大混戦J2を左右した“個人昇格”。今までなかった興味深い違い/J2シーズン総括

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史上まれに見る大混戦に終わった今季の明治安田生命J2リーグ戦。特にJ1参入プレーオフ圏争いは最後の最後までもつれた。その中でも、今季ならではといった特筆すべき現象がある。それは、夏の”個人昇格“だ。

■目立ったJ1への選手の引き抜き

松本山雅FCが初優勝を飾り、2位の大分トリニータが自動昇格でJ3経験クラブ初のJ1復帰、そしてJ1参入プレーオフでは東京ヴェルディがジュビロ磐田との決定戦の末に敗れ、2018シーズンのJ2は幕を閉じた。年間を通じて圧倒的な差を見せつけるようなチームは存在しなかっただけに、守備の最も安定していた松本と、攻撃のクオリティーで抜けていた大分のワンツーフィニッシュ、そして昇格は妥当とも言えるだろう。

ただ、今季とこれまでのシーズンでは、興味深い“違い”がある。それはシーズン中のJ1への選手の引き抜きが非常に多く、当然ながらほとんどが中心選手と呼べる存在だったことだ。

代表的だったのは、FC岐阜でセンセーショナルな活躍を見せてヴィッセル神戸に移籍した古橋亨梧、そしてレノファ山口の躍進をけん引してガンバ大阪への移籍を勝ち取った小野瀬康介。ほかにも徳島ヴォルティスの最終ラインを司っていた大崎玲央(→神戸)、同じく徳島で前線を引っ張っていた山崎凌吾(→湘南)といった選手たちもJ1への“個人昇格”を夏のマーケットで果たした。

彼らはシーズン序盤から中盤の時点で、明らかにJ1でも通用するだけのものを見せていたため、移籍自体に不思議はない。だが、これだけ多くのチームの主力選手がシーズン中に引き抜かれることは過去になく、今季の結果にも大きな影響を及ぼした。特に岐阜と山口は、ピーター・ウタカやバラルといったタレントを補強した徳島と違い、損失を補填することもできず、最後まで厳しい戦いを強いられている。

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▲大崎は徳島から神戸に移籍し、神戸で17試合連続出場した

■大きかった“違い”を作れる選手の存在

岐阜は古橋の移籍前からやや調子を落としてはいたものの、3連敗の状況でエースを抜かれ、最終的に連敗は『10』まで伸びた。J1参入プレーオフを狙える位置から、一気に残留を目指す戦いにまで転落している。古橋移籍後の16試合では2勝しか挙げられておらず、前半戦に稼いだ勝ち点がモノを言って何とか残留にこぎ着けた形だ。

序盤は首位戦線をリードした山口も、6試合未勝利の時期に小野瀬が移籍。未勝利は14試合にまで及び、J1参入プレーオフの可能性も早い段階で潰えてしまった。序盤の貯金が大きかっただけに残留争いには巻き込まれなかったが、苦しい時期の長さという意味では岐阜に近いものがある。

岐阜にしても山口にしても、決して極端に個に依存したチームではない。大木武監督、霜田正浩監督は組織的な戦い方をチームに植え付け、あくまでその中心として古橋や小野瀬の能力を引き出していたが、その爆発力ゆえにJ1チームの目に留まって移籍が決まってしまうのだから難しい。平均的なクオリティーではどうしても上位の常連に劣る中、“違い”を作れる選手の存在がいかに大きいのかをあらためて実感させるシーズンとなった。

■42試合を同じ戦力で戦えることの重要性

逆に、上位に入ったチームはシーズン途中での離脱がなく、大崩れすることがなかった。松本は反町康治監督の下で堅実に勝ち点を積み重ね、優れたタレントを擁しているものの、突出した個人のインパクトよりも、総合的な戦術理解度と選手層、そして経験が力となっていた。総合力で勝ち取った優勝と言っていい。

2位・大分も同様だ。J3時代から指揮する片野坂知宏監督が連動性の高いサッカーを作り上げ、メンバーも現在のサッカーへの理解度が高い。4選手が2ケタ得点を達成したように、特に攻撃においては個人への依存度が非常に低く、長いシーズンを戦い抜く上では大きなアドバンテージとなった。

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▲平戸は来季、鹿島アントラーズへの復帰が決定している

4位のFC町田ゼルビアは、チームの枠組みとしては岐阜や山口に近かったが、例外的に最後まで躍進を続けたチームだ。要因として挙げられるのは、“違い”を作り出していたのが鹿島アントラーズから期限付き移籍中の平戸太貴だったということ。シーズン中に引き抜かれる心配はなかったが、すでに鹿島への帰還が発表され、来季の不在が確定している。チームスタイル的にも不可欠だったJ2屈指のプレースキッカーがチームを離れ、どのような変化が生まれるのかは注目したい。

また、3位の横浜FCや5位の大宮も野村直輝や大前元紀といった優秀な個人がシーズンを通して稼働し、上位をキープ。大宮に関してはむしろシーズン中に補強した畑尾大翔がレギュラーに定着するなど、戦力的なプラスを手に入れながらJ1参入プレーオフに滑り込んだ。クラブの財政規模なども関係してくるが、J2チームのシーズン中の戦力維持が以前ほど当たり前ではなくなっているだけに、42試合を同じ戦力で戦うことの重要性は相対的に増している。

来季以降も同じ流れが続くとは限らないものの、古橋や小野瀬のように大ブレークした選手が早い段階で上のステージに行けること自体は喜ばしいことでもある。それだけJ2での活躍が正当に評価され、リーグにも価値が生まれているからだ。突出した個人を擁するスモールクラブが昇格にチャレンジすることは難しくなるかもしれないが、組織として堅実に積み上げるクラブにとってはチャンス。今後の各クラブの強化戦略に、今季の出来事はどのような影響を与えるだろうか。

文=片村光博

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