柴崎岳が現地スペインで受ける評価とは?番記者が振り返る半年の歩み【海外日本人総括】

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(C)Getty Images
海外で戦うサムライたちは2016−17シーズンをどのように過ごしたのか? 歓喜の瞬間を迎えた者、充実の日々を送った者、葛藤してもがき苦しんだ者……。彼らが過ごした1年を、改めて振り返る。

シーズンの目標:ヨーロッパフットボール界への飛躍

結果:自身のクオリティを証明

評価:85点

文=ラモン・エルナンデス(スペイン紙『マルカ』/テネリフェ番記者)

■テネリフェでの歩み

柴崎岳はメディアの大きな注目を浴びる中、1月の終わりにテネリフェ島にやってきた。彼はクラブ・ワールドカップのレアル・マドリー戦で見せた素晴らしいパフォーマンスにより、すでにテネリフェ島でも知られた存在となっていた。ただし、日本人選手の持つクオリティに信頼が置けるという雰囲気が常にあった一方、テネリフェのサポーターは1月の時点で獲得の“本当の意味”を分かっていなかった。

実際、当初はやきもきしたものだ。柴崎がスペインに適応するための道のりは、長くて非常に険しいものだった。内向的な性格で新たなチームメイトとの関係づくりに苦労し、当初はホテルからほとんど出ることがなかった。何より言葉の壁によって難しい時間を過ごすことになってしまった。

しかし、代理人の複数回にわたる訪問とバルセロナへの数日間の短い旅が状況を変えた。バルセロナから戻ってトレーニングを開始すると、周囲に徐々に溶け込み、ついに3月19日にデビューを飾った。それ以降、テネリフェのホームスタジアムであるエスタディオ・エリオドロ・ロドリゲス・ロペスに集まったサポーターは柴崎のプレーを楽しむようになった。そして、シーズンを終える頃には監督とサポーターにとって欠かすことのできないチームの中心選手となっていた。

■ベストゲームと最も重要なゴール

3月19日のレウス戦でデビューして以来、柴崎は常にチームに創造性を与えていた。中でも最も完成されたプレーを見せたのが、5月28日にテネリフェで行われたアルコルコン戦だった。

柴崎はデビューから数試合はサイドに張り付いてプレーしていた。飛び抜けた突破力やスピードがないため、持っているポテンシャルを十分に発揮することができていなかったと言える。しかし、アルコルコン戦ではトップ下でプレーし、ストライカーのすぐ後ろでこそ最高の輝きを放つことを証明してみせた。パスとワンタッチプレーのショーを披露し、ブランキアスル(青と白)のユニフォームを着て初めてのゴールも記録したのだった。

もう一つハイライトを挙げるとするなら、最も重要なゴールはその3週間後に生まれた。昇格というモチベーションを持って臨んだプレーオフ準決勝、ホームで行われたカディス戦のセカンドレグで得点を決め、チームを決勝の舞台へ導いたのだ。

■柴崎岳がスペインで示したもの

柴崎のヨーロッパ初挑戦について評価をするとすれば、彼は「セグンダ・ディビシオンの中で最も優れた選手の1人」という評価をつかんだと書いて差し支えないだろう。5月下旬に25歳の誕生日を迎えたことを考えれば、年齢的な意味で初の海外挑戦のタイミングが早かったとは言えない。しかし、(2部とはいえ)世界で最もレベルの高い国の一つで素晴らしいデビューを飾った。

もし彼が今後もヨーロッパで活躍していきたいと考えるなら、最大の課題はフィジカルになる。非常に華奢であるため、よりフィジカルなプレーが特徴となるセグンダ・ディビシオンでは対戦相手からのフィジカルコンタクトに苦労する場面がしばしば見られた。

とはいえ、デビューからシーズンを終えるまでの間に確かな成長の跡を見ることができたことも事実だ。ディフェンスの場面では、ときにチームのために犠牲になることを強いられることもあった。そういったシーンではフィジカルコンタクトから逃げることなく、より多くの場面で守備に奔走し、内容と質を改善していった。

一方、彼の強みを挙げるとするなら、これはもう書くまでもない。テネリフェも、ライバルチームも、柴崎のクオリティの高さに舌を巻かない場面はなかった。彼が生み出すアイディアや展開力はセグンダ・ディビシオンの水準とは異なっていた。

このカテゴリーに、彼ほどワンタッチプレーを造作もなくこなし、素早く状況判断ができる選手など、ほとんどいないのだから。

移籍の可能性:75%

6月30日に契約が切れる柴崎の将来は依然として不透明だ。当初はテネリフェがプリメーラ・ディビシオンへの昇格を果たした場合に限り、自動的に1シーズンの契約が延長されるという条項が含まれていた。しかし、プレーオフで敗れたことで、クラブは彼と彼の代理人を説得する必要性に迫られることになる。

もっとも、柴崎はプリメーラ・ディビシオンでプレーする希望を持っている。クラブ幹部が「引き止めは難しい」と見解を示したという情報もあり、現実的にはテネリフェ島から離れる可能性が高まってきたと言わざるを得ないだろう。

文=ラモン・エルナンデス(スペイン紙『マルカ』/テネリフェ番記者)

協力=江間慎一郎

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