なぜ中島翔哉はポルトガルで前例のないブレイクを果たせたのか?三強相手にも見える勝算とは…

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FC東京では準レギュラーに過ぎなかった中島翔哉が、なぜこれほどの飛躍を遂げることができたのか。そこには4つの要因があった。

最初に驚愕し、認め、称賛したのはポルトガルだった。昨夏、大きな注目を集めることもなくユーラシア大陸西端のポルティモネンセという小さなクラブへ新天地を求めた中島翔哉は、一カ月もしないうちにホームデビュー戦を2ゴールで飾り、まず、取り扱う記事の9割がサッカーという同国スポーツメディアの識者を唸らせる。その中でも最大のスポーツ紙「ア・ボーラ」は、翌節のポルト戦当日に特集記事を打った。そのポルト戦では右サイドからスルーパスを受けると絶妙のボールタッチで相手DFを交わしてドリブルスピードを落とすことなく、あの“聖イケル”・カシージャスが立ちはだかるゴールを割り、今度はポルトガル国民を首肯させる。このとき、中島自身は「国内でステップアップするならポルト」の思いを強くする。

今冬1月末に本人に直接話を聞いた際にも「実際に試合で対戦してみて、ポルトのスタイルが自分のサッカースタイルに一番合っていると感じた」と答えている。それは、ポルトが伝統的にクアレスマ、フッキ、ハメス・ロドリゲス、現在はブラヒミといった中島と同じ良質なサイドアタッカー、得点もアシストも量産できる選手を輩出し、攻撃の中心に据えているからだろう。中島も「名前が挙がった選手(に好感を抱いている)というより、ポルトのスタイルが好きですね。それが伝統的なスタイルということなのかもしれないですけど」と語っている。

■ポルトガルでブレイク果たせた4つの要因

FC東京で準レギュラーだった中島翔哉が、ポルトガルのトップリーグで日本人選手としては前例のないブレイクをしているのはなぜか。特に得点力には目を見張るものがある。彼のJ1でのリーグ戦通算得点は6。それが最初の海外挑戦初年度ですでに9得点を挙げ一年も経たずに日本での実績を凌駕している。

「サッカーそのものが日本と変わった。ポルトガルはより攻撃的で、展開が速い。前線により速くボールを運んで(手数をかけずに)シュートを撃ちに行くスタイル。特にポルティモネンセではそういうサッカーを徹底しているのが自分にすごくフィットしている」

「監督から信頼してきてもらっているのは感じるし、すごく自信になる。細かいプレーやポジショニングの指示はそこまでされないのでけっこう自由にやらせてもらっている」

「ここには日本語を話せるスタッフや選手が助けてくれるので言葉の面でストレスがない。やりやすい環境でのびのびプレーさせてくれているから自分の良さや持ち味が発揮できている」

「ポルトガルののんびりした街の雰囲気だったり、温暖な気候だったり、食べ物だったりも含めてすごく満足している。ここでプレーできて幸せ」。

活躍の要因について当の本人の言葉から読み解くと、①ポルトガルのサッカーがマッチした。②監督の信頼下で自由にのびのびプレーできている。③日本人にとって理想的なクラブを選択した。④ノーストレスでプライベートも充実している。と4つの要因が挙げられる。

さらに各要因を詳説すると、①ポルトガルではロナウド、フィーゴといったバロンドール受賞者を筆頭に中島と同じポジションであるウィングが花形。実際、シモン・サブロサ(元ベンフィカ)、やフッキ(元ポルト)など同ポジションで得点王を獲得している選手も数多くいる。②今季のポルティモネンセが中島に得点やアシストをさせるためのチーム戦術を採用。攻撃を組み立てるボランチのペドロ・サはボールを持つと必ず左前方をルックアップし、預けられると見るやロングパスを中島の足下目がけて蹴り込む。監督のヴィトール・オリベイラも「ビルドアップする時は必ずショーヤの位置を確認しろ」と指示している。③会長のロドニー・サンパイオは日本へ何度も足を運ぶ知日派。TDは元浦和レッズで年間MVPを獲得したポンテ。代理人は日本のJリーグに何人ものブラジル人選手を送り込んでいるテオ・フォンセカで日本のサッカーを熟知、同クラブの筆頭株主で選手補強に対する人事権も持つ。そのテオの息子である亀倉龍希(ブラジルと日本の二重国籍)がチームメイトで中島とはかつて同じ東京ヴェルディ下部組織に所属、公私にわたり通訳を務めている。さらにポルトガルの“リーガ”(1部及び2部)で日本人選手通算最多得点記録(16)を持つ金崎夢生(現・鹿島アントラーズ)が同クラブの日本人選手活躍の先例となっている。④については詳説不要であろう。

