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【原博実の超現場日記/第7回】ACL準々決勝第2戦、誰がこの劇的な結末を予想できただろうか

10:58 JST 2017/09/15
2017-09-03-haracolumn
Jリーグ副理事長の原博実氏がスタジアムや視察先で見たもの、感じたことを率直に語る『超現場日記』。第7回は9月13日に行われたAFCチャンピオンズリーグ準々決勝第2戦の浦和レッズvs川崎フロンターレを視察した。

AFCチャンピオンズリーグ準々決勝第2戦
浦和レッズ 4-1 川崎フロンターレ

浦和レッズと川崎フロンターレのJクラブ同士が対戦したAFCチャンピオンズリーグ準々決勝第2戦。この試合で待ち受けていたのは、あまりにも劇的な結末。誰がこの展開を予想できただろうか。

この日の浦和は4-1-4-1のシステム。GKに西川周作、最終ラインは右から森脇良太、マウリシオ、阿部勇樹、槙野智章。中盤はアンカーに青木拓矢、中盤は右からラファエル・シルバ、柏木陽介、矢島慎也、高木俊幸、そして1トップに興梠慎三。矢島は予想以上に高いポジションに位置する。

一方、ホームでの第1戦を3-1で勝利した川崎Fのメンバーは、GKチョン・ソンリョン、最終ラインが右からエウシーニョ、奈良竜樹、谷口彰悟、車屋紳太郎。中盤は右から阿部浩之、大島僚太、エドゥアルド・ネット、家長昭博。2トップは小林悠と中村憲剛。憲剛はトップ下というより2トップの一角に近い位置に入った。

19分、川崎Fは中盤でボールを奪って憲剛へ。その憲剛からのスルーバスにエウシーニョが抜け出すと、飛び出してきた西川よりも一瞬早く触ってゴール。これで浦和は最低でも3点が必要になった。今の浦和にとって3点のビハインドは苦しいか。川崎Fはリードを広げて一段と余裕が見える。

浦和が35分に興梠のゴールで何とか1点を返すと、迎えた38分、川崎Fは車屋が足裏で興梠の顔を蹴ってレッドカード。一発退場となったことでどう対応するか、川崎Fベンチの対応を見た。まずは大島をボランチから左サイドに回し、田坂祐介があわてて交代の準備を始める。

田坂を誰と交代させるのか。普通に考えれば、前線の阿部、憲剛、小林悠、家長から選ぶはずだ。どうする? 結果、憲剛が田坂と交代。この短い時間にいろいろなことを想定しての選択だろう。憲剛も複雑な思いがあるだろうが、ピッチを後にする。鬼木達監督は田坂を左サイドバックに置き、小林の1トップに。この交代は家長のコンディションの良さを考慮したはず。前半はこのまま1-1で終える。

川崎Fはもともと守り切るスタイルではなく、普段はボールを保持しながら高い位置で戦う。だが、この日は川崎Fらしくなく、後ろに下がりすぎているように見えた。その結果、浦和のCKが多くなる。一人少ないとはいえ、自分たちのボールになったらもう少しキープしたい。ただし2点リードの余裕があるから、どうしても守り切ろうする展開になってしまうのだろう。

浦和は68分、高木のクロスから興梠の興梠がヘディングシュートが決まったと思ったが、これはチョン・ソンリョンの正面。川崎Fにまだ運があると思っていた。しかし直後の70分、浦和は右CKからセンターバックのマウリシオに交代して入ったばかりのズラタンがヘディングでゴール。これでスコアは2-1。あと1点で振り出しに戻せる浦和が攻勢を掛ける。

実はズラタンの投入を受けた川崎Fは、大島に交えてセンターバックのエドゥアルドを投入。3バックに変更したかと思って見ていると、谷口を最終ラインから上げて中盤の底に置いた。中央を固めて逃げ切ろうというメッセージなのだろう。

川崎Fは“心臓部”である憲剛と大島がピッチにいない。それがジワジワと効いてくるのではないかと思わずにはいられない。何とか1点差で逃げ切ろうとする川崎Fと、押せ押せムードの浦和。そして84分、柏木のパスを受けたラファエル・シルバの振り向きざまのシュートが見事に決まって3-1。これで2戦のトータルスコアはイーブンとなった。

こうなると一人少ない川崎Fは苦しい。最後の気力を振り絞って攻める川崎Fだったが、次のゴールを決めたのは浦和だった。攻めに出た川崎Fのボールを奪い、左サイドでフリーの高木へ。この日、活躍していた高木がクロスをボレーすると放たれたボールはチョン・ソンリョンの頭上をフワリとスローモーションのように越えてゴールに吸い込まれた。

大歓声の埼玉スタジアム2002。もう川崎Fに反撃する力はなかった。稀に見る劇的な結末――。

とにかく得点を取らなければいけなかった浦和は、堀監督の采配もズバリ当たった。これでこのところのイヤなムードも払しょくできたはずだ。準決勝の相手はこれまた激戦の末に広州恒大を破った上海上港。川崎Fの思いも背負い、必ずや勝利して決勝へ進んでほしい。頼むぞ、浦和!

川崎Fは現実を受け止めるのが難しい状況だとは思うが、リーグ戦、ルヴァンカップ、天皇杯に向けてしっかりとリスタートしてほしい。帰りの電車で肩を落としていたフロンターレサポーターのためにも。

文=原 博実

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