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大宮、満員のファンの前で正真正銘のホーム最終戦へ。J1参入POで約束するのは勝利のみ

大宮アルディージャはまさに不退転の決意でJ1の舞台を目指す。

25日、J1参入プレーオフで最初に相対するのは東京ヴェルディだ。

■不本意なシーズンにも見えた光

以下に続く
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昨季、大宮は最下位でのJ2降格が決定。一年でのJ1復帰、そして優勝を掲げて今季をスタートさせた。そのための準備も怠りはしなかった。ロビン・シモヴィッチや三門雄大、中村太亮といったJリーグで実績のある選手を獲得。すると、開幕戦のヴァンフォーレ甲府戦(◯2-1)からシモヴィッチが決勝点を挙げ、去年はどうしても取れなかった勝点3を手中に収めた。

「これはJ2独走で優勝を決めるのでは?」

そう感じた人も少なくなかっただろう。私自身、開幕戦を終えた後、これからは毎回、笑顔を浮かべるファンを眺めながら、スタジアムを後にすることが日常になると信じていた。

しかし、J2が「魔境」と呼ばれる理由がそこにはあった。無論、大宮の不安定な戦いぶりにも原因はあったが、リーグ戦の連勝は最高でも「3」と、簡単なディビジョンではないことを思い知らされることに。「◯試合負けなし」という状況が続くことはあったものの、その戦いぶりはどこか頼りなく、圧倒的な力でJ2を制するのでは、という周囲の期待からは程遠いシーズンであった。

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勝点を思うように積み上げられなかった背景にあるのが、内容を結果に反映させられなかったことが挙げられる。圧倒的に押し込みながら、チャンスを生かせず、ワンチャンスに泣いた第13節ジェフユナイテッド千葉戦(●0-1)や、退場者が出て数的優位に立ちながら逆転負けを喫した第25節松本山雅FC戦(●1-2)などがまさにそうだった。逆にパフォーマンスはいまひとつでありながら、地力の強さで3ポイントをさらった試合もあったことは否定しないが、前述の2試合はいずれも本拠地で戦った試合であり、いわゆる“取りこぼし”が多かった印象は否めない。ホームで奪った勝点(38)がアウェイでのそれ(33)とほとんど変わらないことも印象を確証に変える手助けをしている。

だからこそと言うべきか、苦境の中でも選手たちの前向きな姿勢には胸を打つものがあった。序盤、出遅れて厳しいチーム状況にありながら、エースの大前元紀を筆頭に「目標は優勝」と常に前を向いていた。敗れた試合後ですら「(優勝の)可能性がある限りは戦い続ける」と口をそろえる選手たちの力強い姿を見たときには、口裏を合わせているのではと勘ぐってしまうことさえあったほどだ。

こうした選手たちの姿勢に感化し、応えたのがファン・サポーターだ。序盤戦は黒星が先行したこともあってNACK5スタジアム大宮でさえ厳しい野次が目立つ試合もあったが、プレーオフ圏が見えるようになる終盤戦を迎えた頃には、温かい「ホーム」を作り上げていた。目の前の光景を受け入れるのが難しいときでさえ、だ。

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10月28日、J2第39節京都サンガFC戦。開始10分で2点を先制されると、ほとんどいいところなく、PKで1点を返すのが精一杯で、1-2と敗れ去った。この結果、残り3試合で首位とは8ポイント差、自動昇格へは6ポイント差、さらにはプレーオフ圏外の7位へと転がり落ちることに。閉塞感が漂う記者席からもため息がもれた。しかしサポーターは、挨拶へと来る選手たちにブーイングを浴びせることなく、腹をくくったように文字通りサポートする姿勢を示した。その後、シーズンラスト3試合を2勝1分けで切り抜け、大宮はプレーオフの初戦をホームで開催できる5位へと滑り込んだのである。

■今季最後のホームゲームで「まずはしっかりと勝つ」

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石井正忠監督の記者会見の最初の挨拶は常にファンへと向けられる。勝てば感謝し、負ければ詫びる。

そして24日の練習後、落ち着いた面持ちで報道陣の前に現れた指揮官は、サポーターの前で戦えるホームであることを何度も強調しながら、東京V戦での必勝を誓っている。

「ホームでできますし、理想的な形でこうやってチャンスが巡ってきたので、そのチャンスを生かすためにもアグレッシブな戦いは見せなければいけないなと思います。(引き分けで勝ち進めるという)レギュレーションは関係なく、今年最後のホームゲームをもう1試合できることになったので、まず自分たちはしっかりと勝って次に進みたいなとは思います」

プレーオフである東京Vとの一戦は、シーズンシート対象外となるが、すでにホーム・アウェイ席ともに予定枚数は販売終了しており、正真正銘、今季最後のホームゲームは満員になる見込み。石井監督は、サポーターの力を借りながら、それに応えるパフォーマンスを見せることを約束した。

「当然この試合に向けてファン・サポーターの気持ちも高まっているとは思いますし、それを力に変えたいなと思います。逆に我々の立ち上がりの入りで、お互いのテンションも決まってくると思うので、まずはアグレッシブに行きたいです」

■東京Vはケガ人復帰がプラス材料か

対するは東京ヴェルディ。

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J2最終節は辛くもFC町田ゼルビアと勝点1を分け合い、J1参入プレーオフ進出を決めた。もっとも、この試合の出来が低調だったことは明らか。プレッシャーのかかる大一番で、選手たちは自信のないプレーに終始し、簡単にボールを失うシーンが散見された。一発勝負の続くプレーオフであれば、命取りになりかねない。

とはいえ、弁明の余地もある。今季途中に加入し、シーズン終盤で毎試合のように違いを作ってきた泉澤仁、レアンドロが欠場。加えて、チーム最多得点者のドウグラス・ヴィエイラも負傷により間に合わなかった。攻撃のアイディア不足は彼らの不在が大きかったとも言える。

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ただし、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は町田戦後の記者会見で、泉澤やレアンドロが大宮戦には間に合うことを明言しており、1週間前のようなパフォーマンスが繰り返される可能性は低い。強力な攻撃陣が大宮に襲いかかることが予想される。

■大宮はホームで必勝誓う

今季の対戦成績は1勝1敗で、ともにホームでは勝ち星を手にしている。今回の対戦に関しては、大宮はドローでも勝ち抜けという大きなアドバンテージを有しているが、「そのアドバンテージというのはプレッシャーになりうる」(ロティーナ監督)ことも確か。簡単な一戦にはならないだろう。

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勝利すれば、シーズン3位の横浜FCとアウェイで対戦することが決まる。大宮としては弾みを付けるためにも引き分けではなく、勝利で次ラウンド進出を決めたいところ。昨季、アビスパ福岡でプレーオフを経験し、独特の雰囲気を知る三門も、引き分けでOKと理解しつつ、「勝ちに行きたい」と力を込めている。

シーズンは不本意なものだったかもしれないが、J1復帰という最大の目標は揺らぐことはない。勝負の一戦へ、その覚悟はすでに決まっている。

取材・文=平松凌(Goal編集部)

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