危機感募らせる日本人対決。久保裕也と浅野・原口、クラブに今季初勝利をもたらすのは?

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(C)Getty Images
出番を得ながら明確な結果を残せていないでいる久保裕也、そして浅野拓磨、原口元気。ともに日本人を擁するクラブの直接対決で、今季初勝利をつかむのはどちらになるのだろうか。

■得点機を逸した久保

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ブレーメンとのアウェー戦。ニュルンベルクは試合終了間際にMFフィルヒル・ミシジャンがゴールを決め、土壇場で同点に追いついた。しかし、試合後の久保裕也は茫然自失した表情を浮かべてピッチを後にした。

「最後、僕にゴールできるチャンスがあったのに、それを決められませんでした。ワンタッチでシュートすれば良かったのでしょうけども、2タッチして左にボールが流れた際にシュートが弱くなってしまいました」

相手GKジリ・パブレンカが正面でボールをキャッチした後、ゲームはドローで終了した。その直後だっただけに、久保には試合全体のパフォーマンスよりも好機を逃した悔恨が滲んだのだろう。

結局久保は一度も笑顔を浮かべずにミックスゾーンから去っていった。心なしか肩を落としているように見える。急遽、ベルギー・ジュピラー・プロ・リーグのヘントからドイツ・ブンデスリーガのニュルンベルクへレンタル移籍し、すぐにチームの中軸として認められても、本人は本当の意味での充足感を得られていない。

■ニュルンベルクで新たな“日常”に馴染み切る

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久保がニュルンベルクで与えられているポジションは4-1-2-3の左ウイングだが、ゲームでは1トップのミカエル・イシャクと頻繁にポジションチェンジして相手ゴール前へ侵入する。味方選手もすでに久保の能力を認知していて、彼がボールを要求すればすぐさまパス出しして攻撃の任を託す。普段は大人しい印象を受ける久保だが、試合中はスイス・スーパーリーグのヤングボーイズ時代に培ったドイツ語を駆使してチームメイトと激しく口論することもある。ブレーメン戦では味方DFのフィードパスがサイドラインを割ったときに味方選手から何かの指摘を受け、すぐさま『俺の責任じゃないだろ』とばかりに手を広げてアピールしていた。2013年に京都からスイスへ渡り、ベルギーを経てドイツへ辿り着いた彼にとって今の環境は日常の一コマに過ぎない。それほどまでに、新戦力の久保はニュルンベルクというチームに馴染んでいる。

ただ、今季2部から昇格を果たしたニュルンベルク自体はいまだに初勝利を挙げられないでいる。開幕戦のヘルタ・ベルリン戦では先制を許し、先発に抜擢された久保らが好機を迎えるも決められずに敗れた。続く第2節のマインツ戦ではまたしても前半に先制される中で、エースFWのイシャクが起死回生のゴールを決めてドローへ持ち込んだ。そして先述したブレーメン戦はまたしても前半劣勢、失点の流れから後半に立ち直ってドロー。相手にボールキープを許す時間帯では久保を含めたチーム全体が自陣にリトリートしてブロックを築くが、その受動的な試合展開は今のところ奏功せず、逆に主体的に敵陣へ打って出たときの方が勝機を生めている。

今節のニュルンベルクはハノーファーとのホーム戦だが、試合3日前の練習では喉の痛みを訴えたイシャクと胃腸炎の診断を受けた久保の2名が練習を欠席した。ミヒャエル・ケルナー監督は「土曜日の試合には問題はないだろう」と予測したが、もし攻撃の核を担う2人が欠場を強いられれば、ニュルンベルクの今季初勝利の可能性は下がってしまうだろう。

ブレーメン戦を終えた後、久保本人に「今回のブレーメン戦に続き、次も日本人選手が在籍するチームとの対戦になるが」と話を振った。すると久保は、決然とした表情で言葉を発した。

「それは、あまり意識しないですね。とにかく今は、自身が(ニュルンベルクでの)初ゴールを決めてチームの勝利に貢献したい。ただ、それだけです」

■浅野と原口のライン確立は?

かたや、ハノーファーもニュルンベルクと同じく今季の初勝利が遠い。これまでの対戦相手がブレーメン、ドルトムント、ライプツィヒとなかなかの強敵だった影響もあるが、試合毎に異なる内容を露呈してチームプランが定まっていないように見える。

アンドレ・ブライテンライター監督は開幕戦のブレーメン戦、そしてドルトムント戦で4-4-2を採用し、最前線にはエースのニクラス・フュルクルクと浅野拓磨を2トップに抜擢した。フュルクルクは189センチ、89キロの体格を生かしたポストワークに定評があり、浅野には周知の通りスピードがある。2人の特性を見極めたブライテンライター監督はまず、浅野に敵陣深くのスペースへの抜け出しを課して相手バックラインを下げさせ、できるだけ相手ゴールに近い位置でフュルクルクにボールキープさせようと目論んだ。常に敵陣でゲームを運べればサイドMFの攻撃が促進され、ダブルボランチが攻撃陣を下支えできる。元々ブライテンライター監督のチームは昨季から高速攻守転換を売りにしていて、走力と体力に優れる選手たちが揃っている。その献身性を軸に、今季は攻撃への意欲を一層露わにしたわけだ。