元々、卓越した個人技に疑いようのない選手の才能が初の海外挑戦を触媒にして“環境面”で花開いたということ。中島自身も「自分自身がポルトガルという国を選んで成長したのもある」と認めている。

■三強からはオファーが届く

1月のメルカート(移籍市場)で、中島翔哉は主役となった。国内外のビッグクラブの垂涎の的となり、移籍違約金は2000万ユーロ(約26億円)にまで跳ね上がった。ここでようやく日本でも改めて彼の資質が認知されることとなる。その後、3月の日本A代表デビュー戦初ゴールの偉業をやってのけるに至り、今年のロシアW杯の注目株に一躍躍り出て、今月にはドイツの移籍情報専門サイト「transfermarkt」で発表された選手の推定市場価格で日本人選手4位の550万ユーロ(約7億1500万円)の値をつけた。特筆すべきは、ポルトガルの国内三強(ベンフィカ、ポルト、スポルティング)すべてのクラブから獲得オファーが届いていること。ベンフィカはサルヴィオ、ポルトはブラヒミ、スポルティングはジェルソン・マルティンスといった来季海外ビッグクラブに引き抜かれる可能性のある同国リーグを代表するウィンガーの後釜として中島を置きたいようだ。

今季、その国内三強との対戦で、中島翔哉が本領発揮でゴールという結果を出したのは前述したデビュー2戦目のポルト戦だけだが、リーグ戦5試合、国内カップ戦2試合で欠場したのは1試合のみ。残りの試合はすべてスタメン出場で、フル出場4試合、残りの2試合も戦術的な交代で63分、76分のタイムアップ近づく時間帯に下がっているだけである。

■スポルティング戦では追い風の材料も

ここ最近7試合では、アシストは積み重ねているもののゴールからは遠ざかっている(この期間中に日本代表戦ではゴールを決めているが)中島翔哉。彼が対戦相手からキーマンと認知され、厳しいマークを受け始めている証左でもあるのだが、次節は今季最後の国内三強との手合わせとなるスポルティング戦。捲土重来を期したい。昨年末に敗北した初顔合わせでは、積極的にディフェンスラインの裏へドリブルで抜け出し、シュートも放ってみせた。ポルトガル代表ボランチのウィリアム・カルヴァーリョの強靭な体躯を活かしたプレッシングに苦しんだ印象もあるが、直接対峙した右SBのピッチーニには1対1で通用しなかったとは本人も感じていないだろう。事実、国内メディアの採点ではポルティモネンセの選手の中では軒並み最高点の評価を得た。

今回の対戦では、中島活躍の追い風となる材料が二つある。負傷離脱中のウィリアム・カルヴァーリョが欠場すること。さらに相手チームの指揮官がジョルジュ・ジェズスであること。国内でも屈指の戦術家である反面、ポルトガル人のベテラン監督に多い「日本人選手、アジア人選手の能力を端から認めていない指導者」の典型でもある。かつて田中順也(現・ヴィッセル神戸)は実戦でほとんど試されずにこの監督の下、飼い殺しにされた。チームとしてスカウティングはしているだろうが、性格的に先入観で中島個人を歯牙にもかけていない可能性は高い。ただ、ピッチーニかリストフスキかどちらとマッチアップするのかは読めない。ジェズス監督はほぼ1試合ごとに両者を併用しており、後者のマケドニア代表SBなら初対決となる。

中島翔哉としては、明日(28日)のスポルティング戦でゴールを決めてシーズン二桁得点達成に花を添えたいところだ。そうなれば、ロシア行きの23枚のチケットの1枚を手繰り寄せることができるだろうし、現在、中島獲得のために公に手を挙げているトレス・グランデス(ポルトガル三強クラブ)、ガラタサライ、ドルトムント以外にも触手を伸ばしてくるビッグクラブは増え続けるだろう。

それでも本人は「サッカーが上手くなりたいというのが自分のプライオリティ。その延長線上にW杯や(ビッグクラブへの)移籍がある」と語ってくれた“サッカー小僧としてのポリシー”は崩さないに違いない。

文=鰐部哲也 /  Text by TETSUYA WANIBE

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