあるFWを新たに加えるというのは代表チームにおける定石の一つ。いまの鈴木を観ていると、その若々しさと勢いに期待したくなるというのも分かるというもの。ポストプレーも以前より巧みになっているので、控えが見当たらないと言われてきた日本一のポスト系FW大迫勇也の対抗馬として機能すれば面白そうだ(どちらも鹿島が育てたFWというのも面白いが)。

いずれにせよ、この11月シリーズの内容がよほど酷いものでない限り、あるいは負傷者続出といった緊急事態が起きない限り、今回のメンバーがアジアカップ登録23名中20名以上を占めることになるのではないか。誰かを加えるにしても、9月シリーズに招集していた選手たちにとどめるのではないかという気がしている。

FWだけは前述の理由から、最後の1ピースとして調子の良い選手をピックアップする可能性は残る。とはいえ、会見における森保監督の言葉を借りると、「基本的には」今回のメンバーがベースとなるはずだ。

■メンバー大幅刷新、U-21日本代表の狙い

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▲左から小林友希、齊藤未月、久保建英

一方、この会見では森保監督が兼任して指揮を執っているU-21日本代表(東京五輪代表)チームのメンバーも発表された。同時期にUAEで行われるドバイカップへ参加するためだ。銀メダルを獲得した8月のアジア競技大会以来の招集となるが、メンバーも大幅に刷新された。

「世代融合」を掲げてきた森保監督にとっては念願とも言えるが、U-20W杯に向けたアジア予選(AFC U-19選手権/10月末)を優先してアジア大会では招集を回避していたU-19世代の選手たち6名を一挙に招集。過去に招集したことのあるDF橋岡大樹(浦和レッズ)、MF伊藤洋輝(ジュビロ磐田)、FW田川亨介(サガン鳥栖)に加え、DF小林友希(ヴィッセル神戸)、MF齊藤未月(湘南ベルマーレ)と久保建英(横浜FM)がチームに加えられた。

小林はまだ高校3年生だが、貴重な左利きの大型センターバックであり、3バックを採用するなら特に有用なタイプ。定評のあったビルドアップに加えて対人戦に関しても磨きが掛かってきており、AFC U-19選手権では勝負どころでハイパフォーマンスを発揮。納得の「昇格」となった。久保は意外にもこれが森保ジャパンへの初招集だが、1年前のU-20W杯をともに戦っていた選手も多く、特に違和感なく適応できるだろう。

いずれにせよ、世代の垣根なく抜擢していく姿勢を鮮明に表す選考となった。9月シリーズではA代表に招集されていた伊藤達哉(ハンブルク)はこちらでの選出となったが、森保監督は「経験を伝えてほしい」とコメント。監督を務める横内昭展コーチらスタッフ陣を含めてA代表と行き来する選手を作る中で、五輪世代のスタンダードをより高めていく狙いもありそうだ。

■U-19秋葉コーチ、U-16齋藤コーチの抜擢

また密かな注目点は横内コーチが抜けるA代表のコーチ陣としてU-19日本代表の秋葉忠宏コーチ、U-16日本代表の齊藤俊秀コーチがそれぞれ起用されていることも挙げられる。直接的な理由は二つの代表を同時に走らせるゆえの単純な人手不足だが、あえて彼らを起用したのは、森保監督の考えるA代表のスタンダードを下の世代へ還流していくための一手だろう。

「彼らがU-19代表、U-16代表に戻った時に、いろいろな部分で共通認識を持てれば。選手だけではなく、スタッフも共通認識を持つことで各世代の融合を図れればと思っています」(森保監督)

各年代の代表チームを貫く縦軸の弱さはかねてより指摘してきた日本サッカーの弱点だが、U-19日本代表の4大会連続敗退を受けて以降の年代別日本代表に関する諸改革、そして森保体制の発足によって、風通しが良くなっているのは間違いない。

こうした施策に即効性はなく、兼任監督のメリットが感じられるのももう少し先の話になると思うのだが、確実に種は蒔かれている。この二つの代表発表を通じて、そんな印象も強くなった。

■日本代表ベネズエラ代表・キルギス代表戦メンバーはこちら
■U-21日本代表UAE遠征(11/11~21)メンバーはこちら

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