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しかしブレーメン戦では交代出場のFWヘンドリク・ヴァイダントが先制したものの追いつかれ、続くドルトムント戦では攻撃が閉塞してスコアレスドローに終わった。この時点でフュルクルクと浅野にゴールはなし。しかも浅野はブレーメン戦で途中交代して代わりに出場したヴァイダントがゴールを奪取し、続くドルトムント戦では前半限りで交代と、シーズン開幕前のDFBポカールやテストマッチでの好調を持続できずに森保一監督率いる新生・日本代表へ招集されて日本に帰国せねばならなかった。

「オフ・ザ・ボールの動きはチームコンセプトのひとつになっていますし、そこは自分の特長を出せているかなとは思います。ただ、それがゴールに繋がっているかと言えばそうではないですし、相手にとって怖い動きができているかと言われれば、それも肯定し難い部分です。味方とのコンビネーションや相手との駆け引きなどは向上させていかなければならないと思います」

そしてもうひとり、昨季レンタル先のデュッセルドルフでクラブの1部昇格に貢献し、今季所属元のヘルタからハノーファーへ完全移籍した原口元気は、チーム内での争いというよりも、自身のコンディション向上に注力する日々が続いている。

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原口は日本代表の一員としてロシア・ワールドカップに出場したことでチームの活動を一時免除され、オーストリアでのキャンプ開始直前に合流した。しかし開幕まで1か月を切っていた段階でシーズンを戦い抜くフィジカルを備えるのは難しく、急ピッチでトレーニングに取り組んだ彼は自身のサッカー人生でほぼ初めてとなる太ももの肉離れを発症して戦線離脱を余儀なくされてしまう。肉離れはその後の処置や経過観察を怠ると繰り返し患部を痛めるリスクがあるため、本人は自身の身体と相談しながら慎重に復帰への道筋を探っていた。

ただ、そんな状況でもブライテンライター監督は原口への信頼を隠さなかった。開幕のブレーメン戦では万全の状態ではなかったにも関わらず、「ベンチに座っているだけでも良いから」と帯同メンバー入りし、スコアレスで推移した61分にピッチへと送り出されている。ただ、この試合での原口は自身のコンディションを見極めた上で、ほとんど相手とボディコンタクトしなかった。

その後、原口は第2節のドルトムント戦で不出場に終わった後に日本代表への招集を実質免除されてチームでトレーニングを続けたが、今でも体調は良好とは言い難い。ただ、それでも先述したようにブライテンライター監督は原口の能力に期待を抱き続けているはずだ。それは2試合を終えて低調だったチームの試合内容を踏まえて、第3節のライプツィヒ戦で新たな戦略を用いたことからもうかがえる。

■苦境脱出のカギは?

ブライテンライター監督はライプツィヒ戦で今季初めて3-4-3を採用した。4バックから3バックへの変更はもちろん、監督の狙い目はサイドエリアの制圧にあると見る。前線は3トップで、頂点にフュルクルク、右にイーラス・ベブ、左に浅野を置いた。そして中盤はダブルボランチの斜め前方にサイドMFを擁し、右にリントン・マイナ、左にミーコ・アルボルノスを据えたのだ。

ツープラトンでのサイドアタック。ベブは昨季から一貫してレギュラーを張った主軸で、マイナは19歳の新鋭でスピードが武器、それは浅野にも言え、指揮官はこのエリアにタレントを配備して新たな攻撃構築を目指した。結局試合はフュルクルクの今季初得点とアルボルノスがゴールを決めたものの、ライプツィヒのドイツ代表FWティモ・ヴェルナーの2点を含む3失点で敗戦した。

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そんな中、ライプツィヒ戦での浅野はヴェルナーのゴールを導くボールロストを犯し、原口はその浅野に代わって65分からピッチへ立ったが結果を残せなかった。しかし、それでも日本人の2人には今のハノーファーの苦境を打破できるだけのポテンシャルがある。ずばり、そのカギは3-4-3での両者共存だ。右サイドはベブとマイナのラインでほぼ決まりだが、左サイドは再考の余地がある。アルボルノスはライプツィヒ戦でゴールしたものの、元々は左サイドバックの選手で、専守防衛時には能力が際立つがゴールを求めるシチュエーションでは武器に乏しい。一方で、左ウイングに浅野、左MFに原口が並べば、その攻撃力は抜群に高まる。浅野の最適正は2トップの一角か1トップだろうが、今は同僚の力を借りてその能力を覚醒させる作業に努めねばならない。そして原口は浅野に限らず、すべてのチームメイトの個性を引き立たせた上で自らの力を誇示する責任がある。

「監督、チームメイトとの関係はとても良いですよ。(浅野)拓磨はもちろん、他の選手とも積極的にコミュニケーションを図れています。例えばミーコ(アルボルノス)はテクニックがあるので、4-4-2で彼がサイドバック、自分がサイドMFでプレーするときでも良好な関係が築けると思っています」

背番号10を与えられ、指揮官から絶大な信頼を寄せられる原口にとってアウェーのニュルンベルク戦は反攻を期する絶好のチャンスでもある。もとより、彼は常に勝利へに飢餓感を露わにする。そしてそれが、彼がドイツで生き抜き、評価を得てきた純然たる証でもある。

文=島崎英純(スポーツライター)/Hidezumi Shimazaki

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