Jリーグが6日、気になったあのジャッジを徹底解説する「Jリーグジャッジ リプレイ」の第7回を公式Youtubeチャンネルで公開。今回は、明治安田生命J1リーグ第31節から3つのシーンをピックアップ。前回に引き続き、Jリーグの原博実副理事長、JFAトップレフェリーグループの上川徹シニアマネージャーが解説した。
■丹羽とウーゴ・ヴィエイラのシーンは?
まず、取り上げられたのは横浜F・マリノスvsFC東京から。36分にPA内でウーゴ・ヴィエイラが丹羽大輝ともつれたシーン。右サイドから松原健がグラウンダーのクロスを送ると、ゴール前は混戦に。中で待っていたウーゴ・ヴィエイラが丹羽大輝に倒されたように見えるが、主審はPKの判定を与えなかった。
上川氏は「これは(ウーゴ・ヴィエイラが)倒れる前に丹羽選手がまず足でボールに触れています。この後の接触は通常で、自然の体の流れの中で起きているもの」とし、主審の選択を支持した。
原副理事長も「これはやっぱり丹羽のほうが先に触っている。エキサイトしてしまったので、確かにこういうシーンは起きやすいと思いますけど、丹羽が最初に触っているのはやっぱり重要。先に触ってるからPKじゃない」と、上川氏と同じ意見を投じた。
一方で「もし(丹羽が)触らないで足だけ蹴ったりしていたらPKになっていた」と、紙一重のシーンであると続けた。
■丹羽のシノヅカへのタックルは警告対象か
続いて2つ目のシーンは、同じく横浜FMvsFC東京から43分にイッペイ・シノヅカが丹羽にタックルに遭い、倒れてしまった場面。主審はファウルを与えずプレーを続行した。上川氏は「最後の接触」が重要なポイントであると話す。
「丹羽選手の左足の裏が、シノヅカ選手のすねくらいに当たってちょっと衝撃も大きくなりますよね。おそらくレフェリーのポジションからは、シノヅカ選手の前に足が入った(ように見えた)。要は、完全に足を前に入れてボールを止めたという風に見たんだと思う」(上川氏)
さらに上川氏は「この角度の映像をみると、ボールにはプレーしていますけど、このあとのチャレンジはやっぱり危険さがある」と見解を述べ、「ファウルは取るべきですね。この映像から見ると。カードも出すべき事象です」と、反則の対象である意見を講じた。
原副理事長も「これはファウル」と一刀両断。映像を見て「(丹羽の足が)結構高く上がっている。危ない」と話し、「これは(足を)上げているので折れてもおかしくない感じになっている。イエローカードは出てもしょうがない」と危険なタックルであると述べた。
このシーンは「おそらく審判も周りにいる選手もフェアにタックルしてボールに触れたと見ていたんだと思う」と上川氏。レフェリーの角度から「見づらかった」と前置きしたうえで、「(丹羽が)前に入ったから、要は危険さもないという風に見たのかなと思います。あと、マリノスの選手も誰もこれに対しては反則のアピールがなかった」点もプレーを流した理由にあたると話した。
上川氏は続ける。
「走り込んできているスピードと、接触している部位が足の裏なんですよね。ただ、最後にちょっと足を引いて、接触ダメージを抑えようとしている感じもする。あの勢いでそのままストレートで立ち足にタックルしたのであれば、やっぱりカードの色も僕は赤い方に近くなってくるんだろうなと。これは(丹羽が)ボールにプレーしようとする意図もありますし、最後の接触の部分も若干やわらげようとしていると思うので、原さんもおっしゃるようにイエローでも良いと思います」
■ヨンソン監督の退席処分と、その後のリスタートについて

最後に取り上げられたのは、湘南ベルマーレvs清水エスパルスからヤン・ヨンソン監督がピッチの中に入ってボールを蹴り返したシーン。清水GK六反勇治がパントキックでボールを送ると、中盤で湘南の金子大毅が清水の選手を倒してしまう。
主審は清水のアドバンテージをとるが、湘南にパスミスからボールが渡ってしまう。湘南の選手がボールを外に出した際に、ヨンソン監督がピッチに入ってボールを蹴り返した。
では、主審はアドバンテージで流した後、なぜあの位置から清水のプレーで再開したのか。上川氏はインプレー中にヨンソン監督がプレーを妨害した部分がファウルにあたるとして、あの位置から再開されたと話す。
「インプレーの最中に元の反則には戻る必要性がない。それが清水の監督がラインを越えて、ボールを蹴ってプレーを妨害した」(上川氏)
原副理事長も、ヨンソン監督がプレーを妨害しなければ「エスパルスのスローインだった」が、「インプレー中に監督が入って蹴っちゃったからそこは結局ファウル。清水がファウルしたから、湘南のキックオフ。シンプルなフリーキックで再開になる」と、説明した。
では、ピッチ内に監督が入ると必ず退席になるのか。上川氏は「まず入ってプレーを妨害したということで、反則になる。蹴ったボールの方向に、レフェリーがいてどちらかというと蹴る意図が、レフェリーのアドバンテージという判断に対して不満を持ってそっちの方向にボールを蹴ったというふうに考えると、やっぱりレフェリーに対する異議になる」と、振り返った。
それは、タッチラインを出て蹴ったところで「レフェリーに(向けて)蹴ったら、それは変わらない」と上川氏。「(同じく)退場にはなると思います。ただスローインで再開になります」と続けた。
その後、プレーは間接フリーキックによって再開された。上川氏は「大きな事象だし、直接フリーキックのほうが、よりこの場面では合っている」という見解を示した。
「これは難しいところで、一昨年の競技規則の改正があって変わり、今は交代して出場を終えた選手、あるいは交代要員の選手なんかもベンチにいる。そういう選手が中に入ってきてプレーを妨害したら反則になる」(上川氏)
「直接フリーキックにするかどうかは、プレーを妨害したときの事象の大きさによる。そんなに大きく影響しないけど、中に入ってきちゃったよねっていう時は間接フリーキックでスタートするかもしれないけど、これは明らかにボールを蹴っているので妨害している。なおかつ、退席になるような事象なので、直接フリーキックでやるほうが競技規則的には正しいのかなと思います」(上川氏)
仮にこれが、PAの中でプレーを妨害した場合、PKになると上川氏は続ける。
「例えばゴール裏でウォーミングアップをしている選手が中に入ってきて、ボールを止めた、プレーを妨害したとなると、守備側のチームの選手、守備側のチームの交代要員が入ってきたら、直接フリーキックなのでそれはPKになる」
なお、ヨンソン監督は湘南戦の退席処分により、1試合のベンチ入り停止処分が科されている。Jリーグはその理由として「インプレー中に無断でフィールドに侵入しボールを蹴って主審に異議を示した行為は、『主審、副審の判定に対する執拗な抗議』に相当すると判断」したと記している。
Jリーグは終盤戦に差し掛かり、ワンプレーの判定がクラブの命運を分けるシチュエーションも出てくる。上川氏は、レフェリーが「勝点やその試合の持つ意味、勝ったらどうなるか、負けたらどうなるか、あとは選手の警告数」といった情報を頭に入れて試合に臨むようにしていると話す。ただ「それがあまり強い思い込みにならないようにしなければいけない」と続けた。
「Jリーグジャッジ リプレイ」では、視聴者から取り上げてほしいシーンをツイッターで募集している。ハッシュタグ「#Jリーグジャッジリプレイで取り上げて」から、ピックアップしてほしいシーンを投稿できる。
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