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世界最高のストライカーを封じ込めた“奇策”…チャンスを逃したのはバイエルンだ

ニコ・コヴァチに新たなニックネームをつけるべきだろう。さしずめ、“ザ・ジンクス”とでもいったところだろうか。

「この試合が0-0になることはないだろう」。バイエルン・ミュンヘンの指揮官はチャンピオンズリーグ決勝トーナメント第1戦の前日、こう語っていた。攻撃で高いクオリティを持つ両チームの対戦なのだから、理にかなった予想と言える。面白い試合だったが、それがフットボールだ。90分が終わってゴールが生まれず、均衡が保たれたまま戦いの舞台は3週間後、アリアンツアレーナに移る。

アドバンテージはリヴァプールにあると見ていいのだろうか? もしそうであるならば、その差は小さくはない。レッズ(リヴァプールの愛称)はかつてのように、ホーム戦でスコアレスドローに終わったことを祝うようなチームではない。だが守備面で問題を抱えて挑んだことを考慮すれば、この結果に満足することもできるだろう。ユルゲン・クロップにしてみれば、ミュンヘンで得点さえすればよいのだ。

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「我々が夢見たような試合内容や結果にはならなかった」。クロップはそう認めた。だが0-0という結果については「ドローは我々が勝ち取れる最良のものだったね」と語っている。

■最高のストライカー相手に執った“奇策”

2019-02-19-fabinho(C)Getty Images

ヴィルヒル・ファン・ダイクが累積警告のため欠場。このため、レッズにとって厳しい試合となった。オランダ人DFはリヴァプールの最後列で圧倒的な存在感を放ち、落ち着きと連携、空中戦で無類の強さを発揮していた。たとえデヤン・ロブレンがベストな状態だったとしても、ファン・ダイクの代わりは務まらなかっただろう。

それを踏まえ、リヴァプールはCBジョエル・マティプの相棒としてMFファビーニョを起用した。これまで試したことのない変則コンビ。今シーズンのCL得点ランキング首位(8ゴール)に立つ世界最高峰のストライカー、ロベルト・レヴァンドフスキ対策としてドイツ人指揮官が執った“奇策”だ。

だが不安はやがて信頼へと変わった。リヴァプールはレヴァンドフスキをわずかシュート1本に封じ込めた。そして、あらゆるバイエルンの選手達を見事に封じて見せた。ブンデスリーガのチャンピオンはまたアンフィールドで得点できなかった。

ファビーニョとの契約が正しかったことが、徐々に証明されている。夏に移籍してから時間がかかったものの、彼はプレーする時はいつだってクロップのチームで重要な役割を果たしてきた。

「彼は灯台みたいな選手だ」。アシスタントマネージャーのペップ・ラインダースは最近『Goal』にこう語った。最後方でも、前線でプレーする時のように自身をコントロールできていた。事実、マティプと比較してもまるで熟練のセンターバックかのようだった。

注目すべきプレーはいくつかあった。特に、後半に見せたペナルティエリアでのレヴァンドフスキに対するチャレンジは、完璧なタイミングだった。ファビーニョはこのようなレベルの試合でもプレッシャーに苦しむことはほとんどない。事実、レッズが引き気味にプレーした序盤の15分間、バイエルンは組み立てに時間をかけすぎてしまい、得点できる気配が全くなかった。GKアリソン・ベッカーは慎重にKOPのリズムを作っていった。

リヴァプールには得点できそうな予感があったが、その前にバイエルン守護神マヌエル・ノイアーがことごとく立ちはだかり、レッズを苦しめた。終盤にはサディオ・マネのヘディングシュートを防ぎ、守護神が引き分けで試合を終わらせることに成功した。その反対側では、ファビーニョ率いるディフェンスライン、そしてジョーダン・ヘンダーソンら中盤の選手が、アリソンが守るゴール前で強固な守備を構築していたのだった。

■チャンスを逃したのはバイエルン

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均衡が保たれたまま、両者はドイツへと向かう。ホームでの試合ということもあり、バイエルンにアドバンテージがあると見るのが自然だ。それにコバチが率いるチームはCLの後半戦にはなれている。2011年以降、バイエルンが準決勝進出を逃したのはわずか1回のみだ。

「リヴァプールは間違いなく良いチーム。アンフィールドで失点しなかったクラブ、負けなかったクラブはそう多くないはずだ」コバチはこう語っている。

彼の言うとおりだ。レッズが勢いを増し攻め込んでいる時間帯で、バイエルンは落ち着きと経験を持ってこれをしのいだ。選手たちはアンフィールドの雰囲気に飲まれずにプレーし、優れたディフェンスを見せた。DFヨシュア・キミッヒは出場停止となるが、2ndレグではここにMFレオン・ゴレツカとFWアリエン・ロッベンが加わると予想される。依然として手ごわいチームだ。

だが彼らはおそらく今回のドローを、チャンスを逃したと感じることだろう。この夜、リヴァプールの顎に隙はあったものの、バイエルンはそこにアッパーカットを浴びせることができなかった。そこには、日に日に存在感を増すブラジル人MFの存在があった。

ファン・ダイクがチームに戻り、同じ力強さをもってアリアンツでプレー出来れば、ベスト8に進むのはレッズかもしれない。

取材・文=ニール・ジョーンズ/Neil Jones

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